こいつは幸先が良い

こいつは幸先が良い。みんな!わしはアフリカを、力いっぱい打ち据えてやった。
――スキピオ・アフリカヌス アフリカ上陸に際して転倒したあとの一言 フロンティヌス戦術書より

 また選挙、もう誰に入れれば良いかさっぱりです。
 とりあえず生産年齢人口の層を締め付けるような事ばかり言うのは勘弁して欲しいものです。
 その時は票は取れるでしょうけど、木まで枯らしたらいずれ実は絶えますよ、と。


・映画やらゲームやら
 
 神聖ローマ、運命の日 オスマン帝国の進撃
 第二次ウィーン包囲の映画、フサリアが登場するので楽しみでしたが。
 http://www.youtube.com/watch?v=M-BFL_hTjRs
 海外の評判は考証やシナリオの完成度、CGや演出への不満によって割れているようですね。
 この手の映画は少ないので気になりますが果たして。
 襲歩の突撃が描かれないというのが本当なら少し残念です。 

 ファンタジー要素を除いた中世欧風RPG
 Kingdom Come: Deliverance
 http://www.gamespark.jp/article/2014/01/23/45876.html
 一人称視点も悪くないですね。


・お絵かき

 今回はこんな感じで。
ローマ軍の物語Ⅰ

 以下pixivより

 ローマ軍の物語Ⅰ“賽は投げられた”

確かに俺の地元は最悪だ。夜も騒々しいし、路地に死体が転がっている事すらある。つまり、香を焚く様な金持ちの住む高級住宅街ではなく、上の階から娼婦とヒモの痴話喧嘩や嬌声が聞こえてくる様な大変“お上品”な地区だって事だ。

それでもローマはあらゆるものが集う世界最高の街だ。但し、致命的に欠けているものが二つあった。静けさと俺の働き口だ。家やうちの雑貨屋は兄達が継ぎ、人手は余って四男の俺に居場所は無い。都は人が多すぎて、そこらの商店の店番になる事も俺には難しかった。

勿論、殊更不幸だと思った事は無い。金が無くても楽しくやる方法は色々あるし、現に我が家はそれなりに愉快に暮らしてきた。とはいえ、小麦の給付のおこぼれを貰って、いつまでも家で無駄飯を喰らう訳にもいかないだろう。

かと言って金持ちや議員に職の口利きを頼んでみろ、連中に借りを作ったらどうなるか……借りは返さなきゃならない、法外な“利子”と共に……。

頭の切れる奴は役人か商人の見習いにでもなるんだろうが、生憎と俺は教師の懲罰棒と顔馴染になる才能しか持ち合わせちゃいない。初歩の文法ですら眠くなる様な“冴え渡った”頭脳の持ち主である俺が法律を学ぶのは難しいし、そもそも我が家にそんな授業料を払う余裕は無い。世間知らずの俺にとって比較的マシに見える行き先は一つしか思い当たらなかった。

軍団だ。飯は食えるし、給料も貰える。そして平民なりの出世も……いや、高級将校になろうなんて大層な夢はない。退役して幾許かの土地を貰い、慎ましく暮らせれば上等だ。小さな農園は奴隷に任せ、俺は浴場にふやけるまで入り浸る。何もかも過酷な軍務に耐え、さらに生きて退役出来れば、の話だが。

有力者や金持ち、役人どもに滓も残らないほど搾られるか、軍団で文字通り“死ぬほど”扱き使われるか。ここで誰かのお荷物になって静かに朽ちるか、世界を巡る危険を冒すか。結局、優柔不断な俺は自分で決断を下せず、何日も悩んだ末に賽子を転がして運命を神々に委ねるという馬鹿げた考えに辿りついた。

失敗した時は神々に悪態をつけばいいって寸法だ、最後にツケを払うのは俺だが。偶数なら意地でもローマにしがみついて生き抜く。それでも耐え抜けば、いつか日の目を見る時が来るかもしれない。奇数なら軍団へ志願。最初からキツイ目に遭うだろうが、新しい世界を見る事が出来るかもしれない。どちらも厄介だが、問題はどちらへ向かうかだ。

稀に見る神妙な顔つきで賽子を振る俺を弟と妹が小馬鹿にした様な目で眺めていたが、俺は至って真剣だった。気合の入らない顔は生まれつきだし、何しろ人生が懸っているのだ。

指先を離れた賽子は景気良く転がり、染みだらけの小汚い食卓から零れ落ち、何とも縁起の悪い事に床へ……消えた。床を探しても賽子は見当たらない、俺の人生の道標、聖なる神託は敢え無く潰えた。

