ノートを取りたまえ、ガウゼ、この場所には千個ほどの地雷が必要だ。

休みだ。
降下開始!降下

絵の練習を続行したいところですが所要で出掛けねばなりません。
やっと光と影が少しだけ分かってきたのに出ねばならぬとは。
あと、定規の使い方が今まで良く分かりませんでしたが調べたら
あっさり分かりました。直線を引くのが簡単です。
ググれよ、を地で行ってました。何と愚かな自分。
無知の知とかそういうレベルじゃないメジャーリーグ級の無知さ加減。

では、出立が早いので終わりにします。
無事帰還できますように。皆様によき休日がありますように。

いつもの続きをはっときます。第14回。
(帝国暦324年7月13日 帝都ヴァレス)
 七十万人が住まう帝都の中心には断崖に囲まれた小さな谷がある。全てはその裂け目に住む一部族の敗北から始まり、やがて彼らは世界を制することとなった。オルディア人が単純にヴァレス(谷)と言った場合、それは帝都を指す。谷の外は住宅地、商業区、広場、浴場、闘技場等で埋まった人口稠密地であるのに対し、狭く不便極まる谷底は果樹園と菜園、そして僅かな官庁が占めている。
 その中央に大理石を用いてはいるが華麗さや優美さとは無縁の質実剛健な佇まいをした皇帝宮と元老院議事堂が身を埋めている。朝日が昇り帝国の中枢はその活動を開始した。皇帝宮の屋根が日差しを受け、そこから数え切れぬほどの鳩が飛び立ち、羽ばたいた。
 巨大な列柱、緋色の絨毯の敷かれた皇帝の間。玉座の後ろには深紫の皇帝旗。旗は銀の房で縁取られ中央で六本足の獅子が吼えている。薄暗い壁際には黒い甲冑と外套を纏ったプラエトリアーニ(親衛隊)。交差する槍と獅子の装飾を施した大盾を持つ全軍団選りすぐりの兵士が無言の石像と化す。
 随所にある円形の天窓から日光が差し込み、謁見が始まった。その日最初の訪問者は慇懃に皇帝の健康を寿ぐ外交官や大貴族ではなく、商談の土産に魅力的な貢物を献上しに来た贅を凝らした服装の商人でもなく、報告や陳情の為お目通りを願った地方総督でもなかった。
 足早に皇帝の前まで歩み、きっかり十歩手前で跪く男。土埃に汚れた外套は銀に輝くブローチで留められている。そこに刻まれているのは迅雷と巻物の印、伝令の信条 『CITIUS CITIUS CITIUS、速く、より速く、もっと速く』。伝令は簡明にして朗々たる口上を発した。
「慈悲深く、帝国に遍く秩序をもたらし給う、いと誉れ高きバシレイオス皇帝陛下、第10軍団司令官レオニス将軍より、スーク地方の情勢とダシュト軍の動静報告をお持ちしました」
 玉座に掛ける五十過ぎの男。中背で少し痩せてはいるが往時は屈強な兵士であった事を窺わせるに足る体格。真白の頭髪を短く刈り込み髭も短く剃っている。その相貌には統治者の心労を偲ばせる皺が刻まれているが依然旺盛な覇気が漲り、曇り無く思慮深い瞳が埋まってた。
 衣服は極めて簡素かつ地味で淵に濃紺の二本線が入ったトーガ(長衣)を身につけている。そのため帝国の支配者故にその装いは豪奢である筈だといった推測で彼を皇帝と判別できる要素は無い。巻貝から作る極希少な染料で染め出した外套『皇帝の紫』を纏っているという事実の外は。
「大義であった。伝令、近くへ寄って書簡を読め」
 皇帝は人払いを命じそこには皇后、側近、近しい将軍、大臣、そして伝令だけとなった。皇帝は簡潔な言葉しか用いない。貴族が子弟に学ばせるような修辞学や威厳を持たせる為の大仰な振舞い方はそこには存在せず、しばしば野戦将校のように振舞った。そして本来伝令が書簡の内容を知ることは無いのだが皇帝はしばしば伝令に書簡を読み上げさせた。
「はっ、では。我が親愛なる皇帝陛下、挨拶は抜きで報告致します。スーク市街の治安に限れば表立って大きな異常は御座いません。しかし水面下でダシュト王国の間者 『王の手』の活動が活発化しております。こちらは現在第10軍団防諜部が調査続行中であります」
伝令が文章の区切りで一旦止める。皇帝が予言者か何かの様に答える。あたかも事前に告げられることを知り、その答えを考え終えていたかのように。
「最悪の事態に備えよ。決してそれを気取られぬ様、目立たぬ様に行え。門前で酒宴を開き、蔵に矛と飼葉を積め、の諺通りにな。情報は帝国の命である。続けよ」
 書記官が手元の書簡に手早く皇帝の言葉を書き付け、伝令が報告を続行した。
「はっ、一方で国境に目を移すと王国軍が弓騎兵を中心とした快速部隊を編成し盗賊に偽装した上で数多の村落を焼き、掠め、侵しております。我が軍の即応部隊を派遣し一応の収拾をつける事は出来るものの速度の差により後手に回り続けているのが現状です」
 皇帝の側近達がダシュトへの軽侮や怯え、現地駐屯帝国軍団の不甲斐無さといった不平不満を口々に述べ始めた。皇帝が右手を上げ静かな挙措でそれを抑えると伝令が続ける。伝令は書簡に事細かに記載された物価の動向や関係組織の詳細な動きと利害関係を皇帝に告げた。
「……以上の様にあらゆる戦時必需物資の価格が高騰し、各種組合が活発に活動しています。これらの動きは帝国の秩序にとって極めて大きな危険となり得ると判断しております」
 皇帝は目を瞑り頷いた。彼の脇に控え、純白の外衣に身を包んだ黒髪の皇后が少し前に進み出る。立ち居振る舞いはいたって穏やかだが決して軟弱な物腰ではない。側近たちの注意が集まると彼女はさながら彫刻の女神のようにぴたりと動きを止めた。整った口がゆっくりと開き算盤を弾くが如き着実さと冷静さを帯びた口調で伝令の言葉を受け後を継ぐ。
「将軍の報告は正鵠を射ておりましょう。王国軍は我が軍を挑発しておりその意図は明白。それは示す事。王国の民は古来より力を求める性向が御座います。オルディアと一戦見え強き王である事を、正統性を示さねばあの国は治まりません。彼らは普く秩序を築く事を統治の根拠としている我が国が見え透いた挑発に乗ると踏んだのです」
 側近の一人が皇后の意見に疑問を示す。
「我が帝国の軍事力を持ってすれば西方の蛮族など鎧袖一触では御座いませぬか、国力に断然の差がありましょう。彼らは何故にこの様な愚拙で勝算の無い戦いを仕掛けるのです?」
「確かに国力の差は歴然。しかし彼らは知っているのでしょう。我等が全力を注ぐ訳にはいかぬ事を。派遣可能な戦力の限界を見切った巧妙な戦略です。ただ一つ腑に落ちぬ事が、陛下」
 皇后に同意する様に頷いた皇帝がもともと険しい表情をさらに厳粛なものにした。
「うむ、アルテミシア、私もそれを思っていたところだ。理に適わぬ。あの男に従わぬ者、王と認めぬ者などもはやあの国にはおらぬのだからな」
 皇帝は思った。あの賢明な男が、王国には諸王の王がいる。かつて唯一度だけ戦場で相見えた誇り高く、帝国を前にして一歩も引かぬ不敵な王アルナイル。誰もが認めるあの王に外征など必要無い。不調だとは聞いたが彼の身に何かあったというのか。皇帝は思案を止め決断した。
「だが我等とて只手を拱いている訳にはいかぬ。総督に伝えよ断固たる対応を取るべし、と。増援として第8、第11両軍団をスークへ急行させよ。それから今すぐ『あの者達』に伝令を」
 皇帝と側近が対策の討議を行い、その意を受けた書記官が完成した書簡を皇帝に捧げる。皇帝バシレイオスは伝令に書簡と褒美を下賜し、労いの言葉を掛けた。
 伝令は来た時と同じ様に誇り高き印を煌かせ皇宮を出た。そして帝国随一の駿馬ヴェントゥス種の黒馬を駆り、世界の中心たる豊饒の大地から一路灼熱の最前線へと向かった。

