この内閣に男は一人しかいないのですか?

この内閣に男は一人しかいないのですか?
――第71代英国首相マーガレット・サッチャー、フォークランド紛争開戦を躊躇する自分以外の閣僚に対して

 こんばんは。

 wikiなどで見られるこの定番の引用が、彼女の本当の発言なのかずっと気になっていて英語のデータが無いか探したのですが、これといった裏が取れない。日本語のページにだけ鉄の女の人物を端的に表したものとして良く見かけるのです。確かにサッチャーの言行からすれば、さもありなん、という風情の言っていてもおかしくない真に迫った台詞ではありますが。もし法螺なら見習いたいくらい良く出来た法螺です。でもイスラエルの女性政治家、キブツで鍛え上げられたゴルダ・メイア首相の逸話と混じったのではないか、という気もします。似たような事を言われていた様な。
 いや、あの島についてサッチャーならどう対応・解決を図るだろうな、と暑さに茹だった頭で想像していたのであります。旦那、国内問題への国民の不満を外部に逸らすまたとないチャンスですぜ、グヘヘ…とビールとソーセージの旨そうな国の伍長閣下みたいな事をよりにもよって8月に妄想すると言う我ながら呆れる位の不謹慎ぶり。どうも私には平和教育と道徳教育が足りてなかったみたいですね。あとは暑さのせいです。もとからおかしい、とかそんな事は断じてないのです。えぇ。

 サッチャーは”人命に代えてでも我が英国領土を守らなければならない。なぜなら、国際法が力の行使に打ち勝たなければならないからだ”と言ったそうですが、仮に物理的な問題解決を図った場合、その計画や結果・収支予測はあるのでしょうか。
 そもそも対象となる領土と交戦相手が本国から遠く離れたフォークランド紛争と今回の問題点である隣国との中間点にある島じゃ地政学やら何やらの観点から見ても状況が違いすぎますが…。

 国家の誇りとか人命が日本円で幾らか(嗚呼、一銭五厘…)は知りませんが、目下、排他的経済水域と漁業権がもたらす損益が大きな問題となっているそうですから、その辺の計算は当然弾いてるんでしょうね。
 様々な条件を含めたそれぞれの”選択肢”に対する国内世論、諸国の反応や外交・経済に対する影響等々、どこぞの作戦計画5029みたいなのがこっそり作られて埃被ってたりするんでしょうか。
 こういうのや同盟国も仮想敵国として含まれているこれとか。そういや自衛隊用語で対象国という、もやもやする言葉がある様なので、ないことはないんでしょうな…。

 
・小さな島をめぐる血も涙もない銭勘定

 シミュレーションゲームみたいな阿呆な話はおくとして…。
 現実的に考えて国際紛争を武力で解決するのは現時点では憲法違反だし、現在の”対象国”および周辺国との貿易収支から見ても、水域から得られる収益がそれを上回るとは思えないし、あまりおいしい話ではなさそう…。なんかの拍子に半島がいつぞやの様に混乱に陥って手が回らなくなった時に乗じてこっそり返してもらう、とかが腹黒い感じで良いと思います。これが末期のゲーム脳か…。
 それに毎度の様に選挙対策で熱くなってるだけでしょうから遺憾の意、とか言って現状維持してるのが良いのでは。もはや教条的と言うか、そのせいで自縄自縛に陥っているようで傍から見ててもの悲しさすら覚えますけれど。せっかくパフォーマンスしてるのに無粋な突っ込みは無用ですね。ドリフのお約束に文句を言うようなものです。とはいえそれに付き合わされる海上保安庁の方とか漁業関係者の負うリスク、デモや暴動のたびにぶっ壊される日系商店や危険に晒される在外邦人の方はたまったもんじゃないですね。

 
 折角なので、実際にどうなのか考えてみよう。
 
 そんなわけで久しぶりに統計で遊ぶことに。数学は嫌いなのに統計は楽しい!あれか、お手軽に大物気分が味わえるからか。何という俗物っぽい遊び…。

 算出根拠はググっただけかつ超絶適当な計算山盛りなので気をつけてください。著者は数学を高2でリタイアという輝かしい経歴の持ち主である事も合わせてご注意ください。ちなみに人の道は”厨2”くらいで踏み外しました。
 1ドル79円換算です。先週仲値がそれくらいだったから。過年度の統計を扱ってるのに参考にする為替が直近とか手抜き過ぎですね…。

