群衆の好意ほど不確かなものはない。

群衆の好意ほど不確かなものはない。
――キケロ


 私の統治は人民の幸福に寄与せぬところがあった。私の人生は儚く過ぎ去った。神は確かに存在するが、私には見えぬ。あれほどに私を突き動かした情熱は去り、老いさらばえた抜け殻が残された。我が軍は混乱している、神より離れ、希望を失った私の如く…。何ということだ、私はこの世に何も持たずして生を得て、今や無数の罪が列をなし、ともにこの世を去ろうとしている!…私はひどい罪を犯したが、如何なる罰が私を待っているのか見当も付かない。
――アウラングゼーブ・ムガル帝国皇帝、死の床にて


 ゴールデンウィークだと!!クソッ、この国にそんなものはないわ!!


どうも、こんばんは。
ついうっかり魂の叫びが漏れてしまいましたが、無いものは無いのでしょうがないですね…。
チッ…(ビールを呷って空き缶をベコベコ言わせつつ)。
国外逃亡出国から早くも1月半ほどが経過し、こちらでの生活もすっかり型にはまってきました。
 7時に起きてどこぞの島国の兵隊ばりにビスケットを噛み砕いて紅茶で流し込み出社、現地の幼児にも劣る貧しい語彙を駆使しグーグル翻訳と言う名のデウス・エクス・マキナの恩寵を借りてぎりぎり働くそぶりを見せつつ、昼は近所のレストランで

”この店は神々が人類に与えし至高の飲み物こと良く冷えたビールをおいてないのですか?” 
”ミスター、店長とアッラーの方針で置いてないんだよ。大体神々ってどういう事よミスター”

 などと監視の目が届かないのを良い事に平日の昼間から不埒かつ不穏当な応答をしてみたり、帰宅後は高速回線と酒の種類が豊富だったら天国に一番近い島と呼んでやってもいい、などと偉そうに一人ほざきながら絵を描いたり、デクスター・フィルキンス氏の”そして戦争は終わらない”と佐藤賢一氏の”オクシタニア”を貪る様にして読みながらイラクとアルビジョワ十字軍がごっちゃになるという大変残念な脳みそに落胆しつつ、明日も仕事か…と溜息を漏らしながら就寝すると言う…。気づけばほとんど日本にいた頃と変わらない生活様式になっておりました。明日から本気を出します。えぇ。


 いや、そんなことより2011年がもう三分の一終わろうとしていると言う驚愕の事実に気づき、時間が溶けるとしか表現できない感覚に襲われて唖然としたり、でも大概そんなもんだよな、と諦念を抱いている昨今皆様におかれましてはいかがお過ごしでしょうか。



・絵

一応今回はこの辺にしておいてやる。
というわけで出来たので貼ります。

シヴァージーとマラータ騎兵

いつもより面積が小さいからもう少し楽かと思ったら、結構大変でした。
でも燃えるので良し。

以下Pixivより

 デカン高原の叛逆者

 ムガル帝国では第3代皇帝アクバル帝以降、多様な宗教を内包していた帝国の現実を鑑みて異教徒への人頭税が廃され、指導者達はその融和を図っていた。しかし、第6代皇帝アウラングゼーブ帝の時代に転機が訪れる。
 皇帝はスンニ派のイスラム教を熱烈に信仰し、治世にもイスラム法の厳格な適用を求めた。ほどなくして人頭税は復活し、他宗教への弾圧が始まった。
 やがてラージプート族をはじめとし、帝国各地で叛乱が発生、ヒンドゥー教徒のマラータ族もまたその例外ではなかった。そして西ガーツ山脈一帯に分散するマラータ族をまとめ、帝国に敢然と挑戦したのがチャトラパティ・シヴァージーであった。
 のちに彼は皇帝と交渉をもつも決裂、1674年にとうとうマラータ王国として独立を果たしたが、その後も ゲリラ戦を展開し、帝国と戦い続けた。シヴァージーはヒンドゥー教徒以外にも敬意を払い、また才あれば重用したとされ、現在もインドの英雄の一人として尊敬を集めている。