この恐るべき暗示が意味する不吉な影が脳裏を占め始める前に、俺は我が家の頼もしき番犬、昼寝ばかりしている癖に何でも喰う“バシリカ”が口をもぐもぐさせているのに気づいた。幼き日に近所のバシリカ(集会所)で拾った愛犬の頬を玩具がわりの骨で小突きながら“寒さに震えるお前を救ったのは誰だ”と問うと俺の忠実なる僕は涎まみれの“俺の人生”をプッと吐き出した。

賽の目は1だった。俺の行先はマルスと鷲が決めてくれるらしい。とりあえず結果は出たし、“バシリカ”が尻から創造するブツの中から“匂い立つほど輝かしい俺の人生”を探す必要が無くなりほっとした。

どんな馬鹿げた切っ掛けであれ、目標と方角が決まれば、すべき事は自ずと明らかになる。それに、籠から零れた果物が坂を転がる様に、勢いと惰性で進むのは俺の得意技だ。家族に入隊審査について話すと母以外の全員がそれを祝福した。我が家の懐は何時だって侘しいし、俺も家計に優しい男でありたかった。そして、もう二度と賽子を振るつもりはなかった。――つづく――次回、ローマ軍の物語、第2話“冥界の門”ROMA AETERNA EST!!

俺の地元:混雑回避の為に荷馬車等のローマ市街への出入りは夜間に限られていた為、夜の道路沿いは騒がしかった。治安は地区によるが、電気で煌々と明かりを灯す現代とは異なり、夜は強盗殺人や暴行、誘拐が少なくなかった。

人が多すぎて:都市ローマの人口は物語の舞台、2世紀の時点で100万人に達していた。帝国全域の総人口は時代区分と研究者により大きく異なるが5千~6千万(トラヤヌス帝の最大版図で8千万を超える説もある)、同時代の推定世界総人口2億~2億6千万人に占める割合からも史上空前の勢力であった。なお、クァルトゥス氏が栄えある自宅警備員の職を辞するか迷っていた当時のローマは最盛期の筈だ。就活が難航したのは本人に何か問題が(何者かに後頭部を殴打され昏倒       
給付のおこぼれ:ローマに住むローマ市民は毎月約35kgの小麦の無償給付を受ける事が出来た。当初、女性と子供は除外されていたが、トラヤヌス帝は対象を貧困家庭の10歳の子弟にまで広げた。皇帝陛下万歳!!

教師:現代同様に高度な教育を受けるにはそれなりの資金を必要としたが、豊かでないローマ人も子供には最低限度の教育を施した。全てではないが多くの教師は外国人(主にギリシア人)や奴隷・解放奴隷で貧しく、しばしばその卑賤な出自と金銭対価の為の労働に従事する事を忌避する文化(主にローマの上流階級)によって卑しいものとして蔑まれた。例外的に高給取りの人気教師や有力者お抱えの家庭教師もいたが、多くは授業料滞納などに苦しめられ、貧窮していた。体罰は横行していた。なお、トラヤヌス帝は次代を担う若きローマ市民育成のため、アリメンタと称する法により、17歳未満の男子と14歳未満の女子への育英資金援助制度を制定した。皇帝陛下万歳!!

高級将校:軍団の将軍など上級指揮官は元老院階級などの有力者が占めていた。有力者の推薦があれば採用時から将校扱いという事もあった。コネが重要なのは今も2,000年前も変わらない。勿論例外はあり、中には兵卒から皇帝に出世する者もいた。

退役:ローマ軍団兵は通常25年ほどで満期除隊となる。退役後に耕作地など生計を立てる手段を貰えることもあった。

奴隷:ローマの奴隷は様々。危険な鉱山で消耗品の様に扱われたり、性的に搾取される奴隷もいれば、高度な知識や技能、芸術の才を有した奴隷や有力者の家庭教師や侍医など優遇される者もいた。農場や一般家庭における奴隷の扱いは主人の懐具合と人格次第だっただろう。中には家族同然に扱われる者、長年の勤めを労われ解放される者もいた。決して安い買い物では無いので、粗雑に扱って死なせたり、脱走や反乱の意思を抱かせるような真似は賢明とは言えないだろう。生かさず、殺さず、上手に搾取しよう!