 そもそも島そのものとしては岩の塊なので経済的価値はほとんどないらしい。となると問題となっているのはその周りの海なのでしょう。
 日本の領海と排他的経済水域は合計で447万平方㎞(世界第6位)、そこに竹島の水域2万平方km(日韓のもともとの排他的経済水域重複分を除く)が加算されているならば実効支配は445万平方㎞となり、この島の排他的経済水域が全体に占める割合は0.45%となる。と思ったけど北方領土の実効支配を計算に入れると少し違うか、20万平方㎞?…おぉ面倒くさい。とりあえずここでは竹島だけ別と言う事にしよう、そうしよう。おや、早くも破綻しつつあるぞ…。北方領土も差引きすると425万平方㎞ですか。
http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/9410.html

 では、そこからは何が得られて、我々は何を失っているのか。
 水産庁の統計では年間漁業生産額の23年度(2011)確定値がどうかはまだ分かりませんが2010年総計は1兆4825億円(188億ドル)。遠洋漁業が含まれてると話がややこしくなりますね…。見なかったことにしよう。
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/List.do?lid=000001088551
 
 極めて乱暴(適当)な計算(生産額188億ドル÷面積425万平方㎞)ですが1万平方㎞あたり4,400万ドルとした場合、2万平方㎞で8,800万ドル、日本円で約70億円。1952年の水産庁の算出では該当水域には130億円の経済価値、1974年の島根県漁連の算出では年間漁獲76億円、2010年の対象国による算出は年間8,600億円(流石に盛り過ぎでは…日本全体の半分以上やで…)。仮に年間100億円の漁業生産が見込めるとして、実効支配されているものを物理的に取り返すと、つまり武力で奪還した場合、対象国はもちろんの事、周辺国との貿易が大幅に冷え込む事が当然予想されるでしょう。おまけに政情不安定の危険海域とみなされたなら交通や海上・航空物流にも障害が出て、保険料は上がり、それに伴い運賃も増大、その損害は甚大。当然周りから非難轟々。

 では具体的にどれほどの貿易を行っているのでしょうか。
 ジェトロの年次貿易収支を参考に。
http://www.jetro.go.jp/world/japan/stats/trade/

 これを見るに対象国に対する2011年の輸出額は658億ドル(5兆1982億円、日本から全世界への輸出の8%)、輸入額397億ドルを差し引いた収支は約262億ドルの黒字(2010年は輸出620億ドル、輸入285億ドル、335億ドルの黒字)。 昨今我が国は電化製品や精密機器の生産販売などで後れをとっている、と言う話もありますが、それら最終製品を製造するための原材料、高機能素材は日本からの輸出が支えており、また他国にそれらを生産する技術はいまだないとされています。人件費や物価からして価格競争が重視される商品では勝負になりませんが、高い技術を要する高付加価値製品の分野ではまだ行けるのだそうで。
 
 1億ドル前後の漁業資源を得るために、その650倍の輸出額、200倍を超える貿易黒字を危険に晒すのでは割に合わないかと。世界全体に対する貿易収支でみると円高、輸出減、原発停止による燃料輸入増で、ついこのあいだ貿易赤字国になってしまったそうですし。各年別統計の別シートにある商品別・財別輸出入の前年比増減割合を見ると何が原因か良くわかります。
 それから貨幣に換算できない国際的信用も含めればその損失は計り知れません。どこぞのCMみたいにプライスレスです。
 東アジア全体での輸出は4330億ドルで輸入は3542億ドル、788億ドルの黒字。
 1円を拾うために200円の切符を買って電車に乗ったり、650円払ってタクシーで探す人はいないでしょう。それから天然資源ですが、尖閣の方は沢山あると聞いたことがありますがこっちはどうなんでしたっけ。適当だなぁ…。

 これだけを見るならば力にものを言わせるのは割に合わない。弱腰と言われ様が何と言われようが、今後も100年でも200年でも我が国固有の領土、とか何とかばっちり国際的に訴え続け、鬱陶しいセールスの電話みたいに何度でも国際法廷で法的に争う事を主張・要求し、ジャブを入れ続けつつ、ガードを固めてこれ以上の領土蚕食を阻止し、現状維持で死守(マンネルヘイム線ばりに死守)。
 対象国がいつぞやの様に政治的・経済的に何らかの危機に陥り、援助などを要請した際に足元を見て、あくまで合法的に交換条件として返してね、とかしれっと言うのが素敵に腹黒でえげつなくいやらしい感じが私好みです。
 
