ロンドンさえ売るぞ!買い手さえ居ればな


ロンドンさえ売るぞ!買い手さえ居ればな
――獅子心王リチャード1世、十字軍の軍資金の為にありとあらゆる物を売却した末に。

 良いなぁ、売るほど物がある人は。
 無産市民の軍団兵には羨ましい限り。


・ゲーム

 War of the Roses

 ばら戦争のゲームがそろそろ発売ですね。Steamだと10/3のようです。
眩く輝くイギリス式甲冑、重装騎兵の重々しい突撃、キリキリと絞られ、そして放たれる鋭い鏃に断末魔、振り下ろされる鈍器にひしゃげた兜から噴出する血潮!
 そんな事ばかり考えてるアレな人向けのゲームですな。
 Mount and blade2はいつ出るんだろ。

 Crusader Kings II: Legacy of Rome

 ビザンツ帝国を中心に製作されたCrusader Kings IIの拡張版、えげつない外交政策やマゾい軍事情勢などが楽しめるのでしょうか。

 Assassin's Creed 3

 アメリカ独立戦争を舞台に例のパルクール狂の血族が活躍するゲームも11/15発売のようです。

 Rome2 Total war

 こっちは来年ですか。とりあえず来年まで生きねばならぬ理由が出来た。

 Medal of Honor: Warfighter

 メダルオブオナーは11/1。
 また昔みたいに一人で敵地に突っ込んで、ありえない活躍をする様なゲームになってないと良いが…。

 あとはシムシティが気になります。結局気付いたらゴッサムシティーみたいなろくでもない町を作ってるんでしょうけど…。

 1日が36時間くらいあれば良いのに。金星(金星の一日は地球の約117倍)とか他の惑星に住めば良いのか!

・最近見た映画

アイアンクラッド

 マグナカルタ後のジョン王と蜂起した貴族、その仲間とテンプル騎士団員がひたすら攻城戦を戦い抜く映画。1000対20は流石にきついんじゃ…。ちょっと手薄なところから城壁を上られたら詰むだろうに。とにかく剣や斧を振るえば手足や首が吹っ飛んだり、噴出する血や切断面がこれ見よがしに映ったりするので苦手な人にはお勧めできないです。中世の城攻めで用いられた攻城塔、破城槌、坑道を用いた地上構造物の破壊、その対策などが一通り登場するので興味のある人はどうぞ。結構な迫力です。あと騎士に執拗に言い寄る姫様が何だかおかしかったです。

ヴァルハラライジング

 何だろうこれは…。バイキング・バイオレンス・ロードムービー?
 血が出たり頭が割れたりする暴力描写の激しい映画でしたが自然の描写や構図などはとても綺麗でした。
大分呑みながら見てたせいか、もともとそういう映画なのか、前座剣闘士並みの脳みそしかない私にはストーリーは良く分からんです。哲学的な意味を持っているであろう象徴的なシーンや台詞、色調が駆使され深い意味が隠されているのでしょうが、どこかで解説でも読んでもう一度見ないと分からぬ…。キリスト教が各地に浸透する時代の不穏な雰囲気は良く出ていて面白かったです。疲れてるときに見ると十中八九途中で寝ます。

バルバロッサ 帝国の野望

 赤髭こと神聖ローマ帝国皇帝フリードリヒ1世のイタリア遠征を舞台にレニャーノの戦いに至るまでを描いた映画。当ページ的にはとりあえずロンバルディア同盟ではなく皇帝陛下を応援する映画。
 たびたび未来を予知するヒロインが電波っぽい、主人公が21世紀のアメリカ生まれかと突っ込みたくなる位にフリーダムを連呼する、ミラノの城壁が投石機の砲弾を喰らう度にボッコリ穴が開く、などおいしい突っ込みポイントが盛り沢山ですが結構頑張ってる映画だと思います。それと陛下の妻、ベアトリス1世のキャラクターがなかなか癖があって良い…史劇が好きな人はどうぞ。

