君も、われも、やがて身と魂が分れよう。

君も、われも、やがて身と魂が分れよう。
塚の上には一基ずつの瓦が立とう。
そしてまたわれらの骨が朽ちたころ、
その土で新しい塚の瓦が焼かれよう。

オマル・ハイヤーム ルバイヤート 57
Twitterにbotがあったとは…。


暖かくなってきました。これでもう二輪で凍える事も無さそうですね。
ビールがより美味くなり、ジントニックあたりが良い具合に…。
氷がカラーンって。
酒の事しか頭にないのか…。

とか言っていたら物凄い風と粉塵で折角の休日が…。
二輪で遠出はまた来週ですな。


・邦楽

 頭が狼の人達(自称:究極生命体)のバンド、Man with a missionが気に入ってます。曲も良いですが、ロックバンドなのにインタビューの受け答えが妙に礼儀正しくて、怪しげな喋り方も相まっておかしい。頭が狼の時点で既にアレなのに突っ込みどころが多すぎてもう…。笑えるけれど音楽も格好良いです。
http://mwamjapan.info/


・ついうっかり禁断の棺を開けて世界が地獄に!

 Crusader Kings 2のサントラ聞きながら騎兵をもりもり描く事ほど甘美な事が果たしてあるのだろうか!!そんな大層アレな日々を過ごしておりました。

ティムール朝

以下pixivより

荒野と草原の世界征服者

 あってはならぬ事。堅い城壁に驕る事、退く敵を侮る事、兵糧を絶やす事、遠き砂煙に油断する事、ティムールに背く事” マーワラーアンナフルの言い伝え”――法螺ですが。

 若き日に貴重な教訓をもたらした敗北を除けば、その戦歴はまさに常勝不敗。シャフリサブス(現ウズベキスタンの都市)の、テュルク系モンゴル没落貴族に生まれたティムールは僅か数人の従者しか持たぬ身分から、その軍事的才能によってトランスオクシアナを制覇しました。
 キュレゲン(大ハーン一族の女婿)として実質上の権力を手に一族による支配を確立、その後も中央アジアの征服を押し進め、北はロシア、南はインド、1402年にはオスマン朝の雷帝バヤジットをアンカラの戦いで撃破、最後は中国への大遠征の途上で没しました。もし彼の寿命がもう少し残されていたならば、どれほどの戦いが繰り広げられ、どの様な歴史が展開した事か!

 そんなティムールはイスファハン(イランの都市)にて反乱への戒めとして七万の市民の首で築いたピラミッドが象徴する様に冷酷無比な征服活動を行う一方で、学芸と経済の価値を理解し、破壊と殺戮の最中であろうと職人や技術者、学者、芸術家を手に掛ける事はありませんでした。建築、詩歌、歴史、数学、法学、医学など様々に関心を示し、読み書きは出来ぬものの、その陣営には常に書籍の”読み手”がおり、当時随一の歴史家イブン・ハルドゥーンとの会談など、その知性と教養には面会者の誰もが目を瞠ったのだとか。遠征中の情け容赦ない破壊とは裏腹に王朝の首都サマルカンドには優美なモスクや庭園が築かれ、世界一美しい”青の都”として知られております。

 またティムールの軍勢は弓騎兵や重装備の騎兵など様々な騎兵に加え、火砲などの最新技術や、工兵が編成され、イズミル(トルコの都市)攻略に見られる様に高度な攻城技術さえ有していたそうです。ティムールの棺には墓を暴いた者に大きな災いが降りかかる、と刻まれており、1941年にソ連の調査団が棺を開いた数日後、人類史上最大規模の戦い、独ソ戦の火蓋が切られました。
――次回、ティムール戦記、第22話、死闘!アンカラの戦い、世界をその手に!

以上

 トゥーラーンあるいはマーワラーアンナハル、トランスオクシアナ、ひいては中央アジアの、そして世界の征服者ティムール。今回は彼とその戦術の決定打を担っていたであろう精鋭の重騎兵達を描いてみました。この手の連中が突っ込んでくるという事は戦の型が既に嵌って勝敗もほぼ決したに等しい状態という事かも。

 乙嫁語りでは登場人物のスミス氏がアラル海の南に注ぐアムダリヤ(アム川)の北岸、キジクルムを西へ旅してアラル海に出るという地図・描写(今でいうウズベキスタンとかその辺でしょう)があったので登場人物達の先祖に少なからず関係のある人って事になりますか。

 ティムール朝の最後はウズベクによるシャイバニ朝が引導を渡してるので、少し違うのかもしれませんけど。ローマ人たる私の印象で遊牧民と言えば、東の方から押し寄せる厄介な連中であり、痩せた土地、過酷な風土、部族社会、狩猟と遊牧がもたらす乗馬術と射撃術、そして常軌を逸した行軍速度、環境が鍛え上げた艱難辛苦に耐える不屈の精神、それらの結合によって生まれる強力無比な騎兵集団とその機動戦術等々です。どちらかというと漫画で描かれるゆったりしたスローライフみたいな雰囲気ではなくもう少し厳しい社会のイメージが強いです。
 