 と言うわけで戦争ダメ絶対、旨味がないから。いつも戦争の話ばかりしてる割に平和的な結論に至りましたね。
 そう、いつもニコニコ腹黒で、握手をしながらレバーブローの機会を探る、そんな感じで。
 飲み屋でたまに威勢の良いことを言う年配の方や学生を見かけますが、仕事がなくなったり就職先が減ったりして呑気に飲めなくなる可能性も考慮に入れるべきかと。

 ここまでは金の話ばかりですが、あとは国家の威信とか誇り、これまで、そしてこれから拿捕される船舶や船員、失われる拘束時間、水域での警備業務に従事し摩擦で怪我をしたり命を落とす人々をどう天秤にかけるのか、といったところでしょうか。そこのへんも含めて首相閣下と仲間達や官僚の偉い人達がどういう国家戦略を練ってるのか非常に興味深いところですね。

 わたし、気になります!

 それが言いたかっただけか・・・。台無しだ。
 でも世の中お金だけじゃないんやで…えぇと、お酒とか二輪とかゲームとか本とか…。
 あれ…全部金で買える…。

 …。

 やはりあれか、愛か…ちょっと自分の人生について真剣に考えてしまいそうになりましたが、そういう性に合わないことは脇に置いておこう。そうしよう。

 膨大なデータを弄繰り回すのが得意なParadox社がHOI風のゲームの現代版を作らないものか…。
 大きな戦争は滅多に起きないが、24時間365日巨大資本と言う名の大陸間弾道ミサイルが飛び交い、たまに米国やロシアや中国が無茶をして、中近東や東欧、東南アジアが熱くなるとかそんな…。
 単なる陣取り合戦じゃなくて財務諸表をいかに良化させていくかと言う、より生臭いゲーム。
 技術的には出来るのでしょうけれど、漏れなく不謹慎ゲームになりそうな気もしますね。
 というかそんなものをやりたいのなら、今まさに目の前に展開する世界に社会参加しろ、という話ですね。

 いや、そういうのは遠くから見てるのが良いのであって参加するのはちょっと…。
 うわ、我ながら何という下種…。


・人様の貴重な時間と記憶リソースを役に立たない怪しげな情報で浪費するコーナー

 いや、そんなこと言ったら当ページのレゾンデートルが揺らぐ…。
 そんなわけで、どんなわけかさっぱりですが、ガレー船の絵が出来たので。

レパント文字なし

レパント


以下pixivより

1571年10月7日”聖マルコの獅子を掲げて”

 正午、東方より来たりしトルコの船乗りを祝福していた東風が止み、彼らの戦艦の帆は力なく萎んだ。ほどなくしてドン・ホアン殿下とオスマン朝総司令官アリ・パシャの旗艦から砲声が轟き、十数万の人間を乗せた500隻以上の艦船による史上最大の海戦の幕が上がった。
 ヴェネツィアの恐るべき造船所が産んだ化け物、海上砲台とも言うべき6隻の巨大なガレアッツァの50ポンド重カノン砲が火を噴き、幾つかの船が戦端の贄として捧げられた。数え切れぬほどのガレーがその衝角を敵の横腹に突き刺し、互いに櫂を絡み合わせ、勇猛比類なきイェニチェリが、あるいは命知らずのスペイン兵が船首や舷側を飛び越え、その敵に雪崩れ込んだ。中央と左翼ではさながら地上戦が如き熾烈な白兵戦が繰り広げられ、右翼ではドーリアとウルグ・アリが互いに有利な位置に占位すべく航海技術の粋を競っていた。とりわけ左翼艦隊旗艦、船体を真紅に染め抜いたバルバリーゴのガレーの活躍たるや凄まじく、敵右翼艦隊を浅瀬に追い込むべく生還すら期さぬ果敢な攻撃を行っていた。そして左翼司令官のヴェネツィア人はそれを見事にやってのけた。
 しかしながら未来永劫歴史に刻まれるべき偉大なる戦果と栄光の代償は彼自身とその副官、そしてその数え切れぬほどの部下達の生命であった。その日、我々が得た比類なき勝利は新たなる脅威への束の間の休息に過ぎず、我等が失ったものはあまりに重く、生残った者達が立ち向わなければならぬ運命は依然として立ち込める暗雲の向こうにあった…――スペイン人将校による神聖同盟従軍記抜粋

