無料の昼食なんてものはない


There Ain’t No Such Thing as a Free Lunch
無料の昼食なんてものはない
――ロバート・A・ハインライン 月は無慈悲な夜の女王より

酒が美味い……それ以外の言葉など必要であろうか!
と調子の良い事をほざき、1行もしないうちに矛盾し、支離滅裂な長文を洪水の様に垂れ流す、それが当ページのジャスティス。

昔の酒場には一杯飲むと昼飯がタダになるサービスがあったそうで、皆喜んでそれを利用した訳ですが……。
料理は塩分多目のもので、喉が渇き、結局皆ビールやら何やらを頼み、勘定が嵩む事に。
あらゆるものにはコストがかかるのだから、天の恵みではあるまいし、タダの物なんてないってことですな。
目先の利得に齧り付くと、必ずどこかで誰かが、あるいは最後の精算で自分自身がそれを払う事になる訳です。

財政は周知の如くですし、国に何かを要請しても結局その財源は天から無尽蔵に降ってくる訳でもなく、最後は税になって各自の負担に返ってくるだけなのでは……タダのものなどこの世に無いのなら。泣き喚いて金庫の扉を叩いても中に金は無く、支払督促状の束しか入っていないのでしょうし。施設の拡充に手当てや補助金、助成金、優遇措置、それが無から有を生じる類の奇跡なら重畳至極ですけど。無論、無駄遣いや不適切な分配とその不均衡に対する怒りの表明と是正の要求は当然の事でしょう。

ただ、個人負担の軽減の類も結局のところ、皆の納める税に帰する訳で。
富める者もいつの日か転落し、健康な者もそれを損なう可能性はある、一寸先は闇、盛者必衰たる無常の世において各人のリスクを低減し、助け合う為に一定限度の社会主義的政策が不可欠なのは分かりますが。無分別にやりすぎれば自縄自縛となるのでは。選挙において分かり易い飴玉をちらつかせるのが効果的な手段である事は分かりますけど。

そのせいで制度は複雑化し、支出が際限なく膨らみ、生産性の無い組織・団体が誕生・肥大化し、天下りや不正な取引などの権益に群がる人や業者が現れ、結果として税の投入や支援を必要とする本当に困っている人(今まさに虐待されている人とか、飢えている人とか)が苦しむのではなかろうかと。

政官民ともに足並みを揃えて、ゆっくり自分の首を絞めてる様に見えるのは、きっと私の目の錯覚でしょう。
我が国は深謀遠慮なる指導者と清廉潔白な官僚と賢明にして先見性を備えた気高き人々によって成っているのですから!
万歳!!


・社会退出

一億が総活躍し、老人が生涯現役となり、女性は輝きつつ社会進出し、私の様なやる気の無い奴はさっさと社会から退出する。
まさに一片たりと欠けるところ無き完璧な図式と言えましょう!
バスも電車もエレベーターも乗れる人数は決まってるのでしょうから、誰かが乗るなら誰かが下りないとならんのでしょう。
“社会”とやらの座席数が椅子取りゲームみたいに決まっているのなら。
闘志無き者は去れ、というのもありましたっけ。

しかし“社会”とか“社会人”というのも不思議な言葉ですな。
https://kotobank.jp/word/%E7%A4%BE%E4%BC%9A-75542
私は生まれた瞬間から死ぬ瞬間まで人間は社会の構成員だと思いますし(絶海の孤島とか火星で他者から一度も認識される事すらなく一人ぼっちとかで無い限り)、主婦であれ、主夫であれ、家庭で次代を担う者を育てる人も労働者の生活を支える人も紛れもない社会参加・活動だと思うのですけど。無職ひきこもりでも居住空間や食料を消費するのでしょうし(それを負担するのは別の人なのでしょうけど)。日本でよく用いられる“社会”というのはほぼ“労働市場”と同義で、社会進出とか参加というのはそこへの投入を意味していると考えるべきですかね。

そもそも社会進出というのは全員が望むものなのでしょうか。
私はどうにも自分からわざわざ世のしがらみと面倒と繁忙に悩まされたいとは思えないので、今一つピンとこないのです。
生活の為に金を稼がないとならんという目的の為の手段としての進出、という事なら今まさにその“社会”とやらに首まで浸かっている私も身に染みて分かりますけど。社会進出そのものを目的とするのはよく分からないのです。

