誇りのなかでも最も安っぽいのは民族的な誇りである


誇りのなかでも最も安っぽいのは民族的な誇りである。
なぜかと言うに、民族的な誇りのこびりついた人間には誇るに足る個人としての特性が不足しているのだということが、問わず語りに暴露されているからである。

すなわち個人としての特性が不足していなければ、
何もわざわざ自分を含めた幾百万の人間が共通に具えている要素に訴えるはずがないからである。
立派な個人的長所を具えた人は、自国民の欠点を常日ごろ見せつけられているのだから、
この欠点をこそ最もよく認識するわけであろう。

ところが何一つ誇りとすべきもののない憐れむべき愚者は、
たまたま自分の属する民族を誇りとするという最後の手段を命の綱と頼むのである。
これによって息を吹き返し、随喜感激して、
自国民に具わる欠点や愚かさを何から何まで力のかぎり根かぎり弁護しようとする。
――ショーペンハウアー 幸福について


痛烈ですね。ネット右翼とやらに傾倒する人や、まんまと愛国ビジネスの類の食い物にされている人々の本質を抉る様な鋭さ。自己の存在価値を外部に依存すればするほど、内面と実像の空虚、軽薄さが際立っていく。
帰属するグループの優越性を声高に叫べば叫ぶほど、個人としての特性が欠如している事を自白する事になる。

心理学はさっぱり分かりませんが、同一化とか、同一視とかいう奴でしょうか。
あたかも虎の威を借る狐の様に、貧弱なレゾンデートルを国家や民族という鎧で懸命に覆い隠す様な。
いや、ローマ人がどうこう言う私もその類なのかもしれませんが、それで諍いを起こしたり、面倒を増やしたりするのはあまり賢明とは思えませんね。


・またですか

私の狭い了見からすれば我が愛すべき祖国は、例えるなら散々好き勝手飲み食いしておいて、飲み屋のツケを子供に払わせる様なろくでもない酔払いの様に見えるのですが、多分不明極まる私の錯誤なのでしょう。

きっと我が国は依然として世界に冠たる優良国家なのでしょうし、そうであろうとなかろうと他国と自国を比較し、相対的に見ればマシと安堵し、溜飲を下げるほか無いのでしょう。
やったね!

で、また選挙なのですが。
スーパー消去法タイムですかね、また。一番マシな奴を選べ、的な。
目下最大の関心事は投票の帰りに何の酒とつまみを買うか、ですが。
豚肉でも買って炒め物にするか。ビールと葡萄酒買って昼間っからおっ始めるか。

だんだん考えるのが面倒臭く……。
まったく我が脳はスポンジ状になっているのではないだろうか。
さて、投票どうしようか……。


・氷山の一角

遊民氏が取り上げられていたので初めて知りましたが。
http://www.alterna.co.jp/13436
これが本当なら他の業界にも同じ様な状況が沢山あるんでしょうな。
良い様に食い物にされるのは何も知らない消費者、と。

ステルス税というのはネットの用語か何かだと思ったら、英語の辞書にちゃんとあるんですね。
stealth taxて。日本語だと何というのか。あるいは該当する言葉が無いのか。つまり問題とされていないのか。

確かに言われてみれば馬鹿正直に○○税なんて名前を付けて金を集める必要なんてないのですよね。
そんな事したら皆払いたくはないでしょうし、反対するでしょうし、支持率は下がるでしょうし。
生命や生活の維持に必要な食料や飲料や電気、ガスなど誰もが関わらざるを得ないものにさりげなく上乗せして、合計額で売り出せば誰も疑問には思わないし、思ったとしても払わざるを得ない、と。

国民はわけのわからないうちにあちこちで毟り取られているのでしょう。金を毟られるという事は、即ちそれを得る為に支払った時間や労力や機会を毟られているという事で、時間を奪われるという事はつまり人生や生命を奪われているという事なのでは。