 ――いつもの捏造ですが。後世にドン・キホーテを残した文豪セルバンテスも参戦し腕を負傷したという、ガレーによる、おそらくは世界最大の海戦、レパントの海戦における神聖同盟左翼司令官アゴスティーノ・バルバリーゴの旗艦による突撃の図です。ガレーは百足みたいな櫂と細い船体が好みです。あと衝角が好きです。この時代のそれは古代とは設置位置が異なり、敵の船殻の喫水線下に穴を開けて撃沈を狙うより、接舷戦闘や斬り込みの為の通路確保の意味合いがあったのだとか。当時の大砲の性能からして最後は接近戦がものを言う時代なので、数々の記録にある、海が血で赤く染まった、というのは誇張ではないのかもしれません。

 ――参謀長アゴスティーノ・バルバリーゴは自ら望んだ死を、最も幸福な中で迎えた”ヴェネツィア共和国海戦記録”より

以上

 そんな感じでございました。
 いつの日か、Geoff Hunt氏みたいな格好良い絵を描いてみたいものです…。

 遠目には何とも華々しく勇ましいガレーの戦いではありますが、その舞台裏は地上の戦いと同じく生々しいものなのであります。

 さて、今回はルネサンス期のごく標準的な戦闘ガレー船(Galia Sottil)を描いてみました。15世紀の同型艦は全長38mで喫水1.2m、排水量140t、幅5mほどで片舷に16~20の櫂が装備されていたようです。それが16世紀となると全長41mとなり、櫂は両舷それぞれ24~25(間隔は1.2m)ずつで200tにまで大型化しております。どうも漕ぎ手が増えた、あるいは増やしたのが原因のようです。速度は短時間(全速は30分ほどが限度)死ぬほど漕いでも10ノットに手が届かない位だったようです。現代の船と比べれば何とも慎ましいスペックですが木造かつ人力&帆走の艦である事とその乗員数を思えば当時のテクノロジーの粋を集めたものだったのでしょう。

 漕ぎ手は片舷に24の櫂を突き出して一本につき三人ずつで担当するものと、片舷72本の櫂を装備して一人一本担当するものと、タイプが分かれていたようです。

 レパントの戦いに参戦したドン・ホアンの旗艦は両舷35本ずつで一つの櫂につき6人を動員した艦船だったそうで、ヴェネツィアのガレアッツァ(戦時に大型商船を魔改造した)に到っては全長47mで幅8m、両舷25の櫂に5人ずつの漕ぎ手、さらに250人の戦闘要員に70人の水兵(操帆、操舵担当?)という大所帯だったとのこと。船首楼に円形に配置された50ポンド砲の砲列も加えて、まさに海上要塞といえる恐るべき戦艦だったことが窺い知れます。

 さて、その運用コストはどうだったのでしょうか、大分時を遡りますがオスプレイによりますと1530年代のスペインの一般的なガレー建造費用は2,300ドゥカート、一ヶ月の運用コストが577ドゥカートで1年6,924ドゥカートかかっていたようです(建造船価に比して維持費が年間3倍と言うのは驚きですが、どうも消耗品扱いだったようで)。ヴェネツィアの国営造船所の未熟練工や一般的な漕ぎ手の年収が16~20ドゥカート、職人が50ドゥカート、船長が100ドゥカートという時代だそうなので安い買い物ではなかったようです。一方で当時の規範では緊急時は搭乗員の生存を優先し、船の放棄も考慮に入れるべし、となっていたそうで、現代のジェット戦闘機のようにその操縦者の育成コストや経験というものが重視されていたようです。
 そんな金食い虫の船を一海洋国家に過ぎぬヴェネツィアが日の昇る勢いのスペインを差し置いて109隻+ガレアッツァ6隻を派遣、これは神聖同盟側の半数以上を占める大艦隊なのであります。いかに版図を蚕食されようと、かの共和国が依然として豊かで、その海軍力が強大であり、そしてこの決戦に国家の命運を託していたか、気合の入れようが分かると言うものです。