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プロフィール

Legionarius

Author:Legionarius
形式:Legionarius
状態:製造年月日から四半世紀ほど経過
使用燃料:Bowmore,Ballantine(12年が好ましいが財布が薄いのでfinest)
エンジン形式:惰性型酒冷4ストロークバルブ108気筒
始動形式:諦念あるいは深い溜息
搭乗機:CBR600RR07白(乗り手に過ぎる良い機体ですがハイオクは財政が……)

音楽:(Bill Evans,Miles Davis,Dvořák,Linkin Park,Rammstein,Killswitch Engage外)気に入れば何でも。

書物:ノンフィクション、歴史(ローマ史、古代ギリシャ,WW2外)、SF(ホーガン、ハインライン外)、

漫画:(大陸軍は世界最強とかアララララーイとか)雑食。

ゲーム:ROME TOTAL WAR、MEDIEVAL TOTAL WAR
     CALL OF DUTY、S.T.A.L.K.E.R、SILENT HUNTER外

好きな陛下:Marcus Aurelius Antoninus、Flavius Claudius Julianus
好きな甲冑:ロリカ・セグメンタータ
好きなマクナブ:受領通知!!、カチカチ、カチカチ、続刊はいつですか。
以下、好きなギボン、パウルカレル、スティーブンハンター、フォーサイス、ルカレ、エルロイなどと八万行に渡って続くので割愛。

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