ルートアイリッシュ

 イラクのバクダッド国際空港とグリーンゾーンを結ぶ非常に危険な道路、通称ルートアイリッシュで待ち伏せ攻撃を受けて死亡したPMCオペレーター、その死の裏に隠された真実を追う友人と未亡人の話。未亡人と懇ろになる話を入れる必要があったのか疑問ですが、いずれにせよ旬を逸した感があります。オチも民間軍事会社関連の書籍やドキュメンタリーを幾つか見たことのある人なら今更感が。実際の業務や現場の仕事ぶり、会社組織の構造、予算獲得の方法や法律の抜け道、誰が得をするのか、などを扱ったドキュメンタリー番組を見たほうが良いかも。

 いや…今回もまた順調に歴史と戦争の映画ばかりですね。
 ヴァルハラがライジングしてんのはお前のおつむだろって話ですな。


・絵

 今、アステカがアツい!
 とか訳の分からぬことをいいながらウィツィロポチトリの啓示に従いイーグルウォリアーを描こうかと思いましたがまだまだ勉強が足らぬので、いつも通り西の連中の甲冑を描くことにしました。結局そこか…。今世紀中には描く!ジャガーウォリアーとセットで。

 百年戦争初期

 常日頃から古臭い戦争やら甲冑やらの事で頭が一杯の珍妙な趣味の人を除けば、多くの人にとって西洋甲冑と言う言葉がイメージさせるものと言えば、大きな洋館の広間や応接室の壁際に飾られた全身を板金で覆う事の出来るドイツ式、イタリア式、イギリス式などの一般にはプレートアーマー(アーマーだけでも板金鎧を指すので便宜上とはいえ重複表現となる)と呼ばれるものや、マクシミリアン式などのフリューテッドアーマー(重量を抑えつつ強度を増す為にfluted”溝を打った”もの)、パレードやトーナメント用の鎧だと思われます。
 今回はそれら15世紀から16世紀にかけて甲冑加工技術の全盛・爛熟期と言える時代より少し前の、英仏百年戦争初期、14世紀前後の西欧の甲冑をイメージしております。装備などについては、また次回ごちゃごちゃ書くこととしましょう。

 そしてしばらく屈強な男共ばかりだったので女性を。描いといてなんですが、この髪型は何という名前なんでしょうね。古風な出で立ちであることはわかりますけれど。普段から髪型などさっぱり意識してないので床屋(カット980円)の注文でも、スパルタ人の会話並に短くさっぱり、とかサンディエゴの某訓練所にやってきたばかりの新兵みたいに、とか当分この空間に来なくていいくらい短く、くらいしか思いつかないので、コミュニケーション能力の欠如と相まって店員と意思の疎通が図れてない事が多々あるのですが…。そんな奴に分かる筈もなく。アジア圏特有のものなのでしょうか。いずれにせよ、これでは戦えない…せめて束ねないと。頭上で巻き髪にしたら兜のクッション材が要らないかもしれませんな。いや入らんがな…。

 あと、しばしばゲームに登場する露出度が高い女性キャラクターはどうも性に合いません。剣やら弓やらを手挟んで修羅場に臨んでいるのに腹や胸部、脇、大腿部、頸部が大胆に露出して、臓器、動脈、中枢神経が保護されていないのは何だか不憫な死に様がありありと目に浮かんでしまいます。デザイン上の都合や趣味に文句を言ってもしょうがないんでしょうけど。むしろ兜を外さないと男女の区別がつかない位の重装が出来たら面白そうです。ホウバークにサーコート、バケツ頭や豚鼻を被って、盾を背負ってベルトに剣とダガーを吊るす位の勢いで。まさに露出度0%。それでも男性と女性の骨格や筋肉のつき方は違うので肩や腰のフォルムで何となく分かるかもしれません。


 今回はこの辺で。
 いつ出来るかさっぱりわかりませんが、絵が塗れたらまた。

 それでは楽しき一週間をお過ごし下さい。
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もしも神が彼にもう幾年かの人生を与えていたら

もしも神が彼にもう幾年かの人生を与えていたら、ライン、リメスゲルマニクス、そしてドナウという、帝国の北の生命線の平穏化は成っていただろう。――ヘロディアヌス、2~3世紀のローマの歴史家、マクシミヌス帝について


 出張行って帰ってきたら一週間終わってたとか…。おぉ、ヤヌス神殿の扉はいつ閉じると言うのだ!

