事実というものは存在しない。存在するのは解釈だけである


事実というものは存在しない。存在するのは解釈だけである。
――フリードリヒ・ヴィルヘルム・ニーチェ

まさに、世界とは表象である、ということでしょうか。
各自が世界をどう知覚するか。
となると人間の数だけ表象があり、解釈があるのでしょう。

そういや投票率52%、良いんですかね、これ。
事実上の機能不全という奴では。


・日記っぽい日記

この疲弊感、倦怠感はいったいなんであろうか。

ライ麦畑のホールデンの様に、世を円滑に動かす為に行われているであろう“欺瞞”や“演技”への参加を強要される事にうんざりしつつも、彼の言う“純真な子供”というのに格別の愛情を抱く訳でもないし、そもそも子供が純真かと言うと甚だ疑問ではあります。経験と配慮の欠如から正直な存在ではあるでしょうけど、子供は子供なりに欲望や保身や悪意が身の内に渦巻いているでしょうし。あるいは私が殊更に不純な子供だっただけか。

同様に異邦人のムルソーの様に、社会が求める類の見え透いた上辺の態度や振る舞いを概ね拒否したい、とは思うけれど死刑になるほどその道を究めようとは思わないのです。

ただ、日々、幾何級数的に、ケスラーシンドロームの様に増殖していくタスクと人間との関わりに辟易しているのでしょう。自分にこれが必要なのかと。きっと必要だから発生しているのでしょう。それは分かるのですが。こういう問題は普通、10代後半か20代くらいでケリをつけて、諦念やら適応やら鈍化で社会と折り合いをつけていくものなのでしょうが、私は未だに駄目ですね。30年変化が見られないので、この性質は生涯不変な気がします。

しかし、もっと平穏に生きて、忙しない活動から離れて、死が訪れるその日までを静かに過ごす様な生き方は出来ないものか。少なくとも徒に騒々しい者や目を血走らせて競う者達、余計な仕事を増やす蒙昧極まりない者共から離れ、煩わしい不毛なものに振り回される事の無いよう、距離を置く事は出来ないものか。

マルクス・アウレリウス帝は自省録にて、それはムズいんじゃねえの、と仰ってた様な気もしますが。
目標と結論ははっきりしているので、あとは手段ですね。

余は汝らが何を望もうと、この目まぐるしき舞台を降りる所存である。
余が、この果て無き饗宴を辞すとも、汝らは好きに踊り続けるが良い。
余は決してそれを妨げる事無く、背を向け遠くへ立ち去ることもなく、ただ静かに汝らの幸福を見守るであろう!

そんな感じ。


・映画フューリーを見て、愛ゆえに鬱陶しい突込みをする

戦争映画なだけに、ひたすら兵隊が出てきて順番に死んでいくだけなので、ネタバレも何も無いとは思いますが、内容を全く知らないまま見たい人は、以下は読まない方が良いと思います。

貴重なティーガーが出るというので見てきました。円筒形のキューポラ、131号だから初期型?
だけど後部デッキの特徴的なエアクリーナーは取り外された?戦況が逼迫しているから引っ張り出してきたという設定か、などという、うざったい突っ込みはひとまず置くとして。

登場する兵士達も疲弊して薄汚れているし、ヒーロー映画にありがちな非現実的なまでの正義感や博愛精神を徒に披露したりはしない。血も出ない様なテレビドラマの合戦とは違い、人体は容易く損壊し、捕虜や負傷者は惨たらしく虐待され、あっけなく屠られ、どちらも非情で残虐で虚しい営みを強いられているという描写は、制御不能と化した巨大な戦争の現実として頷けます。大空を数え切れないほどの爆撃機が編隊飛行しているところにほんの少しの迎撃機が向かっていく何気ないシーンなども絶望的な戦況とそれに従事する人々の境遇が想起され、実に感じ入るものがありました。