 素晴らしい建造物や芸術品、繊細な装飾品に華麗な民族衣装など類を見ぬ華やかな文化を持つ一方で、ヒヴァなどは商人や旅人やご近所の人を捕まえて奴隷売買で儲けてた事は有名です。いや、その…奴隷はローマにも一杯いますけど。膝を土で汚す定住農耕民から見れば油断のならないおっかない連中だ、と言う事で。ほっとくとユーラシア大陸制覇してしまう勢いだし…。

 話は変わりますが失明したヤン・ジシュカ、病気の大谷吉継、足の悪いティムールなど怪我しようが病気だろうが、後遺症が酷かろうが、やる奴はやるって事ですかね。凄い人もいたもんです。
 ティムールはその名に跛者と添えられる様に、片足と片腕に負傷の後遺症を抱えていたそうです。足が悪くても馬に乗る事は出来たようで。体の具合が悪くとも世界は征服できるという事ですね。外見的特徴は様々に描写されてはっきりしない様ですが、その中でも“目に光が無い”という記述に何とも言えぬ迫力を感じます。英雄然とした覇気が感じられる活き活きした目つき、とは違って極めて怜悧な、何を考えているか常人に読み取れない目をしていたという事でしょうか。緻密な思考と深い思索をもって事にあたる、という人物だったのかもしれません。
 読み書きは出来ないけれど一度聞いたことは忘れず、書物を読ませて学んだり、音楽を聴いたり、イブン・ハルドゥーンとの逸話も含め、歴史、数学、医学など学問に強い興味を示すなど並々ならぬ知性と教養を備えていたのでしょう。

 ティムールはその生涯に渡り、ほとんど負ける事は無く、晩年に至ってもその戦術は冴え渡っています。アンカラの戦いなどは1402年で死の3年前ですし。
 アンカラの戦い、すなわちティムール対バヤズィトというある種の頂上決戦は世界最強を決めよーぜ、という小学生みたいな好奇心を満たしてくれます。ニコポリスの戦いでヨーロッパ勢の連合軍に圧勝したオスマン朝の雷帝バヤズィトをアンカラで完膚なきまでに撃滅したという事は、欧州勢<オスマン朝<ティムールという事で(何その短絡思考)。中央アジアも制している、という事はもし中国遠征で勝利したならば世界史上最高の名将という事に!おら、わくわくしてきたぞ。という子供みたいな思考に至ってしまいますよね。えぇ、仕方のない事です。避け難い事なのです。

 仮に彼の寿命に数年の猶予が与えられ、中国への遠征が叶ったならどのような対決が見られたか。そしてその後にどんな世界が展開したか。もし、というのは歴史の禁断だそうですが、気になるものはしょうがないです。ティムール対永楽帝、あまりにも壮大な対決に想像するだに変な笑いが漏れ出てしまいそうです(こいつは歴史と戦争をプロレスの対戦カードみたいに…)。同時代の洪武帝こと朱元璋も劇的な生涯(兵卒から皇帝へ)を送ってますね。中国の甲冑も調べやう。

 そして明の先には日本が…。
 長期に渡り広大な領域を纏めていく事は非常に難しい、大きければ大きいほど自壊し易く、そして指導者が優秀であるほどその次代で大帝国は潰えやすいもの。故にたとえ遠征に成功したとしても長期支配は難しかったのではないかと思います。ティムールの個人的才覚に依るところの大きいこの王朝の場合は特に。とはいえ、ムスリムが制した地域がもっと広く強固なものとなっていたなら、どんな中国が形成されて行くのだろうか、そして1549年のイエズス会(ザビエル先生)による宣教よりも前に日本がイスラムと本格的に接触したら、あるいはキリシタン大名ではなくムスリム大名が…等と思わず色々と阿呆な妄想をしてしまいます。回教とか景教とかいう言葉もありますから古くから認知はされてたのかもしれませんけど。極東がさらなる混沌の渦に…フフフ…。

(ティムールの戦術)

 ティムールが実際にどんな戦術を採ったのか詳細は明らかではないようです。しかし一族の経歴や活動地域から察するに野戦ではモンゴルの様に弓騎兵や重騎兵の連携と機動力・打撃力を駆使して勝利を掴んでいたのでしょう。会戦においては精鋭騎兵が両翼から突入する、という記述も見られるので、軽騎兵などで敵陣を散々引っ掻き回し、あるいは引き付けて誘い込んだり、巧妙に分断したり、と戦列を崩してから側面や後背に騎兵の突撃を命じたのではないかと。チェス(チェスや将棋は古代インドのチャトランガが起源だとか)の名手だったそうで、普段からチェスをして戦術や戦略の発想を得ていたのかもしれません。