賽子:古代ローマ時代にもサイコロはあった。賭けでイカサマを働く者も、破滅する者も、それら全てから搾取する胴元も現代と変わらなかった。労せずして儲けようと企み、あるいは束の間の熱狂に身を委ね、ときに身を滅ぼす。人間の性質はそうは変わらない。

マルスと鷲:マルスはローマの軍神。マルス・インウィクトゥス、不敗のマルスとも呼ばれる。鷲は軍団の軍旗であり象徴。

 以上

 長い、字数制限が緩和されてから歯止めが…。
 当時のローマが就職難だったかとか、怪しげな点が多々ありますが、こんな不真面目な動機の持ち主が生き馬の目を抜く様な厳しい現実、軍団と過酷な訓練、戦場を生き残れるのでしょうか…。


・仁義なきローマ帝国運営記

 小アジアはほぼ征服完了。アルメニアとブリタンニアに侵入成功。
 砲撃開始!!
包囲完了!!
 でも油断してアラビアで一個軍団壊滅…一進一退。すまぬ、すまぬ。
1月26日の戦況
 もう少しで世界制覇でしょうか…。
 
 今回はこの辺で。続きが描けたらまたお会いしましょう。
 ローマ市民ならびに元老院議員、そして軍団兵諸君にマルスとユピテルの助力あれ。
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こんにちは。
映画のPV見ました。
私自身三十年戦争は好きですが、何故か対オスマンの東欧戦線は好きになれません。
やはりそこが文明的じゃな(オイ

ゲームも結構話題になってますね!
私自身期待してます。
ですがハイスペPCは勘弁です。

トラヤヌス帝の最盛期、そこで軍団に就職しても彼のようなノンキャリア組はほとんど僻地に飛ばされるんでしょうね。
僻地・・・伝染病・・蛮族・・・
現代の黒企業とどちらがキツイのか・・・。

ローマ拡大記も見てます。
溶けた軍団はその後どうなるんでしょうね。
クラッススの遠征後の人々の末路を思い出します。

蛇足ですが、打海文三の裸者と裸者ってご存知でしょうか。
これもパラレルな現代日本を舞台にブラックな戦争経営が描かれていてとても面白いです。
なぜか戦争のある社会が歴史的に日常ではないかと想起されられるいい作品です。

長々と失礼しました。
ではでは、ノロに気をつけてください。
あれは一日で治りますが、一週間続くきっつい二日酔いよりもキツイですから。



No title

こんばんは。

フサリアには期待しているのですが、どの様な出来なのか。
やはり世界の中心はローマですね!!

ゲームは際限なく要求スペックが上がり、そのうちついていけなくなりそうです。
既にグラボがPCのケースからはみ出しそうという・・・。

軍団兵も大変ですが支援軍の兵士もさらに過酷そうです。給料も安いですし。
ブラックは最近ニュースになる事が増えてきましたが、もっと話題になって改善に繋がってほしいものです。

壊滅した軍団の捕虜は東方に連れ去られてしまいましたが、反撃し、勝利した暁には捕虜交換を行い返してもらうと言うことで。多分今頃、橋とか道を作らされてると思います。

裸者と裸者、SFですかね。面白そうな題材です。仮想の世界も緻密なものには気付かされる事が多々あります。

無駄に頑丈なので寝込む様な風邪や病気に数年かかっていないのですが、あれは強烈らしいですね。感染しないためには、やはり外に出ないのが一番か!

@takaさんもお気をつけて。
軍団兵履歴

Legionarius

Author:Legionarius
主に世界史・戦史(東西問わず)の絵を描いております。

形式:Legionarius
状態:製造年月日から30年以上経過
使用燃料:Laphroaig,Bowmore,
Ballantine(12年が好ましいが財布が薄いのでfinest)
エンジン形式:惰性型酒冷4ストロークバルブ108気筒
始動形式:諦念あるいは深い溜息
搭乗機:CBR600RR07白→CBR1000RR2012に機種転換(乗り手に過ぎる良い機体ですがハイオクは財政が……)

音楽:(Bill Evans, Miles Davis, Dvořák, Linkin Park, Rammstein, Killswitch Engage, Enigma外)気に入れば何でも。

書物:ノンフィクション、歴史(ローマ史、古代ギリシャ,WW2外)、SF(ホーガン、ハインライン外)、最近はOsprey社の本ばかり。主にマクブライド先生のやつばかり。

漫画:(大陸軍は世界最強とかアララララーイとか)雑食。

ゲーム:ROME TOTAL WAR、MEDIEVAL TOTAL WAR
     CALL OF DUTY、S.T.A.L.K.E.R、SILENT HUNTER外

好きな陛下:Marcus Aurelius Antoninus、Flavius Claudius Julianus
好きな甲冑:ロリカ・セグメンタータ
好きなヴァンツァー:フロスト
好きなマクナブ:受領通知!!、カチカチ、カチカチ、続刊はいつですか。
以下、好きなギボン、サトクリフ、パウルカレル、スティーブンハンター、フォーサイス、ルカレ、エルロイなどと八万行に渡って続くので割愛。

辺境報告
往復書簡
オスティア港
記録抹殺刑を免れしもの
軍団基地施設案内
忠誠宣誓をした軍団兵の人数
神託を得る
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