こういうのが本当に必要な制度や仕組みであるのか、それとも人々の無知と無関心を良い事に搾取する小賢しいダニの様な存在なのか……。

後者なら何ともつまらぬ人間の多い事よ、と思いたくなりますね。立派な脳みそを与えられて、才知に優れ、上等な学校で学び、選ばれた者の最終目標が天下りの役員報酬と退職慰労金とは。そりゃ金があるのは良いでしょうけれど。その労働により何かを生産する訳でもなく、何かの価値を創造する訳でもなく。

こういうものに関与する人というのは自分のやっている事に自覚的なのか、無自覚なのか。その優れた知性や才能をもっと生産的な事に使おうとは思わないのでしょうか。しかし生涯を通じて、この様な事に汲々としているというのも、ある種憐れな存在なのかもしれませんね。他に何ものをも見出せなかったのかと。何とも冴えない話です。


・作業の遅延をアサシンクリードの新作のせいにする

http://www.ubisoft.co.jp/acu/movie/index.html
革命期のフランスを自由に歩けるゲームがでるとは。

光と色彩、オブジェの質感、世界の存在感がシリーズを追うごとに進歩しているのが見て取れます。
かつてあった世界を再現し、その時代にプレイヤーを放り込むというコンセプトが揺らがないというのもお気に入りです。核たるものが何であるかがはっきりしている。CODなどが見る影も無く迷走しているのを思えば歴然たる差があるのでは。

若き日のナポレオンと語らったり・・・・・・。
パリの地下の汚泥を浴びたり。
ギロチンを見学したり、バスティーユから脱出したり、サド侯爵の歪みっぷりを垣間見たり。
美しい木目の家具調度で飾られた旧体制時代のサロンやカフェをうろついたり。
荘厳な大聖堂や豪華絢爛な宮殿に忍び込んだり。

楽しい。

この調子でビザンツ帝国(オスマン朝時代のイスタンブールはあったけど)や古代ローマも再現されないものか。
バシレイオス2世の密使として帝都や小アジアの諸都市を駆け巡ったり。
トラヤヌス帝の時代ならダキアで胡散臭い工作をしたり、パルティアに粉かけたり、ハドリアヌス帝継承時の例のスキャンダルに絡むのでしょうね。で、色々と知りすぎて殺されかけ、辺境に飛ばされゲルマニアやらブリタンニアへ。
夢が広がる。


・月刊ローマ・ジャーナル

【サルミゼゲトゥサ:26日】デケバルス王は本日、サルミゼゲトゥサ近郊に集結した戦士達を前に、ローマに対する全面的な戦争の再開を宣言した。王はローマへの勝利により栄光を取り戻す事、戦利品と捕虜の分配、肥沃な土地を取得する事を約束し、戦士達は大いに気勢を上げた。一方でダキア人有力者の情報通の一部には圧倒的なローマの戦力とダキアの継戦能力を比較し、戦争の趨勢を疑問視している者もおり、ダキア軍も一枚岩ではない、というのが実情のようだ。ドナウ流域の市民達は政情不安に大いに苦しんでおり、総督と皇帝への平和回復の嘆願は日に日にその数を増している。
当支局は引き続きダキア情勢を注視し、現地取材を続行する予定。
ローマ軍の物語12
26日、故郷に別れを告げるダキアの戦士達と共にローマとの戦いへ赴くデケバルス王 提供:IRBC通信 ダキア支局


ローマ軍の物語12 ダキア

どこかで聞いたような事を……

以下pixivより

ローマ軍の物語XII “ザルモクシスの戦士達”

かつての私がそうであったように、ときとして戦いを知らぬ者が平和に厭いて、戦いを欲し意気盛んであるように、ローマ人との戦を知らぬ若き戦士達は血気盛んだ。彼らは戦争を狩りか喧嘩、部族の小競り合いの如きもの、あるいは退屈な日常から熱狂に駆り立てる何かの冒険だと見誤っている。幾許かの危険を味わい、多少の血を見て、数日もすれば記念の戦利品や土産話と共に栄光に包まれて故郷に帰る事が出来る、と。だが、トラヤヌス“王”が率いるローマ人との戦いは彼らが頭に思い描いている様な輝かしい武勇の誉を披露する場ではない。