情熱を捧げる研究対象や目標があるとか、社会に益する事業を起こすとか、そうでなくともどんな仕事でも高い職業意識と誇りを持って日々の仕事に励む人には活躍の場が与えられるべきですし、十分な報酬が払われるべきだと思いますけど。
そうでないなら、あるいはその必要が無いなら、方丈庵みたいな所で静かに書を読み耽り、のんびり暮らしたい。
とは皆思わないものなのでしょうか。

確かに“社会”からの退出を望む自由飲酒主義者とか、“社会”通念上、救いようがないにもほどがありますな。
逸脱、いや脱落・落伍と呼ぶべきか。


・会計と財務の把握

“帳簿の世界史”を読んでいてつくづく思いましたが(恒例の読んだ本に染まり易い奴!)、自分の財布の状況を把握していないというのは極めて危険だなと。

メディチ家が銀行業によって栄華を極め、やがてそれ自身によって、つまり会計や監査を怠る様になって衰微したというのは勉強になりました。コジモの代から既にネオプラトニズムを主柱とした学術への傾倒が強く、代々の興隆を支えた家業ではなく、一族を政治権力の道へ導こうとしたというのが興味深いです。銀行家の代名詞みたいな一族が後継者達に会計と監査の教育を施さなかったので、家が傾くという……。

古代ローマやギリシアの会計・財政についても少しだけ触れられているのでおすすめです。アラビア数字の無い時代の帳簿は転記ミスや計算ミスだらけだったとかで、会計業務を想像するだけでも気が狂いそう……。

近世のオランダでもスペインでもフランスでも、帳簿の重要性に気づいて財政の把握に努める人物が幾人か現れるも、やがてそれが蔑ろとなり、弱体化、破綻していくという流れを辿っているようです。
自身の歳出も債権債務の規模も分からず、赤字と債務超過のまま、さらなる投資や戦争に踏み切る……同じ事を様々な国が繰り返しておりますな。自分の体力も知らず、目隠しして殴り合うみたいな感じですかね……。

統治者、支配者は何をするにしても必要な金の状態を把握していなければならない筈なのですけど、実の所、古代から近世、近代、あるいは現代に到るまでそれを十分に遂行できている政体や指導者は殆ど存在しないのではないかと。
考えてみれば、シミュレーションゲームで国家を統治するとき、画面の端に軍資金の総計が分かり易く表示されていて、財政ウィンドウを開くと歳入歳出が一瞬で表示されて、その明細まで明らかになるというのは現実ではありえなかったことなのでしょうな。恐ろしい話だ。

財政、会計を注視し、監査・把握しなければならぬ統治者、主権者とは誰か。
王政なら王と財務顧問が、民主政なら官僚、政府の代表やそれらを選出する国民自身が国庫の状態をある程度知らなければならんのでしょう。

個人でも企業でも貸借対照表の理解、資産・負債・資本の区別、利益や剰余の処理、損失の補填、持っている金で何が出来て、何が出来ないのか。どれだけが自由に使えて、どれだけがそうでないのか。それが分からずに無限に湧く泉の様に支出していたら、いずれ決済日に痛い目を見るに決まっている、と。

自由や権利や権限には責任が伴うのでしょうし、主権が国民にある以上、もはや究極的には誰か他者の責任を追及したり、
断頭台に送ったりする事はできないし、意味も無いのでしょう。有責者の辞任や更迭処分は可能だけれど、クビをいくら飛ばしたところで莫大な損害の原状回復や填補は原理的に不可能でしょう。指導者・指導層を選出し監視するのが国民である以上、代表者が目もあてられぬ醜態を晒し、それを無能と謗ったところで、結局それはそういう人物を輩出した土台たる自分達の無知と無能を白日の下に晒す(国民はその能力以上の政府を持ちえない)だけなのかもしれませんな。