 中国がまた燃えてるそうですね。
 日系企業の工場や商店やレストランで働いてる中国の人は自分の生活と遠くの島を天秤にかけられてどう思ってるんでしょうね。おいおい勘弁してくれよ、ったく…と思うのか存外にナショナリズムに煽られてしまうのか。無関係の他所の国の資本による高級商店なんかも襲われているので略奪を働きたいだけの人も少なくない様ですね。あとは不満が溜まって憂さ晴らしできれば何でも良いという人も…。毎度同じネタで不満の矛先を外に逸らせるんだから統治者としてはちょろいもんですな。シミュレーションゲームの人民ガス抜きコマンドみたい…。
 パンとサーカス、そして摩擦と戦争の熱狂!

 ゲームじゃないんだから…。

 
・ドナウの守護者

 今回はこの辺で。

 マクシミヌス帝

 以下pixivより

 適材適所

 ゴートの父とアランの母を持つ半蛮族ではあったが、彼ほど軍団兵らしい軍団兵もいなかっただろう。百人隊長として共に戦う者には誇りを、部下達には畏敬の念を抱かせた。絶えず統率力を示し、敵陣には最初に突入し、決して背を向ける事無く最後に後退した。国家と皇帝への明白な忠誠心、炎の様な獰猛さを隠さぬ一方で鉄の規律も併せ持ち、訓練教官として新兵の教育にも余念がなかった。若き日の伝説も相まってその名を知らぬ軍団兵は皆無であった。まさに古より共同体を守護せしローマ戦士の鑑であったのだ。ただ彼はどこまでも兵士であり、百人隊長であり、大隊長であった。皮肉にもその類稀なる美徳は紫衣を纏う至高の地位において十分条件とはなりえず、帝国に致命的な危機を齎す一因となった。
――3世紀の歴史家、退役将校ティトゥス・コルネリウス・アガト

――捏造ですが。マクシミヌス帝は属州トラキアの羊飼いの息子で、16歳の時にアウクシリア(支援軍、つまり市民権すらなかった)の兵卒からセウェルス帝辺境視察における御前試合での超人的活躍(16人抜き、後に騎乗した皇帝との競争に応じ息切れもせずに追走、休む間もなく正規軍団兵を徒手格闘で7人抜き)によって護衛に抜擢された叩き上げの軍人です。
 百人隊長時代は部下を率いて真っ先に敵に飛び込む勇敢さを見せ、60代に入っても剛力は衰えず、訓練教官を務めた際は訓練で息子や孫の様な若い兵士や百戦錬磨の隊長達をも次々投げ飛ばし、疲れも見せず、次は誰だ、が口癖だったとか。
 後にアレクサンデル帝の弱腰に痺れを切らせた軍が反乱、皇帝に推挙されます。しかしながら即位後は軍事偏重と遠征経費の肥大による支配層への増税、元老院軽視と致命的なまでの教養の無さ、粗暴さにより元老院とそりが合わず、アフリカ属州や元老院が離反、最後は暗殺によりその治世を終え、帝国に軍人皇帝時代という混乱期を招来する事となりました。
 対ゲルマン、ゴート戦役共に連戦連勝の有能な軍人なので辺境を支えるに相応しい人材ですが、皇帝の地位は武辺者には厳しかったのかもしれません。惜しむらくは強力無双の彼を懐刀として御し得る、より皇帝に相応しい力量の主が現れなかった事でしょうか。

――もしも神が彼にもう幾年かの人生を与えていたら、ライン、リメスゲルマニクス、そしてドナウという、帝国の北の生命線の平穏化は成っていただろう。――ヘロディアヌス、同時代の歴史家

 以上
 
 マクシミヌス「で、北の間抜け連中は何と?」

 連絡将校「先祖と神々の名において命ずる、賠償金を差し出しドナウより退け、さもなくば汝らに苦痛と死を」

 マクシミヌス「嗚呼、最高に俺好みの明瞭簡潔な回答だ。まったく清清しいほどのクソッタレ共だな!お蔭様で微塵の躊躇いも無く全員纏めてあの世に送って差し上げられる。これで戦争が再開できる!」

 軍団兵「…(冬が来る前に基地に帰りたい…)」

 そんな感じですかね。

 ついうっかり書簡なぞを描いてしまいましたが、そもそもマクシミヌス帝は文字読めるんでしたっけ…。はてどっちだったか。帝国盛期の正規軍団兵は周辺諸国の軍事組織と比べると簡単な読み書きそろばん程度は出来る者の比率が高かったようですが、極めて特殊なキャリアの陛下に至ってはそのカテゴリーにはまず当てはまらないでしょうし…。