 ――インドでアクバル大帝やシヴァージーが英雄視される一方、パキスタンではアウラングゼーブ帝が評価されているそうですが、両国の歴史・宗教的背景を思うと何とも興味深く、また考えさせられるものがありますね。インドは面白い形や用途の武器が多いですが、シヴァージーはパタという篭手と剣が一体化した武器の使い手だったそうです。器用な人じゃないと手首捻りそうですね。

以上


 シヴァージーさん、パタの使い手なのは良いとして、バグ・ナーク(メリケンサックに鉤爪がついた様な形状の凶悪な隠し武器、暗殺用、毒を塗って使うのがオススメ、というか主な用途)で敵の将軍を騙し打ちってあんた…。ますます気に入りました。上記の通り現在もその名は広く知られ、ムンバイの国際空港と中央駅は彼の名前を冠しているそうです。
 さて、いつもの誰得装備解説ですが、マラータ族の甲冑チャハラ・アーイネはイランなどの影響を受けているようで、鎖帷子の胸部や腹部、肩や二の腕などに板金の補強がなされ、上腕は大きな篭手で覆っていたようです。シヴァージーさんには分かり易くするため、ムガル帝国騎兵風の布を何枚も重ねて拵えた独特な鎧を装備してもらいました。この鎧の登場は年代的に少し後とされているそうなので史実とは違うかもしれません。
 インドの武装を描くのは初めてで、という言い訳は許されないのですが、マラータ族の投槍バーチィーまたはキシト・ネザやサングが全金属製だと言うことを今さっき思い出しました…不覚。その重さからかなりの威力だったらしく盾や鎧も貫く事があったとか。でも投げるの大変そうですな。
 そのほかマルとかファキールズ・ホーンとか使い方がさっぱりわからない様な武器も色々ありますがどれも変、だけど格好良い…でも変。パタは篭手と剣が合体した様な武器で拳のところにある握りと上腕のベルトで固定していたようです。
 どうしてこんな形状の装備が発達したのか、ジャマダハルから発展したとの説もあるそうで実際にどういう風に使うものなのか非常に気になるところです。シヴァージーが相当な使い手だったそうですが、斬ったり突いたりする時に相手の骨や筋に当たったり引っかけたりしたら手首を捻ってしまいそうですね。上級者向き、マラータ王国ファンなら(某F通クロスレビュー風に)。

 それから武器も良いですがインドの建築物もなかなか渋いですね。
 オルチャの廃墟とか…当ページ的にはずせない物件はやはりインド三大要塞でしょうか。メヘラーンガル砦、ゴールコンダ要塞、ダウラターバード要塞、写真を見てるだけで夢がもりもり膨らみそうです。往時はこんな城を攻めたり守ったりしてたんでしょうか。火砲も充実してたそうですし、その一方で古風な騎兵や重装像騎兵やらがいるってのも一種独特な雰囲気です。
 ダウラターバード要塞の施設で非常に気になるものが一つ…その名も暗黒通路。
 暗黒通路(要塞内の複雑な通路、侵入者を拒む仕掛けの数々が施されており難攻不落を誇った)。
 ちょっと待て、何だよ、暗黒通路って。さらりと説明されてますが面白すぎるので勘弁してください。小学生が自由帳に描く迷路とか僕の考えた無敵の要塞みたいな匂いがプンプンして…何というかその…最高ですね。突入を命じられる人は堪ったもんじゃないでしょうが。

 武器やら要塞やらの話は置くとして、インドの歴史を追っていくとシヴァージーの直面した問題は現代でも無関係でないことが分かります。
イスラム原理主義という言葉がありますが、ファンダメンタリズムはイスラムに限ったことではなくキリスト教にもヒンドゥー教にも該当する様な思想や主義を持った人々はいるようです。
 こういう分かりやすい英雄がいると案の定と言いますか、シヴァージーの名は現代でもインドでシブ・セーナー(シヴァージーの軍団)と呼ばれるヒンドゥー原理主義かつマラーティー至上主義の政党に用いられているそうで。本人がどう思ってるか聞いてみたいところです。
 宗教の原理主義に人種・民族の至上主義が加味された集団というのは考えるだけで何だか頭痛が…少なくともあまりお近づきにはなりたくないですね。
 カシミール地方に限らず、多数派のヒンドゥーと少数派のイスラムの衝突は絶えることなく、いまだ記憶に新しい2008年のムンバイ同時多発テロに代表されるように流血沙汰は現在も継続中のようです。事件の標的のひとつがチャトラパティ・シヴァージー・ターミナス駅だったというのも非常に象徴的なものを感じます。
 またインドではイスラム教徒が、パキスタンではヒンドゥー教徒が少数派でそれぞれの少数派がどのような待遇を受けているかと言うことは、現在も続く対立とテロ事件を見やれば、まさに推して知るべしですが、ガンジーが理想としたインドとはかけ離れた状況が展開しているのは想像に難くありません。