 そんな船に乗っていた人々は何を食べ、どんな生活をしていたのでしょう。
 大分時代は下りますがこんな関連書籍を見つけましたので、それを参考にしてみましょう。

 岩波文庫 ガレー船徒刑囚の回想 ジャン・マルテーユ著

 まさに歴史の暗部を抉り出すノンフィクションであります。華やかな海戦、地中海を舞台に繰り広げられた大国間のパワーゲームの影に一体何があったのか。本書は18世紀半ばに出版された小説や歴史書には描かれぬ人々の記録であり、元フランスのガレー船徒刑囚(ガレー船の漕ぎ手)として17歳から12年を過ごした人間の記録であります。どんな理由でそこへ放り込まれるのか、何を食べ、どういう制度の下、服役中の囚人は半数が死んでいくこととなるのか、生々しい記録の一方で当時の社会と制度の一端を冷静に見つめる視点を追体験できる貴重極まりない書物です。こんな本があること自体が驚異ですが、それが日本語で出版されていたとは…。


 後代の戦列艦の居住空間がろくでもないものであったのと同様に、ガレー船の居住空間は極めて劣悪だったようです。船尾の居室が与えられるのは船長や高級将校クラスのものに限られ、船首楼、船尾楼、中央通路、舷側通路その下にある漕ぎ手の座席の列、というシンプルかつ狭い構造のため、航行中他の者は横になって寝ることすら許されないのです。

 風のない日は銀の笛の音にあわせ、櫂を握り疲弊するまで漕ぎ続け、少しでもリズムを乱せば前後の櫂に挟まれ怪我をし、殴られ(漕ぐタイミングがずれると前後の仲間の意志に関係なくその櫂に殴られる)、監督官に硬い綱で打擲され、くたばれば使用済み電池の様に海に捨てられる。そんな漕ぎ手は何を食べていたのでしょう。

 積載された食料は主にビール、葡萄酒、油、酢、水、ラード、塩漬け肉、魚の干物、チーズ、ビスケット、えんどう豆、そら豆、米だったようです。
 船長や将校は1日当たり660gのビスケット、一週間にラード1kg、塩漬け肉1kg、鱈1kg、チーズ1kg、オリーブ油250ml、米が500g、豆が1kg、9.8lのワインだそうで、下士官、兵と階級が下がるにつれそれは悲惨なものに…。囚人漕手は1日780gのビスケット(おそらく現代人の想像する甘くて香ばしいものではなくガチガチに焼きしめられた奴)に豆120g。その配当すらも横領や横流しにより劣悪化し、大抵のメニューは固くて塩が少し入っているだけという鼻が曲がるほどの豆粥(豆30粒ほど)だそうで。酒がないってのがつらそうですが反乱の危険性はどれほどだったんでしょうね。私なら1日で反乱を起こして電光石火の早業で帆桁に吊るされちゃう自信がありますけど。
 
 これは囚人の漕ぎ手の話でヴェネツィア共和国海軍は自由市民の漕ぎ手(接舷時に戦闘員となる)や外国人の出稼ぎなどを雇用していたため、大分様相は違うでしょう。レパントの海戦では人手不足で勝利の暁に自由を与えることと引き換えに囚人すら動員していたようですが。いずれも過酷な職場には変わらないので雰囲気を掴むには良い本だと思います。ヴェネツィア人水兵の記録などあれば読んでみたいですね。

 それと神聖同盟側の将兵は高級将校ほど立派な甲冑を着てますが、沈没時や斬り込み時のミスで落水すると当然沈むわけで…その対策はどうしてたんでしょう。通常の革のベルトと金具で留めるのではなく、外しやすい工夫があったか、すぐ解けるように紐などで結んでいた?あるいは潔く諦めた?

 ほかにも火砲の話や近接格闘武器の種別、接舷戦闘の方法、勢力別の操船技能の差など書きたいことはありますが、大分酔っ払った今回はこの辺にしておきましょう。各種データも相当怪しいところがありますので、詳しい方がいらっしゃいましたら間違いなどご指摘頂けると幸いであります。

 これほどの大戦を経て得た圧倒的勝利もオスマン朝にとっては短期的損失に過ぎず(半年ほどで艦隊を揃え直したそうで。おまけに乗り手の海賊は幾らでもいる)、何よりこの後の歴史の舞台は新大陸の開拓などの様に地中海から全世界、地球規模のものへと移っていったというのが何とも言えぬ皮肉であり、歴史というものにおける諸行無常を感じさせてくれます。


・マン島TT

http://dailynewsagency.com/2012/08/15/the-greatest-show-on-earth-46856767-m1e/
やっぱりこの人達頭おかしいわ(いや、褒め言葉と言うことで一つ)…反射速度とかどうなってるの…。速過ぎて固定カメラだと残像だけに見える…。
とはいえこういうところもいつか走ってみたいものです。もちろんもう少しのんびりと。


 今回はこの辺で。
 次はどこへ行きましょう。

 また何ぞ出来ましたらお会いしましょう。 
 
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必要だからです、殿下。それ以外はなにもない!