 あまり深く政治に足を踏み入れず、軍団の指揮官や訓練教官で生涯を終えたなら…。帝国に災いを招いた皇帝の一人かもしれませんが、どうも憎めません。
 ヘリオガバルス帝の人を舐めきった質問(お前はその膂力で世に知られているが、はたして一人の女を連続で何回抱けるか?)を無視して退出するなど、皇帝をも恐れぬその度胸は尊敬に値すると思います。いや、あんまり考えてなかっただけかもしれませんけど。
 アウグストゥス、ネロ、カラカラ、コンスタンティヌスなど、誰でも知っている教科書に載る有名な皇帝のエピソードも良いですが、帝国混乱期の軍人皇帝もなかなか良い味が出てます。市民権すら持たぬ属州民の兵卒がその膂力により抜擢され正規軍団兵に、仕舞いには皇帝になってしまうという…。当時のローマ帝国がどれほどの混乱にあったかということをこれ以上ないほど簡明に示唆してくれる事実だと思われます。

 軍人皇帝は英語だとBarracks emperorだそうで。
 兵舎で生まれた皇帝といったところでしょうか。この場合の生まれた、とは兵士達に推挙されて皇帝になった事を意味します。
 元老院階級などの有力者による権威づけや市民の支持ではなく、ただ軍団の支持を受け、その物理的な力の保証のもと元老院の承認を後から取り付け皇帝位を占めているのであり、その立場の根拠と将来の行方は誕生の経緯同様まさに力次第だったというわけです。

 銀英で例えるとついうっかりオフレッサー上級大将が皇帝まで上り詰めてしまったみたいな状況ですかね…。彼は一応下級貴族でしたっけ。

 帝国最盛期も遠ざかるにつれ、ローマ帝国における指導者と国家の性質は大きく変化していきました。かつての様な華々しい勝利と版図拡大の気運は消え、軍事的失敗、弱腰の外交が重なると、そうしたものに敏感な兵士達(指導者の軍事的才能の欠如は即ち兵士達の死に直結し、消極的な外交政策は軍の権威と報酬・待遇に響いたので当然と言えば当然ですが)は、ならば自らが皇帝を選び推戴すれば良い、と判断したのです。
 3世紀のローマ軍団がこの様な動きを見せた一因は2世紀の末から3世紀初頭、かつてのセプティミウス・セウェルス帝による軍団増設(職場と役職の増加)、給料増額(そりゃ聖人君子でもなければ300デナリウスから500デナリウス、同じ働きで年収300万から500万になったら、誰だって支持するでしょう)といった軍事重視の政策にも見られます。セウェルス帝は五賢帝として名高いマルクス・アウレリウス帝の息子であるコンモドゥス帝死後の混乱期を軍事力によって勝ち抜き、力によって帝位を手にした経歴の持ち主であり、元老院などからはその正統性に対し疑問を持たれ、両者の関係は良いものとは言えませんでした。当然、帝位を保つ為には何か別の支持基盤を持つ必要があり、晩年の彼が病床で息子達に残した言葉”兵士を優遇せよ。他の者は無視せよ”に明らかな様に武力によって皇帝となった者がその基盤として選ぶのが軍団であったというのは自然な成り行きであったのです。

 軍団は必然的に軍を厚遇する皇帝を支持し、外征においても勝利を重ねるセウェルス帝に忠誠を誓う訳ですが、裏を返せばセウェルス帝の様に軍事的に勝利し続け、畏怖するに足る能力を持ち、なおかつ軍を優遇する皇帝でなければ軍団が忠誠を誓う理由が無いということになります。
 セウェルス帝から五代、穏健かつ清廉であろうと努めるアレクサンデル・セウェルス帝は増大する軍事費を抑制し、セウェルス朝が代々依存した軍と距離を置くことを画策するも、反乱と忠誠宣誓拒否が相次ぎ軍との対立が鮮明となります。加えてアレクサンデル帝はササン朝に敗北し、234年にはライン川を越えた蛮族を軍団が撃退したにもかかわらず、とうの蛮族に賠償金を払って講和するという軍には到底受け入れ難い行動に出ます。
 