 などとまじめなことを書いていたら疲れてきたのでこの辺にしておきます。
 あれです、つまり私が何を言いたいかというと宗教のことは良く分かりませんが、この南の島に安定した高速回線とビール以外の酒とAmazonの配達を約束してくれる神(なんという限定的な神、凄くカルトくさい)を信仰する教えがあったら光の速さで改宗(元は何なんだ)するので誰か教えてください。

 とりあえず、シヴァージーさんについて調べていたらあまり普段気にも留めないことを色々知ることが出来たので良しということで。ビールでも飲みながら、次はどこのどの人を描こうか考えることにします。

 次はどうしましょうね。もっとこう脳筋っぽいのでいきませうか。これ以上の脳筋ってどういうことだよ、暑苦しいよ、地球温暖化にも配慮しろよ、という気もせんでもないですが、候補者が沢山いるので嫌と言われても次々増やしていきます。覚悟しておくが良いです。

 では甘美なる黄金週間をお過ごし下さい。


 良いなぁ…イイナァ…。羨ましいなァ…。(背中を丸めてとぼとぼと歩き去りつつフェードアウト)
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どれほどうねりくねろうと、川は海に流れ込む。

どれほどうねりくねろうと、川は海に流れ込む。
――インドの諺

汝が生まれたとき汝は泣き、汝の周囲の人々は喜び、
汝がこの世を去るときには汝の周囲の人々が泣き、汝のみ微笑むようにすべし。
――インドの諺

汝の兄弟の船が渡れるように手助けせよ。
そうすれば、汝自身の船も岸に着く。
――ヒンドゥー教のことわざ


 どうも、こんばんは。
 少し間が開きました。私は出向先の事務所を拠点にラングレーのカンパニーやハ・モサッド・レ・モディイン・ウ・レ・タフキディム・メユハディムもかくやとばかりにこの国の情報をくんくん嗅ぎ回ってもりもり本国に転送したり、社長に引っ張り出されて山奥やら密林やらを彷徨ったりしておりました。月の休暇が四日しかないのは出向元の労働契約的にどうなんだ、という気がしないでもないですが、残業も無益な飲み会もほとんど無いのである意味極楽ではあります。でも日曜しかだらだら寝ていられないので少し疲れます。

・近況

 気づいたらまた現地会社社長に連行され彼の趣味の一つ密林行脚に同行してたという…。
 いや、居酒屋で絡まれるより何倍も良いので自分としてはこっちの方が好みですが。
 ブッシュハットを被り、水筒を提げ、支給された携帯のGPS機能を頼りにごついブーツで泥沼やら薮やらチョコレート色に濁った小川やらを越えていく…。本当に何の仕事してんだか分からなくなってきました。茶畑を抜け山に分け入って、得体の知れぬ獣の臭いがする道を犬の背を追い歩くこと3時間、鳥の声や風の音が掻き消えたと思ったら激しい夕立が僅かに見分けのつく小道を濁流に変え、どうしたものかと足を止めるも…あっという間に空を覆っていた青みがかったくすんだ灰色の雲は流れ去り、やがて紫と橙に染まった夕景に輝くモスクの屋根の向こうから湿っぽくアザーン(祈りの呼び声)が…。
 
 子犬発見。食べられるところは少なそうだ。
犬
犬②
 貧富の差を分かりやすく教えてくれるプールつき大邸宅
邸宅
 雨の匂いが漂う高地
森
遠景
 夕景
夕日①
夕日②
夕日③
夕日④

