君主たる者、けちだという評判を恐れてはならない。

君主たる者、けちだという評判を恐れてはならない。
――ニッコロ・マキャヴェッリ

 処女性に対する背信行為から処罰を受けたとか言う某騒動は物凄く歪んでいるなぁ、としみじみ眺めておりました。ウェスタの巫女なら生き埋め、某賭博黙示録なら”焼き土下座”ってやつですかね。
 そういや坊主頭がいまだに反省の意とされているのは出家したり、隠遁したりする事で失脚した者や敗者が政治的責任の追及を免れたり、減刑されたりする伝統的スタイルに由来するものなんですかね。あれは剃髪でしたっけ?
 こういうグループの良さはさっぱり理解できませんが、偶像崇拝の過熱と仕掛け人の効率的な金銭獲得への手法が結実した果てに生まれた社会現象ってことならばその歪みっぷり、捻じれっぷりはとても興味深いです。どうしてこういう事が起こるんだろうか、と。”退廃”ってのはこういうのを言うんでしょうか。しかし知名度を上げる手口としては素晴らしく狡猾ですね。


 また雪、どうせなら交通機関が止まって休めるくらい降ってくれると良いのに。物流が滞ったり、休み明けの処理で地獄を見る羽目になるのは目に見えてるのでやはり結構です。


・絵

 今回はこんな感じです。
吝嗇帝

 以下pixivより

偉大なる吝嗇帝

皇帝「もうちょっと、まからんか」
建築士弟「…この規模ではキツイっすね」
姉「ボソリ(我が愚弟よ…コンクリで経費節減可能よ)」
弟「いや、我がローマが誇るコンクリを用いれば造作もありません、陛下」
皇「耐震性とか構造計算は?そこらのインスラみたいに手抜きで崩壊はあかんで」
姉「ボソ…(私の完璧な設計なら2千年経っても壊れないわ。人間が壊さない限り)」
弟「ウィトルウィウスの再来と呼ばれた我が腕と工房をご信頼あれ!」
皇「せやけど装飾は大理石とかブロンズでぶわーっと、ええ感じで頼むで」
弟「…陛下、予算を頂かぬ事には」
皇「せやから小便に税金掛けるほど金が無いねん」
弟「それは困りますな」(以下無限ループ)

――姉は一級建築(略。
 ウェスパシアヌス帝、父は徴税請負人、母は騎士階級(経済階級)で帝都の名門貴族ではなく。軍ではゲルマニア、ブリタニアで活躍し、公職において一定の地位を占めるも、ネロ帝主催の音楽会で当の皇帝の演奏中に居眠りして左遷(劇場の塀を登って逃げる者もいたとか。想像を絶する退屈さだったのかも。逆に内容が気になる)。
 隠居後はドラマのANCIENT_ROMEでは田舎で養蜂してましたが実際は…?結局、得難い人材である為、ユダヤ戦争における軍事指揮官に再起用されます。
 ネロの死後はガルバ、オト、ウィテリウスと皇帝乱立の内乱時代を生き延びて皇帝に即位。慎重派で内乱期も軍団への根回しとローマの胃袋を支えるエジプトの戦略的意義を明確に理解し行動しています。即位後も権力に溺れず、私利私欲に駆られる事も無く、失政と内乱で危機に瀕した財政と経済の健全化を図り、法を整備しました。
 が、他の皇帝と比較するとそうした堅実な振る舞いが吝嗇と受け取られたのかもしれません。とはいえ軍も市民もけして驕らぬ皇帝に親しみを持ち、からかいつつも忠誠を誓っていたそうです。
 己への皮肉や風刺を咎める事無く冗談でやり返し、死に至るまで皇帝としての役目と諧謔の精神を忘れず、帝国再生と繁栄の礎を築いたウェスパシアヌス帝は五賢帝に勝るとも劣らぬ皇帝であると思います。
 ローマン・コンクリートの建物は鉄筋無しでも堅固で今も残っている遺跡の数々がその証明であります。
――財政再建には400億セステルティウスが必要であると彼は述べ、充当された財貨には強引かつ不正に徴収されたものもあったが、それはこの上なく正しく使われた。――スエトニウス

以上

 ウェスパシアヌス帝即位の陰の功労者、ムキアヌスとかプリムスも描いてみたかったけれど、この頃にはもうローマにはいなかったんじゃないかと思います。プリムスなど戦争にならないと出番のない様な人だったらしいので。強いて言うなら奥の部屋で寝っころがって飲んでるのがプリムスで、天気良いんだから外に出たらどうだ、と言ってそうなのがムキアヌスという事で。

 そして恥ずかしながらコロッセウムの設計者が誰か知らないのですが、何かの本に載ってますか?