 こうして過去に蒔かれた幾つかの種が芽吹き、軍が反乱、アレクサンデル帝は暗殺され、反乱軍はマクシミヌス・トラクスを皇帝として担ぎ上げ、それに続く軍人皇帝達の登場と言う政治的結果として結実したのであります。
 大雑把に言うとそんな具合で近衛軍団や地方の軍団が皇帝を勝手に担ぎ上げる混沌の時代、後に軍人皇帝時代と呼ばれる時代、ひいては3世紀の危機が始まるわけですが、マクシミヌス・トラクスはその最初にして典型と言える皇帝です。

 マクシミヌス帝には武力と輝かしい軍事的功績はあれどセウェルス帝の様な政治的・戦略的な大局を見通す能力が欠けており、その命脈を保つことは出来ませんでした。どこまで行っても野戦指揮官であり軍人だったようです。とはいえ帝位につく前に彼が帝国や皇帝に示した敬意や振る舞いは注目に値するものですし、時代を象徴する興味深い人物であると思います。

 そんなわけで勃興期の不屈の軍団や全盛期の輝かしい軍団も良いですが、帝国を揺るがす不穏と衰退の象徴としての軍団もまたローマの歴史を理解するに欠かせぬ存在と思われるので、今回はそれを。

 さて装備ですが、軍団兵の鎧はロリカ・セグメンタタ(板金を繋ぎ重ねたもの)、ロリカ・ハマタ(鎖帷子)、ロリカ・スカマタ(スケイルアーマー) を一種ずつ描いてみました。

 ロリカ・セグメンタタはローマを扱う映画に頻繁に登場する鎧ですが発見された場所ごとにカルクリーゼ型、コーブリッジ型、ニューステッド型(1905年スコットランドのニューステッド砦で発見)などと呼ばれさらに幾つかの分類に分かれています。カルクリーゼはトイトブルク(ローマ帝国の三個軍団が全滅を喫した歴史的大敗の地)の近くで、ここで発見されたものが現在のところ最も古いものとされています。今回の絵は3世紀初頭を考えているので、ニューステッド型と言う事になりましょうか。初期のタイプとの大きな違いは肩を防護するパーツが三つに分かれ、それぞれ大きな蝶番で繋がれていたという点です。より堅牢に壊れにくくする工夫だったのかもしれません。肝心の部分が外套で隠れてしまってますが。今のところセグメンタタは前1世紀末~3世紀頃まで広く使用されていたという説が主流のようです。
 
 ロリカ・ハマタはいわゆる鎖帷子で小さなリング状の金属をひたすら繋いでシャツ状に編んだものです。起源はケルト人にあるようで、共和政期から帝政末期まで長きに渡り軍団兵の胴体を守っていました。
 ロリカ・スカマタはスケイルアーマーの一種でうろこ状の金属片からなる鎧です。東方から伝わった様式のようで主に親衛隊などが装備していたのだとか。
 
 剣はグラディウスではなく比較的長めのスパタを。この手の形状のピルム(投槍)はやがて廃れていったそうですがまだ装備していたものと判断しました。盾は時代が下るにつれ長方形のスクトゥムから楕円、円形と変遷していったそうなので円形のものを選びました。
 左端の人物の兜はインペリアル・ガリック(前1世紀~2世紀)ではなくイタリック型(1世紀~3世紀)を参考にしました。前者は金属加工に秀でたケルト人の技術を継承し精巧な細工であるのに対し、後者は頭頂部等に補強が加えられ、堅牢だが細部の技巧はやや粗雑になっていたのだとか。他の二人にはフリートベルクで発見された頭頂部に特徴的な十字の補強を持つ兜を装備してもらいました。

 帝国の威容を世に知らしめんがため、この時代のローマ軍ももっと格好良く描きたいものです。

 今回はこんな感じで。
 次はどうしましょうかね。また暑苦しい連中を描いたものかどうか。

 また何ぞ出来ましたらお会いしましょう。
 軍団兵諸君に不滅の栄誉と輝かしき勝利あれ!!