 なんというかかつての生活との差が激しくて、帰国した時に社会復帰できない気がするのですが…。
 ランボーの一作目みたいなエンディングを迎えないと良いですね。

 とりあえず運動不足は解消されそうなので良しとします。そうだ、このまま己が肉体を鍛錬して帰国時にリッターマシンを楽々転がせるように頑張ろう。というわけで二輪に乗りたくてしょうがないのですが、職場よりこの国における運転禁止命令が出てる上に大排気量を取り扱ってるところがあまりないのです。装備重量200kgのマシンに1,000CCのエンジン、狂気の沙汰としか思えないパワーウェイトレシオを想像するだけでニヤニヤしそうですが、少なくともあと11ヶ月は帰還できないので我慢するしか…。
 完全に方向性を見失ってる。

 あとビールが染みます。先週もそんなこと言ってましたね。
 ワインを比較的安く(それでも日本の二倍以上)手に入れるルートは発見。
 スコッチが安く手に入るルートは現在鋭意捜索中。

・ゲーム

①FPS

 あと何年経ったらドイツ軍側でプレイできるFPSが出るのだろう…。
あるいは永遠にアミーやイワン達にゾンビや無機物みたいに薙ぎ倒されるゲームばかり出るのだろうか。
そろそろ、狙撃されないように空き缶の中に小便をしたり、いつ果てるとも知れぬ準備砲撃を塹壕の中で耐えたり、政治将校のメガホンががなり立てる怪しげなスローガンと共に雲霞の如く突撃してくる赤軍の猛攻を弾薬が底を付くまで凌いで凌いで凌ぎまくって結局どこか別の戦線が、浸透されて、包囲や孤立を避ける為に、数え切れぬほどの戦友がその命を代償にして死守した陣地を泣く泣く放棄したり、不運な犠牲者達が捕虜になった際の扱いがどんなものかを思い出すことによる恐怖と東部戦線の冷気に震えながら地獄の様な撤退戦を繰り広げたり、それまでの激戦が嘘のように静かな夜を迎えてシチューに入れようと盗んできた鶏の羽を毟りながらリリーマルレーンに耳を傾けてもう二度と帰れそうに無い故郷を思い出して涙したり、するのがあってもいいと思うんですが、だめですか。そうですか。
 Call of Dutyも連合軍だけでなく枢軸軍側も扱ったらシナリオに物凄い厚みが出来ると思うのですが、敗戦国は駄目ですか。
 残念。
 イタリア軍シナリオがあったらとりあえず戦史上最後の騎兵突撃とされるサヴォイア竜騎兵連隊の突撃とアレキサンドリア港攻撃作戦を入れてほしいですね。イタリア軍特殊部隊員として人間魚雷マイアーレにまたがり戦艦ヴァリアントに機雷を設置とか、あと北アフリカ戦線のフォルゴーレ空挺師団の悪鬼のごとき頑張りとか、知られざる末期から終戦そして戦後のRSIの壮絶な戦史も取り上げてイタリア軍をヘタレ呼ばわりする輩の目を覚ましてほしいところです。いや、一部を取り上げて全体を無かったことにしようとかそんなつもりは無いこともないですけど…。
 みんな頑張ったということで一つお願いしたいところです。

②M&B

 Mount&Bladeの拡張版にWith fire and swordが出るとか。
 フサリアとなってあの馬鹿長い槍でコサックを蹴散らしたり、
 一斉射撃を浴びてばたばた薙ぎ倒されたりできるのですね…。実に気になる。
http://www.youtube.com/watch?v=bNtHYEYCye4&feature=player_embedded 
 
・マスクメロンを見ると故郷を思い出して泣く皇帝に常にメロンをちらつかせることでムガル帝国を恣にする裏技(やりすぎると効果が逓減)。あるいは”インド人を右に”

 バーブルが数倍するロディー朝の軍を破ったパーニーパットの戦いでは荷車を防壁にして火器を運用する戦術が取られたそうですがやはりこれはヤン・ジシュカが憑依しちゃったんでしょうか。と、アホな話は置くとしてこの防御陣はアッティラとかゲルマン人も良くやってた様ですし、特段誰かがいきなり思いついたとかそういうわけではなさそうです。でも銃とセットで使うってのは画期的ですね。

 と、あたかもムガル帝国軍を描くようなそぶりを見せつつ、最近騎兵とインド分が劇的に不足していることに気づいたので、全国2,800万人(公称)のマラータ族大好きっこに捧げる絵を。びっくりするくらい需要があるのか良く分からない…いやないだろ。いや、そんなことは知ったことではないのです。いつも通り独裁的かつ独善的にやりたい放題やるだけなのです。
 マラータ