けれど、そう思うだけに、もう一声と思うところもないでもない。
特に歩兵の展開や輸送車両の運用、肝心の戦車の使い方がもったいない様に思えました。その手のシークエンスを考える係の人は当時の戦術教本とか、歩兵指揮官や、戦車搭乗員の手記や、戦闘記録をちゃんと調べたり、本職の人や専門家に確認して筋書きを書いたのだろうか、と首を傾げたくなる様なシーンが多々あり。
最初は凄いな、と見ていたのですが中盤くらいからこういうもんなのだろうか、と。人材も装備も払底した末期戦だからそういうものなのでしょうか。

枝葉末節ですが、全身が燃えている状態でホルスターから銃を抜いて自分の頭に突きつけて死ぬって結構な難易度だと思うのですが、できるものなのか。街の娘と仲良くなる場面が唐突でしたけど、あれは尺の問題で仕方ないか。何だかミニスカートみたいの履いてましたが、そういうもんなのか。私、気になります。
あとシュタールヘルムと金髪の三つ編みは良く分からないけれど似合いますね。ヒトラー最期の12日間でも思いましたが。
背徳的な感じがします。

それはさておき、日本語でも戦史の書籍や資料はそれこそ山ほどあるのだから、英語やドイツ語の資料にあたれば幾らでも出てきそうなものですが。あるいはそういうリアルさはアクション映画の本旨から外れるから最初から度外視なのか。
くどいからそれなりにリアリティー(リアルではなくリアリティー、それっぽさ?)があれば良いのか。でも少なくとも半分以上は戦車や戦闘を売りにした映画なのだから、ずぶの素人の私でもおかしいのでは、と思う様な状況は見せちゃいかんのでは。

とにかく登場するドイツ軍も米軍も偵察を軽視して、戦況も相手の戦力もよく分からない戦域にどんどん貴重な戦力を突っ込む……。しかも米軍はお得意の航空支援(ヤーボ)も火力支援(準備砲撃など?)もしない。そして待ち伏せをくらってばんばん死んでいく。部隊の編制も諸兵科の連携が今一つで随伴歩兵のいない丸裸の戦車を敵の勢力圏にほいほい放り込む……。戦車はお前達しかいないんだ、だから行ってくれ、などと命令する割に指揮官の指示や編制が杜撰過ぎる。
砲兵、航空機、戦車、歩兵、それぞれが互いの長所を活かし、短所を補い合わないと損害が徒に増えますよね……。

それからティーガーとフューリーが至近距離でグルグル回るシーン(ちびくろサンボのトラか?)があるのですが現実にもあるものなのでしょうか。相手が見えている状態でティーガーが延々と車体背面を見せ続けていたのは何故。超信地旋回による履帯へのダメージを恐れて、あるいは砲塔の照準位置を保持することを優先し、やむを得ず車体を旋回させなかったのか。そもそもティーガーが超信地旋回できないという説もあるそうですが、構造的には出来るとか、どっちなんだ。
http://www.tamiya.com/japan/products/56009tiger/side_story.htm

敗戦直前の人材不足で錬度が低いというのはあるかもしれませんけど、死に際の車長の右上腕を見れば戦車撃破章が二つ……。おい、責任者を呼べ!つまり経験豊富どころか携帯対戦車兵器で身一つで戦車を撃破した古強者だったというわけで。対戦車戦のエキスパートじゃないですか。そうするとますます整合性が取れない。細部が甘いのか、砲手や操縦手が新米だったのか。

製作予算が無くて借りもののティーガーに無茶をさせられなかったからなのか。
高威力・長射程の砲を持つティーガーが距離をとって砲戦しない理由が不明。派手な画面を見せる為に接近戦の一騎打ちみたいにしたのかもしれませんが、見せ方次第で長距離の砲戦も格好良いと思うのですけれど。
とはいえ、可能性を考えていたら切りがないのでそこまでは良しとしましょう。

特に気になったのは最後の擱座した戦車1輌対歩兵300人。それまで乗員の生存を重視していた車長の態度が一変、絶望的な戦いに仲間を引きずり込む。理由がよく分からない、相手がSSだったからか?お前達は逃げたいなら行けばいいさ、俺は一人でも残るけどな、て……わざわざ人の罪悪感に訴えるのは、どうかと。
スパルタ軍ではあるまいし、仮に歩兵300人程度に要所を突破された所で補給も支援も後が続かないのだからあっという間に駆逐されてしまうでしょうし。経験豊富で勇敢な戦車兵を投入して死守する必要あったのか、と。