神が人間を創造し


神が人間を創造し、サミュエル・コルトが人間を平等にした。

 出典不明、どんなにか弱いお嬢様でも、子供でも老人でも、鞄に入るサイズの拳銃の回転式弾倉に弾をぶち込んで撃鉄を起し、引き金を引けば、相手がどれほど屈強な男だろうが、金持ちや権力者だろうがお構いなく致命的な一撃を喰らわせる事が出来る。そういう物理的な意味で人類を平等にしたという事でしょうか。なかなかにアメリカらしい味わいの一文。いや、引用した意味は特に無いのですけれど。


 こんばんは。
 ちょっとぼーっとしてたら2週間が経ってる。これはミヒャエル・エンデの話に出て来る時間貯蓄銀行の債権回収係の仕業ですかね。全然関係ないですがミヒャエル・エンデ先生の1945年の経歴が壮絶(16歳で召集令状→令状破棄→脱走)ですね。シュヴァルツヴァルトを夜間のみ移動して踏破するあたり、さすがです。ろくな訓練も受けずに索敵や追撃の目を避ける方法を本能的に悟ったのでしょうか。この時節でこの年齢の召集は国民突撃隊

 いつも通り凄い脱線しましたが、もう9月か…。で、このままぼんやりしてると、あっという間にまたガリラヤ人の祭日がやってきて気づいたら2013年になってるんでしょ。もう騙されないんだからね。
 2013年て、某汎用人型決戦兵器が活躍する時代にもう少しで追いついてしまうではないか…年取ったわけだ。

 …かと言って何をするわけでもないですけれど。

 
・映画

 マシンガンプリーチャー

 マザーテレサは、企業が売名の為に寄付や慈善事業を行う事について外国の貧困に手を差し伸べるのは偽善だ。まず身近な人(家族や同国人)にこそ手を差し伸べるべきだ、と言ったそうです。本人は信念に従いインド国籍まで取得してしまったそうですけれど。
 さて、本作は300で一躍有名となったジェラルド・バトラー主演の実話を元にした映画であります。麻薬の売人が改心(米国の話なので教会に例によって行くわけです)して、スーダン国境近辺で少年兵などにするため誘拐される子供達を保護し、ときに銃を手に戦うというのが筋書きであります。近現代のアフリカ情勢を齧っている人にはジャンジャウィードとか嬉しくない感じの騎兵が活躍してる事でお馴染みの地域ですかね…。
 困っている人がいて、何とかできるかもしれない、と立ち上がるのは普通の人には出来ない立派で素晴らしいことだと思いますし、理想は理解できますが、どんな高邁な理念も運転資金が必要になるわけで、主人公は作中寄付に頼りっぱなしです。実際はどうだったのか分かりませんが、資本投下に対して拡大あるいは維持再生産可能な計画でないと、特にこの様な過酷な現実に晒されている場合、いつかは資金繰りが破綻するでしょうし…。今どうなっているのか少し気になります。病院や学校を作っても維持する資金や技術が途絶えればただの廃墟になるわけで、一方永遠に人材や資金を投入する事は出来ない…最終的に現地の人間が独力で持続的に維持できる構造に変化させねば全ては砂上の楼閣の様に無に帰すのではないかと。


・夜はちょっと涼しくなってきたかな、と皆が油断している所に暑苦しい事この上ない絵を投下する嫌がらせ

マクシミヌス・トラクス

 そんなわけで今回は飽食の時代ながらも現代の日本人に圧倒的に不足している必須栄養素、即ち3世紀前半のローマ軍団分(あまりに欠乏すると、のた打ち回ってウァルスよ、我が軍団を返せ!とかうわ言を言う)を補充すべく、ドナウの最前線を遠望するマクシミヌス・トラクス(ガイウス・ユリウス・ウェルス・マクシミヌス)とローマ帝国第4軍団イタリカの皆さんを。
 ゴートの父とアランの母の間に生まれた、まさに蛮族のサラブレット(また勝手に失礼な綽名を…パンクラチオンで半殺しにされるで…)にして勇猛なるトラキア人、個人的にはローマ史における全皇帝の中でも膂力や個人戦闘技能(政治や外交を含めた戦略規模の用兵ではなく、会戦・攻城戦など戦術規模の指揮能力ですらなく、一人の人間として物理的に!コンモドゥス帝VSマクシミヌス帝によるコロッセウムでの対決はまだですか?)においておそらく最強なのではないかと思っている脳筋類稀なる武勇に恵まれしマクシミヌス帝の若き日の姿を勝手に再現してみました。ローマ皇帝でも大抵の教科書には載っていないか、扱いが小さい比較的マイナーな皇帝なので誰それ、と言われそうですけれど。3世紀のローマ帝国を知るうえで欠かす事の出来ぬ軍人皇帝時代という帝国混乱期における先頭打者なのであります。