 17世紀のマラータ同盟軍あるいはマラータ王国軍騎兵。嗚呼、でもアウラングゼーブ帝に率いられた大軍とか、袂を分かつ前のラージプートの戦士とかも良いですね、凄くドラマを感じます。
 とはいえ今回は泣く子も黙るマラータ族なので今もムンバイ国際空港にその名を残すヒンドゥーとデカン高原の英雄チャトラパティ・シヴァージーさんと愉快な(装備的な意味で)仲間たちをやっていこうかと思います。
 もうしばしお待ちを。


次回のLegatusは
ハリーポッターとデカン高原の山鼠
ハニータッカーとラージプートの戦士
アウラングゼーブとイスラムの守護者

の三本でお送りします。

なんという濃いラインナップ。
字面だけで眩暈が…。最後は原形留めてないし。
たぶんファンタジーから歴史の授業みたいな番組にいつの間にかにシフトしてます…。


 修復不可能なまでに混沌とした己の脳みその中身を恥ずかしげもなく晒しまわるのは、今回はこのあたりで。
 マラータの人たちが塗れましたらまたお会いしましょう。

 皆様が良き一週間を過ごされますよう。

人よ、君はこの大なる都市の一市民であった。

人よ、君はこの大なる都市の一市民であった。
それが五年間であろうと百年間であろうと君に何の違いがあろう。
なぜならば、ここの法律では、万人に平等な取り扱いが与えられるのだ。
暴君でもなく、不正な裁判官でもなく、君をこの中へ連れてきた自然の手で、
君がこの都市から追放されるとしても、何の恐るべきことがあろう。
それはあたかも役者を雇った将軍が、彼を舞台から解雇する場合に似ている。
「しかし、私は五幕を演じませんでした。たった三幕だけです」
よろしい、。だが人生では三幕でも完全な劇になるのだ。
なぜならば、終末を定める者はほかでもない、かつては君を構成し、
現在は君を解体するの責任を負うた者なのである。
君はそのいずれにたいしても責任は無い。
だから満足して去っていくが良い。
君を解雇する者も満足していられるのだ。

――岩波版 自省録 第12巻 36章 マルクス・アウレリウス・アントニヌス


 毎日、暑いので帰宅後のビールが非常に旨いです。こっちには激しい雨か厳しい熱射の二種類くらいしか気候も天候も季節も無いので…。しかしのどが渇いてるときに飲むと吸収効率が良いのか、酔いが回るのが早いですね。
 そんな具合の季節感の無い生活を送っております。国内は桜の季節らしいですが、せっかくの季節に花見自粛とか言う空気とやらがあるそうで。確かにそういう気分になれないというのは分からないでもないですが、この上さらに減らす必要のない消費まで抑えて全国仲良く意気消沈するってのは自粛というか自虐的な気が。十分打撃を受けてるのに経済的な機会をわざわざ無しにする必要はないように思うのですが、実よりも精神性を重視するという奴なのでしょうか。