必要だからです、殿下。それ以外はなにもない!
――セバスティアーノ・ヴェニエル、ヴェネツィア海軍総司令官
レパントの海戦に際して艦隊総司令官ドン・ホアンに何の為に戦うのか、と問われて。
塩野七生著”レパントの海戦”より


 どうも、こんばんは。
 もう8月とか…。

 最近のいじめのニュースやら原発事故の始末記と処理作業に従事する企業の従業員の扱いや長距離バス運行の実態などを見てると、日本は世界の国々と比べ相対的に見て平和で穏やかかつ豊かな国ではあるが、あくまで比較的そうであるに過ぎない、という至極当然の事がしみじみ感じられますね。
 犯罪であれ、不正であれ、少なくとも多くの国と比べて少なく見えるのかもしれませんが、統計上のそれはあくまで統計を取った機関の認知件数であり、当たり前ではありますが”何たら白書”とか”何とか調べ”の数字と現実が同じであるとは限らないわけで。
 どこの国も程度の差こそあれ同じ様なものなのでしょうけれど、件の様に当局が被害者の再三の訴えを無視あるいは退けたり、当事者が泣き寝入りしたり、恥じて秘したり、大人の事情で握り潰されたり、ということがあったら実数はさっぱり見えてこないのでしょう。
 公衆が知り得る大本営発表と水面下に首根っこを押さえ込まれて沈められた現実との間にどれほどの乖離が見られるのか、知りたい様な知りたくない様な…。
 実感としては多分に夢を見させられて目や耳に心地の良い情報ばかり…蓋を開けたらとんでもない事になっていた、という事件が少なくない印象を受けます。私が悲観主義に過ぎるだけなら良いのですがね。
 わが国には知らぬが仏とか言う素敵な言葉もありますし…。そりゃあ知らぬまま幸せにくたばれれば言うことはないですけども。
 と、いつもながらに快調に根暗なスタートを切っておりますがいかがお過ごしでしょうか。



・夏だから…

 予告どおり、夏→暑い→だから爽やかなやつ→即ち海、ということは海戦を描くほか無い、というもはやブラックジャック先生も匙を投げるに違いないウォーモンガーな思考回路により長年描こうと思っていたレパントに参陣したヴェネツィアのガレーを。コンスタンティノポリスの陥落もロードスもといマルタ包囲戦も描いたし、レパントをやらねば、と。
 Deus lo vult!! 塩野先生のお導きのままに!

 レパントの海戦

 地中海の覇権奪回と惨たらしい死を迎えたブラガディンと同胞の復讐に燃えるヴェネツィア人達、一攫千金を狙ってアドリア海東岸から集まった水兵達、マルタ包囲戦の傷も癒えぬとはいえ当然とばかりに参戦するマルタの騎士、世界を征する王の命に服するスペインの将兵達、そして戦旗にコーランの一句を掲げ不退転と聖戦の勝利を誓うオスマン朝の将兵に百戦錬磨の海賊たち、優に500を超える艦船に乗船しコリンティアコス湾の入り口で激突する十数万の戦力!
 うわぁ……我ながら暑苦しいなぁ…。毎度のことですが当ページの方針的には微塵もその精神に悖ることなき選択なので諦めてください。良い感じの目元涼やかなる水着美女等々は他所でお求め下さい。ここは血反吐と垢水の臭気立ち込める狭苦しいガレーの船底で汗だくになって死に物狂いで櫂を漕ぐ水兵に無慈悲にも最大戦速への移行を告げる戦鼓の連打や喇叭の吹鳴、驟雨の如く唸りを上げて降り注ぐ石弓の矢、火炎と硝煙とともに吐き出される砲弾や砕け散る肋材の破片を全身に浴びて鮮血と肉片と臓物を撒き散らしながらのた打ち回る不運な水兵の断末魔、鬨の声を上げて敵艦に飛び込む命知らずの斬り込み隊、そんな海と言う素敵な単語からあっという間に地獄絵図が脳裏に浮かんでしまう残念な人によるページなのですから!!