かつての王や皇帝が善き統治者や支配者であるために、高度な技能や知識と哲学と意識を要求されていたのなら、今や実権ある王も皇帝も戴かぬ国民自体が“尊きそれ”であるということになっているのなら
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%BD%E6%B0%91%E4%B8%BB%E6%A8%A9
各自が求められる資質は一体何であり、その水準はどれほどのものとなるのでしょう。
かつての時代と異なるものなのか、それとも結局同じものを備えていないとならないのか。

高度な分業化と法やシステムがそれを支えているとはいえ、各自に相当な勉強が求められるのではないか、と思います。
そうでなければ遠からぬうちに自由も権利も権限も名を変えた“王”や“封建貴族”に自ら差し出す事になるのではないかと。
もはやそれらは名目上のものであって、実質的にはそうなりつつあるのかもしれませんけど。
名だけ残り、実体は移ろい失せたものなど歴史上数限りなくあるのでしょうから、我が身とこの時代もまた例外ではないのでしょう。
事態を把握せぬ、ぼんやりした統治者・支配者は瞬く間に失墜し、食い物にされるのが世の常ではないかと。

とはいえ、そんな高度な知識と上等な能力を構成員全員に期待するのは現実的なのか……。


・僭称

どうも、息をする様に法螺を吹き、瞬きする間に矛盾と混沌の渦に落ちるホラッチョLegionariusです。
学歴がどうとか経歴がどうとか以前に、常よりローマ人だと言い張るこの無茶苦茶ぶり、人間としてどうなのか……。
ラテン語すら読めないのですけど大丈夫なんですかね。

経歴を悉く騙っていた人物が世を騒がせていたようで。
人を騙すのは許されぬことなのでしょうけど、道徳的観点をほっぽり出してみる(いつもそうじゃないのか)と凄い技能ではないのかと思います。これは熟練の技ですよね。

既に言及されてる様にまるでクヒオ大佐ですね。
その瞬間、その状況において人々が暗に求めている人物像を敏感に嗅ぎ取り、演じる。
その嗅覚がとてつもなく鋭敏で、それを体現するのが上手なのでしょう。実体はないのが困りものですけど。
需要に応えサービスを提供する。よく出来てるものです。
それで皆コロッと騙されるのだから大したものだなと。

人はどれほど賢しらに振舞ったところで、見た目や権威のパッケージの威力は絶大で、抗い難いのでしょう。
https://www.youtube.com/watch?v=1BzCdhJ5WKs
事の仔細を知っている今では笑いながら見る事が出来ますけど。
何も知らぬまま、ぼうっと見ていれば分からない。

ニュースのコメントにおいても淀みなくスラスラと喋るのには驚きです。
応答の滑らかさ、用語や単語の接ぎ方。誰かが用意した台本を読んでるというのもあるのでしょうが。
上等な演出と、条件を読み取り、それに馴染む能力、下調べと勉強と訓練、それがこういう存在を可能とするのでしょうね。
損害を被った人は堪ったものではないでしょうけど、面白いなと。

一つまみの事実にそれっぽい情報を混ぜ混ぜしつつ、何だかもっともらしい事を描いたり、書いたりして戯れている、欺瞞に満ち満ちた当ページの営みをご覧の皆様はこういうのに騙されることは無いでしょうけれど。
全幅の信頼とは美しいものですが、一抹の懐疑は必要なのでしょう。


・待ってたぜェ!!この瞬間をよぉ!!

!?
https://www.youtube.com/watch?v=3BmeR9GYdDU
ベン・ハ―をまたやるのですね。
原作通りの設定なら紀元26年、という事はティベリウス帝治世12年目くらい?
カプリ島に引き籠る前年でしたっけ。
またいつぞやの戦車映画見た時みたいに愛ゆえに鬱陶しい突っ込みを入れながら見るのでしょうね。

エルサレムに登場するのはどの軍団か。
ユダヤ、シリアにいた軍団とすると
Legio X Fretensis
Legio VI Ferrata
Legio III Gallica
あたりでしょうか?