・前門の虎、後門の狼


 先週は、東京の上官殿が遥々こちらまで出張なさったのでその応対に追われておりました。
最終日は何か悪いものでも食べたか、疲労に気づかず風邪でもひいたか分かりませんが、午後から全身の節々が痛くなり、寒気と頭痛が。
 その状態で日系資本の鉄板焼きに行き、国内外を問わぬいつもの有難いお説教タイムに突入。
 だるさによりほとんど食べ物も飲み物も手をつけられず、朦朧とした頭で何とか聴覚を働かせていると、どうやら私の冷淡・無関心な態度や思いやりの無さを民族的特性と関連付けて指摘することで説得力を持たせようとしていたようで。
 曰く、日本人は農耕民族だから労りの心や察しの心が他と比べ多くある、またそうあらねばならない、のだとか。でその反対は何なのです?と尋ねると”欧米人”とのお答え。
 これは偉く曖昧で広いくくり方で来たな、そもそも欧米ってどこよ、と容易に想定されるお説教シナリオの内容に物凄い面倒臭さを感じつつも、”何故、欧米人は日本人と違うのですか?”と聞いてみたら”彼らは狩猟民族だからだ”と。一瞬病からくる頭痛とは別の頭痛に襲われ、この不出来なジョークみたいな会話に大笑いしそうになりましたが確実に理由を聞かれ、話しが長くなるので相槌マシーンとしてがんばる事に。欧米人というあまりにも広いくくりで語るには対象が狭すぎですし、せめて牧畜も含めてほしかったというか…あと日本にも猟師とか狩人とか…。
 仮に欧米人というのを、西欧に狭めたとしても一概に狩猟民族とするのは難しいのでは…。フランスなんか農業大国ですし、ローマ帝国のあった頃も農業を営んでいたでしょうし。蛮族だ何だと呼ばれるゲルマン人がみんな狩猟採集・牧畜民族でずっとそうだったかといえばそんなことはなく、ローマとの交流を通して定住農耕を営んでいた部族もいると聞きます。麦・米の違いこそあれ中世と呼ばれる頃には両者ともにその生活基盤は農業にあったはずです。
 さらに現代に目を移せば食料自給率が残念なことになってる日本よりもよほどアメリカ・ヨーロッパのほうが農耕民族のような。確かに生産高ではなく農業従事者数については比較したことはないので、経営規模を考慮するとそれは違うのかもしれませんが。
 とはいえ、残念ながら私の性格はそんな難しいものに由来するのではなく。もっとシンプルなもの”利己主義と怠慢”にあるのではないかと思うのですが、と提言しようかと思いましたが120%の確率でお話が長くなるのでそういう苦行を己に課した修行僧みたいに黙ってました。沈黙は金、多分。あと世界に無理解と諍いが絶えないのは思い込みと面倒臭がりが多いせいかも…。
 それから法螺を吹いたり説教をする時は、せめてもっと気づかぬくらい巧妙に騙すか、聴衆を楽しませる技法を用いてやって頂きたいものです。あんまりにもつまらないと時間が惜しくなってきて”後で目を通すので書面でご提出願えますか”などと言いそうになってしまうので。
 …こんなこと考えてるから怒られるんでしょうね。
 なんともまぁ、ストア派が理想とする不動の心、アパテイアの境地とは程遠いですな。 

 しかし、人に”思いやりと察し”を説くなら目の前で熱にやられフラフラしている部下をその”思いやりと察し”とやらでなんとかして頂きたいところでしたが、例のごとく”理論と実践”は別の話なのでしょうね。

 
 ・哲人皇帝

 いつもの絵を。

アウレリウス帝と第14軍団

以下pixivより

紀元178年”第一の市民”

 我々は地獄の縁に立ち、溢れ出んとするそれを押しとどめていた。ドナウ駐留軍団は死を微塵も恐れぬ因縁深き隣人、幾ら屠ろうとも冥界から湧き出でる人々、つまりゲルマン人といつ果てるとも知れぬ死闘を繰り広げていた。死傷者は増大し、戦況は一進一退を繰り返していたが我等が皇帝陛下は前線を離れなかった。それでも我々は誉ある時代を生きていたのだ。帝位を簒奪する者などおらず、全軍団が一つの崇高なる意思に忠誠を誓っていた。カロンの渡し船に乗るまで、いや冥府にあっても私は忘れまい。最前線を見つめていたローマ第一の市民、その気高き姿を――”第14軍団退役将校によるカルヌントゥム戦記、序文”

 ――四人の偉大なる皇帝が去り、後世に五賢帝時代と呼ばれるローマ帝国最盛期の末かつてプラトンが理想とした哲人統治が実現した。敬虔なるアントニヌスの後継者、16番目の皇帝マルクス・アウレリウス・アントニヌスによる統治である。だが、古典教養とギリシア哲学に精通し、ストア派を自認していた皇帝の治世は、偉大なる哲学者の理想とは裏腹に過酷な現実に直面していた。叛乱、疫病、飢饉、そしてパルティアとゲルマン諸部族との衝突、内憂外患は絶える事無く、書斎で学問と芸術を愛でた青年は、今や帝国防衛の要、ドナウ防衛線で指揮をとるローマ第一の兵士としての振舞いを要求されていた。トラヤヌス、ハドリアヌスとは異なり、身体頑健ではなかった皇帝はその身を奮い立たせて最前線に立ち続け、病に苦しみながらも帝国に奉仕するその姿は市民と将兵達に崇敬の念を抱かせた。そして、その揺るがぬ信念と不屈の姿勢は前線基地ウィンドボナ(ウィーン)で神々と病がその魂を肉体から連れ去る最後の瞬間まで貫かれた。