 マクシミヌス帝はそもそもトラキアの属州民でローマ市民ですらありません。正規軍団の入隊資格(市民権保持者)すらなかった羊飼いの少年がどうして皇帝にまで上り詰める事が出来たのか、どういう時代の要請があってその様な現象が起こったのか、彼はどんな人物で、その末路は?
 なかなか興味深い生い立ちと逸話の持ち主であり、時代を象徴する人物なのではないかと思います。脳筋とか迂闊に口を滑らすと打擲刑なので気をつけてください。まだ背中がヒリヒリするわい…。

 視覚的には共和制末期、帝政初期、それから五賢帝時代の全盛期あたりのローマ軍の軍装と戦術その変遷は比較的自分の中でイメージが固まりつつあるのですが、3世紀ともなるといまいちあやふやで掴めていません。たまに挑戦するのですが、後から調べたり見返すと支援軍の装備や騎兵の装備が混じってたり…。その辺も試行錯誤しつつ描いております。今回は即位後の彫像を参考に少し若返って頂いて、百人隊長~大隊長に任命された頃を勝手に想像してます。

 お定まりのインペリアル・ガリック型やインペリアル・イタリック型兜からスパンゲンヘルムに至るまでおそらく、工業技術、物資流通、戦術の変化によって少しずつ入れ替わっていったのでしょうが、もっと良く調べないと難しいですね。
 映画に登場するローマ軍団はその舞台が共和政末期~帝政初期だろうがそうでなかろうが、必ずと言っていいほどロリカ・セグメンタータを着て赤い外衣を羽織り、インペリアル・ガリック型の兜で揃いの装束である事が多いですが、3-4世紀のローマ軍を忠実に再現した映像を見てみたいです。BBCのテレビドラマや各地のリエナクトメント団体がたまにやってくれますけれど。もっとこう一目見ただけでこんな感じだったんだろうな、と納得させてくれるビジュアルを希望。

 詳しくはまた次回、だらだらと書く事と致しましょう。


 今回はこの辺で、軍団の復活が成就したらまたお会いしましょう。
軍団兵履歴

Legionarius

Author:Legionarius
主に世界史・戦史(東西問わず)の絵を描いております。

形式:Legionarius
状態:製造年月日から30年以上経過
使用燃料:Laphroaig,Bowmore,
Ballantine(12年が好ましいが財布が薄いのでfinest)
エンジン形式:惰性型酒冷4ストロークバルブ108気筒
始動形式:諦念あるいは深い溜息
搭乗機:CBR600RR07白→CBR1000RR2012に機種転換(乗り手に過ぎる良い機体ですがハイオクは財政が……)

音楽:(Bill Evans, Miles Davis, Dvořák, Linkin Park, Rammstein, Killswitch Engage, Enigma外)気に入れば何でも。

書物:ノンフィクション、歴史(ローマ史、古代ギリシャ,WW2外)、SF(ホーガン、ハインライン外)、最近はOsprey社の本ばかり。主にマクブライド先生のやつばかり。

漫画:(大陸軍は世界最強とかアララララーイとか)雑食。

ゲーム:ROME TOTAL WAR、MEDIEVAL TOTAL WAR
     CALL OF DUTY、S.T.A.L.K.E.R、SILENT HUNTER外

好きな陛下:Marcus Aurelius Antoninus、Flavius Claudius Julianus
好きな甲冑:ロリカ・セグメンタータ
好きなヴァンツァー:フロスト
好きなマクナブ:受領通知!!、カチカチ、カチカチ、続刊はいつですか。
以下、好きなギボン、サトクリフ、パウルカレル、スティーブンハンター、フォーサイス、ルカレ、エルロイなどと八万行に渡って続くので割愛。

辺境報告
往復書簡
オスティア港
記録抹殺刑を免れしもの
軍団基地施設案内
忠誠宣誓をした軍団兵の人数
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