ロリカセグメンタータの仕様は年代的にはカルクリーゼ型とコーブリッジ型あたり?
でも予告編のは一時停止して見ると不思議な形状をしてるのが分かります。
肩の部分の一番上の部品はコーブリッジ型の様に三つに分かれて蝶番らしきものが見えますけど、そこから重なっていく板金が一枚足らん様な。それは良いとして、金具や革紐で体の前で閉じる筈の胴体と胸の鎧が何か見覚えの無い形をしています。
正面に開く部分が無い?
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AD%E3%83%AA%E3%82%AB%E3%83%BB%E3%82%BB%E3%82%B0%E3%83%A1%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%82%BF#/media/File:Roman_soldier_in_lorica_segmentata_1-cropped.jpg

兜も見た事が無い形状か。
インペリアル・イタリックD型の様な形状をしつつ、補強は真鍮ではない。
http://www.gdfb.co.uk/imperial-italic-d-579-p.asp
トゥニカが悉く赤いのはハリウッドの伝統だからか。

海戦シーンはきっと迫力があるのでしょうけど、ティベリウス帝の時代にローマがガレーの戦艦を大量に投入する様な海戦てありましたっけ?特に不穏なのはライン、ドナウで隔てたゲルマニアと東方のアルメニア、パルティアであとは海賊とか盗賊とか、親衛隊・近衛隊長官セイヤヌスがらみの事件くらいか。漕ぎ手が皆、鎖付きの奴隷という事は栄えあるローマ海軍ではないという事か。
そもそもティベリウス帝は緊縮財政を実行し、競技会や競馬の開催を抑えていませんでしたっけ。
いや、キルクス・マクシムスの熱狂と臨場感に包まれる事ができるならそんな事はどうでもいいですけど。

などとしょうもない事をちまちま穿っていくのも楽しそうですね。
……そういえば主題は救世主や許しの話でしたっけ?
そういう肝心な所をさっぱり覚えていないあたりが、マルスとバッコスの享楽的なしもべって感じですな。
余はガリラヤ人の事など知らぬ!


・戦いと病院、医療技術の水準、薬学・医学の歴史

天幕などを用いた、いかにも緊急的な野戦病院にするか、恒久的な施設を有した病院にするか迷いましたが今回はこれで。
ローマ軍の物語 病院

病院、Valetudinarium
http://search.fenrir-inc.com/image/?hl=ja&safe=off&lr=all&channel=sleipnir_3_w&fmt=all&dimensions=all&sizeview=off&q=Valetudinarium#item35
カストラにも病院はありました。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%A9

古代にも感覚を鈍らせる麻薬の類はあったようなので、苦痛を緩和する事も不可能ではなかったでしょうけど。
その効果はどれほどだったか……。使用量の調整も難しかったでしょうし。
http://www.eisai.co.jp/museum/curator/daylight/column03-2.html
ローマの医学
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8C%BB%E5%AD%A6%E5%8F%B2#.E3.83.AD.E3.83.BC.E3.83.9E.E5.8C.BB.E5.AD.A6
マンドレイク 用法用量をミスると死ぬ。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%AC%E3%82%A4%E3%82%AF
アヘン、opium 用法用量をミスると死ぬ。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%98%E3%83%B3#.E3.82.A2.E3.83.98.E3.83.B3.E5.8F.B2
ペダニウス・ディオスコリデス、薬理学、アヘンの摂取と鎮痛・鎮静作用についても研究
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9A%E3%83%80%E3%83%8B%E3%82%A6%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%83%87%E3%82%A3%E3%82%AA%E3%82%B9%E3%82%B3%E3%83%AA%E3%83%87%E3%82%B9
ガレノスなどはアヘンの鎮痛効果を評価していた様ですが、剣闘士の学校での外科医としての勤務というのは相当な経験になったでしょうね。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AC%E3%83%AC%E3%83%8E%E3%82%B9

意識や感覚があるままメスを入れられたり、手足の肉や骨を鋸でギコギコされたら相当にきつそうです。
止血は止血帯や圧迫で出来れば良いけれど、血管結紮法は大分先の事なので駄目なら焼灼止血法か?
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%84%BC%E7%81%BC%E6%AD%A2%E8%A1%80%E6%B3%95
消毒は薬草に鉱物、酢や酒などを混ぜ込んだ薬など……。