・山へ

 二輪の何が良いって乗ってる間は操縦することに集中して他のあらゆることをどこか遠くに放り出す事が出来るってことでしょうか。夏はサウナのように暑いし冬は凍えて指が動かなくなるほど寒い、四輪にちょっと小突かれたらこけて死ぬし、雨でぬれた路面も砂や小石も均衡を崩すに致命的な原因となりうる。重たい甲冑の様なプロテクターである程度の防御力は確保できるが四輪のような生存空間は望むべくも無い。
 それでも走っている間は二輪の挙動や操縦に意識が集中し、あらゆる雑念は吹き飛ぶ。自動車に劣らぬ精密な電子機器や最新の燃料噴射、制動機構を積んでいる割にその本質はとても原始的なもののように思えます。
陣馬山

 そんなわけで赤い愛馬と共に東京の西、陣馬山は和田峠を走ったりしておりました。23区からちょっと西に走るとこの光景です。奥多摩湖付近もこんなかんじですが、こちらもなかなかですね。道の幅や旋回半径を見るにどうも自転車や歩行者向けですが鬱蒼と茂る木々の間を縫う様に走るのは悪くない気分です。道の性質としてはオフロード車の方が楽しいかもしれません。2台所有できる身分ならそういうのが良いです。
陣馬山2

 走ること以外に何も考えず、峠を越えたあたりで喉の渇きと空腹に気付き、渓谷や茶畑?を眺めながらおにぎりと飲み物を。何とも衝動的かつ原始的で楽しいです。お茶の方があいそうですが電解質の喪失を想定しポカリを選択しときました。
シンプソン
陣馬山下り

 メットはSHOEIのX11をずっと使っていたのですが、そろそろ使用年限なので、そのマッドマックスっぽい凶悪なフォルムに惹かれシンプソンのスーパーバンディットを購入。遠出するときの私の標準装備はHYODのプロテクター入り皮ジャケットに膝プロテクター、脊椎パッド、そしてこの面構えでうっかりコンビニなど入ろうものなら即通報間違いなしですね。そのうちKADOYAのバトルスーツ着て走りかねない勢いです。うわ・・楽しそう…。
 シンプソンは頑丈なんでしょうけど通気性や静穏性はSHOEIの方が快適ですね。100km/hくらい出すと風鳴りでアフターバーナーみたいな音が…私だけの気のせいだと良いですが。それはそれで味があるので良いですけど。

 次はどこへ行きましょうかね。


 さて、今回はこの辺で。
 絵が完成したらまたお会いしましょう。


軍団兵履歴

Legionarius

Author:Legionarius
主に世界史・戦史(東西問わず)の絵を描いております。

形式:Legionarius
状態:製造年月日から30年以上経過
使用燃料:Laphroaig,Bowmore,
Ballantine(12年が好ましいが財布が薄いのでfinest)
エンジン形式:惰性型酒冷4ストロークバルブ108気筒
始動形式:諦念あるいは深い溜息
搭乗機:CBR600RR07白→CBR1000RR2012に機種転換(乗り手に過ぎる良い機体ですがハイオクは財政が……)

音楽:(Bill Evans, Miles Davis, Dvořák, Linkin Park, Rammstein, Killswitch Engage, Enigma外)気に入れば何でも。

書物:ノンフィクション、歴史(ローマ史、古代ギリシャ,WW2外)、SF(ホーガン、ハインライン外)、最近はOsprey社の本ばかり。主にマクブライド先生のやつばかり。

漫画:(大陸軍は世界最強とかアララララーイとか)雑食。

ゲーム:ROME TOTAL WAR、MEDIEVAL TOTAL WAR
     CALL OF DUTY、S.T.A.L.K.E.R、SILENT HUNTER外

好きな陛下:Marcus Aurelius Antoninus、Flavius Claudius Julianus
好きな甲冑:ロリカ・セグメンタータ
好きなヴァンツァー:フロスト
好きなマクナブ:受領通知!!、カチカチ、カチカチ、続刊はいつですか。
以下、好きなギボン、サトクリフ、パウルカレル、スティーブンハンター、フォーサイス、ルカレ、エルロイなどと八万行に渡って続くので割愛。

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