 そしてDavid NicolleのThe Age of Tamerlaneには彼の戦術や戦略に関する項にindirect approachという語が見られるのが非常に気になります。これが20世紀の軍事研究者であるリデルハートが提唱した間接アプローチを指しているなら14~15世紀にティムールさんと戦った周囲の皆さんはあまりにもついてないのではないかと。
 国家の正面衝突、会戦、主力軍の撃破による抵抗力及び脅威の排除そして勝利、というシンプルかつ伝統的な概念による戦争と、外交・通商・補給・連絡・生産・輸送などの破壊・妨害の様な間接的戦略を含めて意識的に選択する指導者による戦争とでは手数と選択肢の幅に大分差がある筈…。
 戦場で相見える前に様々な手段で相手を弱体化させておけば、真正直にぶつかり合うより損害も少なく勝利を得る事が出来ますし、場合によっては戦いに至る前に相手が屈する事もあり得る、と。とても頭の切れる人だったんでしょうね。

 その騎兵達の機動力や打撃力もさることながら、兵站を強く意識した行動計画もまたティムールが並々ならぬ指導者であり軍事的才能の持ち主であったことを証しているのではないかと。明への遠征など数年がかりで準備してたそうです。兵站基地を用意し、遠征に備えて穀物を増産し備蓄するなど用意周到さが窺い知れます。
 世界戦史において最高クラスの指揮官だったんじゃないかと思います。

 さて、今回はこの辺で。

 次はCaivsMarivsさんの小説に挿絵を描くという約束を果たす事にします。
 色々調べなければならないのでまた時間がかかりそうですが、出来ましたらまた。
 
 大草原と荒野の戦士達に勝利と神の加護を!
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鬼嫁語り

ごぶさたしてしまいましたが、いつも見させていただいております。オスマン人はテュルク系の中でも鼻もちならない奴らで、、、とてもせいせいです。少し前に月の貴婦人のお話がありましたが、時代は変わるものですね(はぁ)。いつも楽しみにしております。

No title

おひさしぶりです。

あれほど叩きのめされて、指導者まで捕まってしまったのにしぶとい人達ですよね。

目下、日本の縄文、弥生、古墳時代とケルトを混ぜたような戦士達とローマ風軍団との戦いを描いております。我ながら無茶苦茶をするものだ、とは想いますが描いてると結構しっくりくるものです。

お久しぶりです。
すいません。私の無茶ぶりに忠実に応えて下さっているようで、嬉しいやら申し訳ないやらで。
ありがたい限りであります。

でも、弥生後期、古墳時代は、ちょうど帝政期に相当するので、まあ、異文化交流戦と言うわけで、ティムール対永楽帝のようなものでしょうか。

目下、私は、リアルに北のリーメスに飛ばされた新米百人隊長のごとき境遇で、筆も中々進みません。
どんな状況でも定期的に絵を描かれるLegionsrius様を見習わねばと反省致します。

それでは、絵の完成を楽しみにしております。


No title

Caivs Marivsさん

お久しぶりです。
環境が変化されたそうで。私も定期的に部署やら場所やらが大きく変わるので心中お察しします。
万事恙無く過ごされますよう。

とりあえず下書きを最新の記事に貼ってみましたので、イメージと大きく違う所がありましたらご指摘下さい。ゆっくり塗っていく事にします。
軍団兵履歴

Legionarius

Author:Legionarius
主に世界史・戦史(東西問わず)の絵を描いております。

形式:Legionarius
状態:製造年月日から30年以上経過
使用燃料:Laphroaig,Bowmore,
Ballantine(12年が好ましいが財布が薄いのでfinest)
エンジン形式:惰性型酒冷4ストロークバルブ108気筒
始動形式:諦念あるいは深い溜息
搭乗機:CBR600RR07白→CBR1000RR2012に機種転換(乗り手に過ぎる良い機体ですがハイオクは財政が……)

音楽:(Bill Evans, Miles Davis, Dvořák, Linkin Park, Rammstein, Killswitch Engage, Enigma外)気に入れば何でも。

書物:ノンフィクション、歴史(ローマ史、古代ギリシャ,WW2外)、SF(ホーガン、ハインライン外)、最近はOsprey社の本ばかり。主にマクブライド先生のやつばかり。

漫画:(大陸軍は世界最強とかアララララーイとか)雑食。

ゲーム:ROME TOTAL WAR、MEDIEVAL TOTAL WAR
     CALL OF DUTY、S.T.A.L.K.E.R、SILENT HUNTER外

好きな陛下:Marcus Aurelius Antoninus、Flavius Claudius Julianus
好きな甲冑:ロリカ・セグメンタータ
好きなヴァンツァー:フロスト
好きなマクナブ:受領通知!!、カチカチ、カチカチ、続刊はいつですか。
以下、好きなギボン、サトクリフ、パウルカレル、スティーブンハンター、フォーサイス、ルカレ、エルロイなどと八万行に渡って続くので割愛。

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