今回の絵の中央にいる医者らしき男は右手に物騒な手術用鋸とメスを持ち、前掛けの帯におよそ医者とは思えぬ鑿と槌を差しています……。

さて、治療不能な重傷者が苦痛に苛まれていたら、どうしたか。
映画アレキサンダーのチャプター13ではガウガメラの戦いの後に野戦病院らしき場所を訪問して負傷兵を見舞うアレクサンドロスが登場します。アレクサンドロスが声をかけ、重傷の兵の敢闘と勇気を讃えて、永遠の栄光と故郷のことを思い起こさせた次の瞬間、負傷兵の後頭部に鑿(鏨?)が槌で叩き込まれる(軍医によるものか?)。
多分、脳幹、延髄が破壊されて生命活動が寸断されたのだと思いますが……。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BB%B6%E9%AB%84
そういう安楽死の様な施術が行われていたかは分かりませんけど、あったと考える方が蓋然性は高いと私は思います。

安楽死、euthanasiaの語源は古くギリシア語のエウタナシアに遡るそうで。
εὖ、エウ(良い)+θάνατος、タナトス(死)。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%89%E6%A5%BD%E6%AD%BB
善き死という意味の語源はつまるところ悪しき死の存在を仄めかし、そしてその対面に善き生と悪しき生という概念があったという事でしょう。死を絶対的に否定する訳でもなく、生を絶対的に肯定する訳でもない。

ギリシア、ローマの哲学者達の書き残した言葉の端々からもそうした思想が窺われます。
それが当時の人々にとって一般的なものだったのかどうかはまた別でしょうけど。
最近の世では生きていれば良い、とにかく素晴らしいことであり、疑うべきではないという考えが一般的なようですな。
社会秩序や規範、道徳、生産の維持といった観点から考えれば、生を全肯定しといた方が悩まずに済むのでしょうから楽ちんではあるのでしょう。

とはいえそういう背景から考えれば戦時の野戦病院でどの様な処置が行われていたか幾許か想像する事はできるのではないかと。仮に自分が回復の見込みも手の施しようも無い負傷兵なら、いつまでも苦痛にのた打ち回っていたいか。
あくまで私の価値観に基づく考えゆえ、当時の人がどうしていたか、どう思っていたかは断定できません。
アレです、大会戦の末に勝利を収めるも重傷を負い横たわっているところ、落涙する霞ヶ丘先輩皇帝陛下に労いの言葉共に抱き起され、そして軍医の一撃のもとにこの世を去るのです。
わが生涯に微塵の未練も無し、まさにエウタナシア!(シリアスな話をマニアック極まりない条件の死への希求で台無しにしていく最低なスタイル)

やがてローマの崩壊と共にこうした技術(外科技術、薬学)や知識は散逸し、失われ、あるいは東方に残留したと……。
人間の知識や技術が常に進歩・前進状態にあるとは限らないという事が分かります。

そしてイブン・スィーナーなどの著作による知識や哲学の西方への逆輸入
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%83%96%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%B9%E3%82%A3%E3%83%BC%E3%83%8A%E3%83%BC

千年医師物語/ペルシアの彼方へ
http://physician-movie.jp/
気になる映画ではあったのですが、残念な事にイブン・スィーナー自体の扱いと地域情勢に関する考証に大きな瑕疵が見られるそうで。一応見て確認しようとは思いますが。

19世紀時点を舞台にした海洋冒険小説や、
輪切り図鑑 大帆船―トラファルガーの海戦をたたかったイギリスの軍艦の内部を見る 大型本 ? 1994/4/26
http://www.amazon.co.jp/%E8%BC%AA%E5%88%87%E3%82%8A%E5%9B%B3%E9%91%91-%E5%A4%A7%E5%B8%86%E8%88%B9%E2%80%95%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%95%E3%82%A1%E3%83%AB%E3%82%AC%E3%83%BC%E3%81%AE%E6%B5%B7%E6%88%A6%E3%82%92%E3%81%9F%E3%81%9F%E3%81%8B%E3%81%A3%E3%81%9F%E3%82%A4%E3%82%AE%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%81%AE%E8%BB%8D%E8%89%A6%E3%81%AE%E5%86%85%E9%83%A8%E3%82%92%E8%A6%8B%E3%82%8B-R%E3%83%BB%E3%83%97%E3%83%A9%E3%83%83%E3%83%88/dp/4001105322
などでも恐ろしい外科手術の描写はあるので、近現代の医術の急速な発達というものを痛感します。
無論、過去の蓄積がそうした発展を可能としたのでしょう。