もっとも、その無知を一方的に責める事もできまい。彼らは十数年前のタパエの大勝利や僅か数年前の“華々しく英雄的な敗北”といった綺麗に拭われた物語に首まで浸かって育ったのだから。実際の戦場で何が起こるのか、詩人や竪琴弾きが語り継ぐ様な麗しい物語が一つ紡ぎ出されるまでに、果たして幾つの醜悪で惨めな事実が拭い去られるか、という事など誰が窺い知ることができようか。

戦いを知らぬ者が死と苦痛を鮮明に思い描く事は無い。彼らが決まって口にするのは英雄的で栄光に満ちたおぼろげな死であって、病と飢え、不治の怪我、屈辱と不名誉に満ちた犬死に、そして隷属について語られる事は無い。そうした災いがその身に及ぶ事すら夢にも思わない。だが生まれてこのかた、甘美な酒のほかに飲み物を知らず、夢に浸り、酔いしれる者を咎めることなどできようか。汝らは苦い薬の味を知らぬ、などと。悪びれる事も無く、その夢幻を彼らに物語ったのは果たしていったい誰であっただろうか……。
未だ見ぬもの、未だ聞かぬものを知り、想像できる者など、どれほどいるだろうか。

天を翳らせ、雨の様に降り注ぐ鏃を、十分な鍛錬を積み上等な鎧を纏った屈強な戦士と、そうでない者を区別なく容易く屠る事の出来る兵器を、あの一糸乱れぬ盾の壁を、小柄だが等しく鍛え上げられたローマ人の侮り難い剣技を、知る者は少ない。惰弱な都市に住み、ギリシアの気風に染まる柔弱なる民などという認識は誤解も甚だしい。ローマ人とローマの戦士を混同する者はその身を以って苦い教訓を得ることになるだろう。

それを見た者、味わった者、鉄の嵐に身を竦ませ、血と臓物の匂いを嗅ぎ、膝を土で汚し泥を舐めた者の多くはザルモクシスのもとへ逝くか、その首と手に枷を嵌められローマの虜囚となった。そして、誰一人として故郷に戻る事はなかった。傲岸不遜なローマ人と彼らの“王”に対し、我等がデケバルス王がどの様な方策をとられるのかは私には知る由もないが、もはや選択の余地は無い。戦いは避けられない。大河を挟み、剣を抜き終えた二人の巨人が大魚を前にそれぞれの家で大人しくしていることは難しい。我が部族は王との古き盟約に従い、私は信義に基づき我が部族にその剣と命を捧げる。部族の戦士がその約を違える事はありえない。

我等が勝利すれば問題は無い。しかし敗北は数多の問題をもたらす。仮に敗北し、ただ憐れな戦士達の苦痛と死をもって話が終わるのなら、それで良い。それは戦士の宿命なのだから。だが、そうはならないだろう。一族もそうでない者も男も女も子供も皆虜囚の身となり果てるのだ。連れ去る価値すら無き者は屠られ、都市は毀たれ、焼かれるだろう。無論、戦の趨勢が如何に傾こうとも、混沌の後にはいずれ静けさが訪れる、荒れ狂う嵐にも必ず終わりがある様に。

ただ、静けさが訪れるには時を要するだろう。そして我が一族が生き延びるには同様に幾許かの時が必要だ。混沌が静まるまでの北部への避難、飢えを凌ぐ備え、何もかも時を要する。故に私はたとえ瞬きするほどの僅かな時であろうと、その一滴を手に入れる為ならば死力を尽くすだろう。たとえローマ人が地を埋め尽くそうと、鉄と火を以って天を覆い尽くそうと、侵略者の足を一歩でも鈍らせる事が出来るのなら、喜んでこの身を大地と神に捧げよう。

神よ、我等に勝利を!それが叶わぬのなら我が切っ先にて一人でも多くの敵を屠らせ給え。我より先に逝きし一族の者達よ、我に力を与え給え。そして我が身と引き換えに我が子、我が妻、我が友と一族のすべての者達に生き永らえる時を与え給え!
――つづく――次回、ローマ軍の物語、第13話“カストルとポルックス”ROMA AETERNA EST!!