ドイツ兵もドイツ兵で新兵だから最初の待ち伏せの衝撃でパニックを起こして薙ぎ倒されるのは分かる。
でも、日が暮れるまで延々と半日近く戦っている(しかもシーンの切り替わりでいきなり夜に……)割にいつまでも状況を把握できず、わざわざ戦車前面(前方機銃のある)に殺到して滅茶苦茶に撃たれて死んでいくのは一体どういうことなの。
おまけに対戦車火器を持っているならまだしも、小銃や機銃しかもたないドイツ兵が戦車に向かっていく理由がよく分からない。

主砲や搭載機銃の数は限られているのだから、部隊を幾つかに分けて複数の方向から死角を確認して攻撃を仕掛けるなり、損害を最小限に食い止める工夫をするべきなのでは。FPSのAIじゃないのだから死や負傷を恐れずに無意味に体の投影面積を最大にして突っ込むなんて本当にあったのでしょうか。遮蔽物なり、溝なり地面の凹凸なりを利用してじわじわと接近し、側面や背面を目指し、対戦車火器で攻撃するべきだと思うのですが。

パンツァーファウストも行進時には肩に担いでたのに何故か慌てて箱から取り出すシーンが……。
いくら戦時急造の実戦経験のない新兵でも現実の脅威を目の当たりにすれば地面に這い蹲るでしょうし、ゾンビみたいに突っ立ってわざわざ戦車の射界に吸い込まれていく理由が不明です。まるでただ撃たれに行くために火を噴く機銃の前に突撃していく……ただ主役達の射的の的になりに行く様な。

そもそも経験の浅い指揮官だったとして全く斥候を出さないで無警戒に敵地へ前進するという事はあるものなのでしょうか。おかげで将校が死ぬわ、兵員輸送車両が吹っ飛ぶわ……大惨事。
脅威を視認したり、先行する斥候が戦車を発見した時点で本隊は停止するなり、歩兵を降車させるのでは。そうはせず、わざわざ射程に入るのは車両ごと吹き飛ばされて搭乗者を皆殺しにしてくれ、と言うようなものではないでしょうか。

戦争だから何でも論理的、合理的に進むものではないでしょうし、混沌としているのでしょうけれど。
1945年4月なのでそういう組織的な戦闘をする能力や士気や装備を失っていたというのもあるかもしれませんけど、学校出たてなら、むしろ基本に忠実に、おそるおそる慎重に行動せぬものなのでしょうか。

というわけでその手の映画が好きな人にはそれなりに楽しめると思います。ちまちまと細部が気になり始めると幾らでも突っ込めるでしょうけど、突っ込みを入れたくなる映画というのは、面白いので良いかと。

ただ、骨のあるドイツ将校が不屈の指揮を見せつけてくれるとか、もう一工夫すれば良いのに惜しいな、と。たとえば戦闘中のティーガー車内の状況も見せるとか。素直に北アフリカとか1944年のフランスとかじゃ駄目だったんでしょうか。
あるいは主題は戦争の無惨さ、虚しさ、不条理さであり、敵の質がどうとか戦闘技術はどうでも良いのか。

たとえばクルト・クニスペル曹長の生涯をそのまま映画にした方が良いのでは。
18歳か19歳でザガンの戦車訓練大隊へ、第503重戦車大隊の砲手として活躍、仲間に信頼され、頼りにされるけれど素行が悪く上層部に評価されない、最後はティーガーⅡで出撃し戦死。いかにもハリウッド好みの人物だと思うのですが。
前人未到の168両撃破だし。でも枢軸で活躍した人が主役の映画は難しいのでしょうね……。
その辺の思想・政治的限界をクリアしないと、この分野の映画の更なる発展は望めないと思うのです。

総評としては結構面白いけれど、もったいない。折角の素材を余すところなく使えていない様な。美味そうな肉だけど火が通っていない様な。これだけ書くという事は間違いなく好きではあるのです。こういうのが好きなだけに注文が多くなるというか。自覚してはいるけれど。

愛するが故に瑕疵が気になる。我ながら鬱陶しい奴だ。
いや、私は古代人なので20世紀前半のゲルマン人連中の戦い方など、さっぱり知らないんですけどね。
門外漢はローマに帰れ、と。ヤボール!!