-後日談-

弟「しかし姉者、あんなに値引きして大丈夫なのか」
姉「ボソリ(我が愛すべき愚弟、抜かりはないわ。見積もりはいつも三割盛ってるもの)」
弟「流石は俺の姉者!ちなみにばれたらどうするの?」
姉「ボソ(そこで家長の貴方の出番という訳よ。責任者は責任を取る為に存在するの)」
弟「…(ガクガクブルブル)」


 2回連続で平和な絵とは…そろそろ騎兵分が不足してきました。

 ローマの住宅地では大家が無茶な高さ(高層建築ほど儲かるから)で手抜きのインスラを建てまくって家賃をふっかけて阿漕な商売をした挙句、倒壊や火災というパターンはしばしばあったようで。アウグストゥスの頃もネロの頃も建築規制を出していますが、あまり効果なし…。我等がキケロ先生などは倒壊した自分のインスラを前に、新しいのを建てれば高い賃貸料が稼げる、などと素晴らしいコメントを残されたとか。2000年経とうが人間の振る舞いや性根は大きく変わらないってことでしょうか。

 そういう粗製乱造の耐震性偽装マンションもとい自壊するインスラは別として、ちゃんと設計されたコロッセウムはローマのコンクリートの性能もあり、鉄筋などなくとも頑丈に作られていたようです。

 ただコロッセウムはどこぞの某西方教会の総本山含め、あちこちの大変お行儀の良い紳士淑女の皆様に石材をパクられて切り分けたケーキみたいになっちゃってますけど、我が帝国もエジプトのオベリスク始め、あちこちのお友達から頂いたお土産を持ち帰って競技場に飾ってしまったり、おうちの素敵なオブジェにしていた様なので、よそ様の事は言えませんな。コンスタンティノポリスに遷都した時はローマの建造物の装飾を使って(引っぺがして移設するという共食いみたいな事)リフォームもしてますし。
 だから地中海よりも広い心を持ち、ヘラクレスの柱よりも高く堅い志を持つローマ人であるところの私としては、いかに敬愛するウェスパシアヌス帝渾身の力作が今日に至り、かつての雄姿を失っていようとも、それは悠久の時の為せる業であるとして、慈愛と寛容の心で受け入れ、全然これっぽちも微塵も恨んでなどいないのです。(ニコニコしながら帝国謹製の伝統的処刑具、十字架を組み立てつつ腹を空かせたライオンと熊を解き放ちながら)

 ウェスパシアヌス帝の法整備により、ローマの指導者、すなわち皇帝の地位と権限は堅固なものとなりました。しかし同時に成された終身指導者に対する弾劾権の拒否は、皇帝の地位を揺るぎないものとする一方で後々致命的な問題を生む事となります。
 つまり、何らかの理由(政治的・軍事的無能、暴君等々)により人々が皇帝をその地位に不適当な人物であると判断した場合、その排除に法的または慣習的な更迭手段が存在せず、殺害以外の手段を持たない事になってしまったのです。こうしてローマ皇帝の多くは寿命を全うすることなく、自殺や暗殺、陰謀の結果、命を落とす悲劇的な末路を辿る事となります。歴代皇帝のうち自然死を遂げたのは4割に満たないとか…。

 功罪いろいろありますが、如何なる立場においても揺るがぬ人格と帝国最盛期への基礎を築いた功績を見ても、偉大な皇帝の一人といえましょう。


・小説の話

 もう随分と前に私が記した”小説らしきもの”の舞台を元にPixivでもお知り合いのCaivsMarivsさんが前日譚を書いてくださいました。
 元の物語を書いた私よりもずっと明確な世界像、深く掘り下げた人物像を構築されており、その該博な知識も相まって読む者に一つの世界に潜り込む様な体験を提供してくれる事でしょう。
http://www.pixiv.net/novel/show.php?id=1864657

タイトル

 ルキウス・フェリクスのヒュカルニアでの行動についての覚書

あらすじ

 オルディア帝国第23軍団の若き百人隊長ルキウス・フェリクスは軍団の配置転換に伴い、帝国東方の地、神々も忘れ去りし世界の果て、ヒュカルニアスが征服せし辺境の島、ヒュカルニアでの任務に赴いた。本土や北方戦線とは大きく異なる気候風土に習俗、一癖もふた癖もある百人隊の部下達、底知れぬ同盟部族の長。新しい任地に山積する課題に取り組むルキウスと仲間達。やがて皇帝の名の下に比較的平穏な統治下にあったヒュカルニアに再び不穏の影が!