タパエの大勝利:ローマ軍はダキアに対し、タパエの戦いで紀元87年に大敗北を喫している。

数年前の華々しくも英雄的な敗北:第一次ダキア戦争、ローマが勝利しダキア王デケバルスは降伏、停戦。

ザルモクシス:ダキア人の神。ダキア人は魂の不滅を信じていた。

侵略者:ダキアに存在した豊かな鉱山や奴隷獲得はおそらく開戦前から期待されていただろう。ダキアから見ればローマはまさに侵略者と言える。敗者は虜囚となり、死に絶え、あるいは恐怖に口を噤む以上、歴史は概ね勝者が書く。汚点や細部の瑕疵は拭われ、美々しく飾られ、都合の良いように。侵害への正当防衛、必要欠くべからざる資源獲得、あるいは内政の不備から目を逸らすため、そして“高度に政治的な判断”、名目や大義や真意は千差万別だが、何であれ額面どおりに受け取るのは危険だ。ただ一個の人間ですら日々嘘を吐くのだから、その集合体である国家は果たしてどうだろうか……。理由は何とでも紡ぎ出す事が出来る。粘土板、石碑、戦勝記念柱、新聞、テレビ、ネット、情報は何時でもどれでも恣意的に都合よく摘み上げ、編集される。情報と印象の操作は古代においても現代においても、本質的にはそう大差の無い人間の営みなのだろう。法螺吹きの私が今まさにローマとその軍団を称揚している様に。
“私が歴史を書くのだから、歴史は私に好意的だろう”ウィンストン・チャーチル

以上

 おまけ
 ローマSMS

 今回はこの辺で。
 
 デケバルス王との盟約に従い戦列に集いし全ての部族とその戦士達にザルモクシスの栄光あれ!
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軍団兵履歴

Legionarius

Author:Legionarius
主に世界史・戦史(東西問わず)の絵を描いております。

形式:Legionarius
状態:製造年月日から30年以上経過
使用燃料:Laphroaig,Bowmore,
Ballantine(12年が好ましいが財布が薄いのでfinest)
エンジン形式:惰性型酒冷4ストロークバルブ108気筒
始動形式:諦念あるいは深い溜息
搭乗機:CBR600RR07白→CBR1000RR2012に機種転換(乗り手に過ぎる良い機体ですがハイオクは財政が……)

音楽:(Bill Evans, Miles Davis, Dvořák, Linkin Park, Rammstein, Killswitch Engage, Enigma外)気に入れば何でも。

書物:ノンフィクション、歴史(ローマ史、古代ギリシャ,WW2外)、SF(ホーガン、ハインライン外)、最近はOsprey社の本ばかり。主にマクブライド先生のやつばかり。

漫画:(大陸軍は世界最強とかアララララーイとか)雑食。

ゲーム:ROME TOTAL WAR、MEDIEVAL TOTAL WAR
     CALL OF DUTY、S.T.A.L.K.E.R、SILENT HUNTER外

好きな陛下:Marcus Aurelius Antoninus、Flavius Claudius Julianus
好きな甲冑:ロリカ・セグメンタータ
好きなヴァンツァー:フロスト
好きなマクナブ:受領通知!!、カチカチ、カチカチ、続刊はいつですか。
以下、好きなギボン、サトクリフ、パウルカレル、スティーブンハンター、フォーサイス、ルカレ、エルロイなどと八万行に渡って続くので割愛。

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