・お絵かき

pixivでお知り合いのCaivs Marivsさんの小説、古代ローマ時代に高度に発達した蒸気機関や、それに付随する機器が普及していたらという仮定のスチームパンクなローマ帝国物語を題材に勝手にお絵かきを。

 ローマ軍団兵と蒸気銃

背負ったタンクに蓄えられた高圧の蒸気でプルムバタを射出し敵戦列を薙ぎ倒す兵科、劇中のランケアリイを描いてみました。私の勝手な想像なので、イメージと違うかもしれませんが。

重装歩兵の密集隊形前面に展開。
指揮官の号令で蒸気弁を開き、構え、発砲指示に従い一斉射撃、あとは任意に射撃。
装備が重くて白兵戦などもっての外でしょうから後退しながら射撃して、味方の歩兵と入れ替わるのでしょう。
現実の戦史で言うと近世・近代の歩兵戦列の周囲に展開した散兵みたいな役割でしょうか。

寒々しいゲルマニアの大地でマルコマンニ族と戦うマスケット銃兵みたいな感じで。
こういうSFも楽しいです。脳みそに投影された映像を画面に出力するのは得も言われぬ快楽であります。

ローマ軍の物語は全24話の予定なのでちょうど折り返し、2015年中に終わるかどうか。
筋書きは出来上がってるので、ちょっと休んだら再開します。
さて、この辺にしときます。

ローマと軍団に無敵のマルスと全能なるユピテルの助力あれ!
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No title

私もFURY見てきました!
確かにSTORYはハリウッド御用達って感じで最後の対歩兵戦は突っ込みどころ満載でしたね。
もっと歩兵たち戦車を包囲しろよ!とかスナイパーもっとはよ出せよ!とかとか・・・

けれどPak(対戦車砲)とシャーマン連隊は結構燃えました。あの対戦車砲の砲弾をシャーマンが火花を上げながら弾くシーンは興奮しましたー。

Pvtライアンほどとは言いませんが良い戦争・戦車映画だったと思います。

No title

途中くらいまでは良かったのですけどね。
気づいたらバッタバッタと敵を薙ぎ倒す西部劇みたいなノリに。

戦闘中の車内の様子など今まであまりなかった光景がみられたので
良しとしましょう。
軍団兵履歴

Legionarius

Author:Legionarius
主に世界史・戦史(東西問わず)の絵を描いております。

形式:Legionarius
状態:製造年月日から30年以上経過
使用燃料:Laphroaig,Bowmore,
Ballantine(12年が好ましいが財布が薄いのでfinest)
エンジン形式:惰性型酒冷4ストロークバルブ108気筒
始動形式:諦念あるいは深い溜息
搭乗機:CBR600RR07白→CBR1000RR2012に機種転換(乗り手に過ぎる良い機体ですがハイオクは財政が……)

音楽:(Bill Evans, Miles Davis, Dvořák, Linkin Park, Rammstein, Killswitch Engage, Enigma外)気に入れば何でも。

書物:ノンフィクション、歴史(ローマ史、古代ギリシャ,WW2外)、SF(ホーガン、ハインライン外)、最近はOsprey社の本ばかり。主にマクブライド先生のやつばかり。

漫画:(大陸軍は世界最強とかアララララーイとか)雑食。

ゲーム:ROME TOTAL WAR、MEDIEVAL TOTAL WAR
     CALL OF DUTY、S.T.A.L.K.E.R、SILENT HUNTER外

好きな陛下:Marcus Aurelius Antoninus、Flavius Claudius Julianus
好きな甲冑:ロリカ・セグメンタータ
好きなヴァンツァー:フロスト
好きなマクナブ:受領通知!!、カチカチ、カチカチ、続刊はいつですか。
以下、好きなギボン、サトクリフ、パウルカレル、スティーブンハンター、フォーサイス、ルカレ、エルロイなどと八万行に渡って続くので割愛。

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