 そんな感じでしょうか。間違ってたらすみません。
 舞台はどこぞの古代帝国の面影を持つオルディア帝国という国の辺境となっております。元首政期の某帝国と比べ、どちらかというと専制君主制に傾いており、皇帝権限が強い様です。

 登場人物は概ね以下の通り

ルキウス・フェリクス
 第23軍団の百人隊長の一人、故あって斥候騎兵から転科。現在は歩兵将校としてその情熱を軍団での勤務と仲間達に注いでいる。静かな闘志と冷徹な指揮官の素質の持ち主。

マリウス
 百人隊連絡下士官、不平屋だが有能な事務官でもある。

ドミティア
 規律正しき女性十人隊長。コントゥベルニウム(テント組)の支配者。上官に複雑な思いを抱いている模様。

アティア
 恐れを知らぬ百人隊旗手、ドミティアの友人にして相談相手。

ウァッロ
 百人隊副官、個性派揃いの部隊における稀有なる収拾役。

マルクス・キウィタス
 駐屯地指揮官。昇進間近の中級百人隊長。

ヴァボロニクス
 帝国と同盟関係にあるヒュカルニア原住民、勇猛なる”雄牛の角族”の族長、同盟軍部隊の指揮官

クロエリア
 グレン人の娘。故あってぺトラスとルキウスの家族となる。本の虫、記録魔にして鋭い洞察力の持ち主。

ぺトラス
 ルキウスの叔父、厳格なる第10軍団上級百人隊長。故あってルキウスとクロエリアの養育者。

 
 自分も続きを書かねば、と思ってはいるのですが…なかなか、と言い続けてはや5年か…。



 さて今回はこの辺で。
 また何ぞ出来ましたらお会いしましょう。

 皇帝とローマ市民諸君に神々の助力あれ!
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非公開コメント

No title

大丈夫です!5年もかけて自分の動画を未だに連載しているものもおりますれば!

気が向いた時にでも書けばよろしいかと!

No title

そういえばそうでした!
そうですね、時が経つのは早いもの、とはいえゆっくり少しずつやってみようかと。
軍団兵履歴

Legionarius

Author:Legionarius
主に世界史・戦史(東西問わず)の絵を描いております。

形式:Legionarius
状態:製造年月日から30年以上経過
使用燃料:Laphroaig,Bowmore,
Ballantine(12年が好ましいが財布が薄いのでfinest)
エンジン形式:惰性型酒冷4ストロークバルブ108気筒
始動形式:諦念あるいは深い溜息
搭乗機:CBR600RR07白→CBR1000RR2012に機種転換(乗り手に過ぎる良い機体ですがハイオクは財政が……)

音楽:(Bill Evans, Miles Davis, Dvořák, Linkin Park, Rammstein, Killswitch Engage, Enigma外)気に入れば何でも。

書物:ノンフィクション、歴史(ローマ史、古代ギリシャ,WW2外)、SF(ホーガン、ハインライン外)、最近はOsprey社の本ばかり。主にマクブライド先生のやつばかり。

漫画:(大陸軍は世界最強とかアララララーイとか)雑食。

ゲーム:ROME TOTAL WAR、MEDIEVAL TOTAL WAR
     CALL OF DUTY、S.T.A.L.K.E.R、SILENT HUNTER外

好きな陛下:Marcus Aurelius Antoninus、Flavius Claudius Julianus
好きな甲冑:ロリカ・セグメンタータ
好きなヴァンツァー:フロスト
好きなマクナブ:受領通知!!、カチカチ、カチカチ、続刊はいつですか。
以下、好きなギボン、サトクリフ、パウルカレル、スティーブンハンター、フォーサイス、ルカレ、エルロイなどと八万行に渡って続くので割愛。

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