何しろ衛生観念や医療技術自体の水準が現在とは比べ物にならないでしょうから、負傷したり病気になったりしたら酷い目にあったでしょう。戦闘による損耗と日常的な怪我や病気で失われる人員と、どちらが多かったか。
大敗北して殲滅されたら話は別でしょうけど。戦士に戦場で死が訪れるとは限らない。
疫病などを効果的に防ぐ手段の無い時代は戦いが無くてもバタバタと人が死んでいたのでしょう。

ファンタジー警察的なお遊びをするなら、前近代的な医療しか無い世界では登場人物は負傷したり病気になったりするとあっさり死ぬか、切断手術などにより再起不能になる可能性が高いといったところでしょうか。
それで回復魔法が必要に……。大丈夫、大したことないわ、とか言ってパーティーに復帰し、仲間に次々と病気を伝染させるヒロインとか……。負傷から回復して戦列に復帰したのは良いけど何だか麻薬中毒になってる主人公……ゲーリングか(ミュンヘン一揆で被弾、手術でモルヒネ使用→依存症へ)。強大な武力を鍛え上げ、強い友情で結ばれ団結するも、魔王討伐直前にペストであっさり全滅する一行とか、夢も希望も無いので止めよう。

かつての日本軍も戦闘中の死者と病死と餓死と遭難、溺死の数を比べたらどうなるか……。
餓死(うえじに)した英霊たち
http://www.amazon.co.jp/%E9%A4%93%E6%AD%BB-%E3%81%86%E3%81%88%E3%81%98%E3%81%AB-%E3%81%97%E3%81%9F%E8%8B%B1%E9%9C%8A%E3%81%9F%E3%81%A1-%E8%97%A4%E5%8E%9F-%E5%BD%B0/dp/4250201155
などにもありましたけど。

極めて悲惨な話ばかりですが、戦史や歴史を学ぶ上では避けては通れない視点ではありますな。
しかし、能天気に明るいものばかり見て地獄の恐ろしさの片鱗も知らぬというのも恐ろしい話なのではないかと。

さて今回はこの辺で。
ローマと軍団に無敵のマルスと全能なるユピテルの助力あれ!
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軍団兵履歴

Legionarius

Author:Legionarius
主に世界史・戦史(東西問わず)の絵を描いております。

形式:Legionarius
状態:製造年月日から30年以上経過
使用燃料:Laphroaig,Bowmore,
Ballantine(12年が好ましいが財布が薄いのでfinest)
エンジン形式:惰性型酒冷4ストロークバルブ108気筒
始動形式:諦念あるいは深い溜息
搭乗機:CBR600RR07白→CBR1000RR2012に機種転換(乗り手に過ぎる良い機体ですがハイオクは財政が……)

音楽:(Bill Evans, Miles Davis, Dvořák, Linkin Park, Rammstein, Killswitch Engage, Enigma外)気に入れば何でも。

書物:ノンフィクション、歴史(ローマ史、古代ギリシャ,WW2外)、SF(ホーガン、ハインライン外)、最近はOsprey社の本ばかり。主にマクブライド先生のやつばかり。

漫画:(大陸軍は世界最強とかアララララーイとか)雑食。

ゲーム:ROME TOTAL WAR、MEDIEVAL TOTAL WAR
     CALL OF DUTY、S.T.A.L.K.E.R、SILENT HUNTER外

好きな陛下:Marcus Aurelius Antoninus、Flavius Claudius Julianus
好きな甲冑:ロリカ・セグメンタータ
好きなヴァンツァー:フロスト
好きなマクナブ:受領通知!!、カチカチ、カチカチ、続刊はいつですか。
以下、好きなギボン、サトクリフ、パウルカレル、スティーブンハンター、フォーサイス、ルカレ、エルロイなどと八万行に渡って続くので割愛。

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