 ――最も好きな皇帝の一人、マルクス・アウレリウス帝の前線視察。学問と平和を愛するも、統治期間の半分以上は最前線という不運な皇帝ですが、苦闘に満ちた統治はその高潔さを一層際立たせております。常人には想像も出来ない様な重責と困難、逃げずに戦い続けた陛下を支えたのは一体何だったのか。1,800年の時を越え今も出版されている、御自らが書き残された日誌や覚書の集大成「自省録」という書物でその断片を垣間見ることが出来ます。興味をもたれた方は是非。

 ――”言語に絶する苦境の中に生き、なお帝国を存続させたマルクス・アウレリウス帝をこの上なく賞賛する”同時代の歴史家カシウス・ディオ

以上

 マルコマンニ戦争における皇帝と第14軍団の図。
 映画グラディエーターにも登場するマルクス・アウレリウス・アントニヌス帝。世界史の授業では五賢帝最後の皇帝としてさらっと流される人ですね。
 読書や哲学を好んでいたというのに孤高の哲学者とは正反対のローマ皇帝になってしまった人です。
 中東、北方の外患と疫病、叛乱、飢餓などの内憂と激動の時代を相手どり果敢に戦い、晩年は病身を奮い立たせゲルマニア戦線を指揮し紀元180年に陣中で没します。
 ストア派の一人として有名でその著書「自省録」は1800年の時を経てなお読み継がれる名著です。
 映画では80歳くらいの老いっぷりでしたが、享年58歳なのでもう少し若かったのではないかと思います。あるいは激務が消耗を招いたとか?でもその著書を読むと確かにあのような皇帝が想起されます。

――あたかも一万年も生きるかのように行動するな。不可避のものが君の上にかかっている。 生きているうちに、許されているうちに、善き人たれ。「自省録」より

 自省録はストア派哲学の片鱗に触れることができるというだけでなく、単純に当時の世界人口の4分の1を支配した巨大な帝国の指導者が一体何を考え、感じていたのかを知ることができる書物という点でも非常に興味深く、おすすめです。

 さて、今回はこの辺で。
 今週を生き延びることが出来たならまたお会いしましょう。
 皇帝陛下と第14軍団、不滅の帝国に勝利の栄誉を!

剣が短い事を嘆くな、一歩踏み込めば事足る


アッティカ人がスパルタ人の剣が短いことを笑うと、スパルタの王アギスはこう答えた。
”我々は短い刀で敵の近くに迫る”

 先人達が残したことわざや格言は実に渋いものが多いですが、今回はその中でもその言葉を発した人々の性格や本質を表すようなグッと来るやつを。文章や弁論においても装飾を廃し、簡潔さを旨としたスパルタ人らしい言葉ながら、その強靭さと不屈の性向をこれ以上ないほど表しているのではないかと。

 どうもこんばんは。
 風呂で頭をワシャワシャ洗ってたら別段地震も事故もおきて無いのに、停電した件について…。窓も無い浴室なので完全に真っ暗となり、寝室まで手探りで歩き、鍵束につけたLEDライト(こうも早く役立つことになるとは)で照らしながら、ぬわっ、シャンプーが目にっ、とか言いつつ泡を落とすという…。で、風呂を出たら自家発電に切り替わりました…何してんだか。
 とりあえずこの国の偉い人は高層ビルとかホテルとかいった成金じみた高密度地区を整備する前にシムシティでもやって電力供給と交通インフラの重要性を一から(以下略。せめて道路にもっとたくさん歩行者用信号と横断歩道をつけて欲しいです、無茶な方向から押し寄せる自動車とシューティングゲームの弾幕みたいに大量に行き交う二輪を避けながら道路を横断するのは新入り異邦人にはかなりエキスパートモードな気がします。イージーモードはないんですか、という生活臭漂うリクエストをぶつぶつつぶやきたくなる昨今皆様におかれましては如何お過ごしでしょうか。

・こちらで得られる情報

 思わず先任軍曹みたいに罵りたくなるほど糸電話みたいにか細いインターネット回線とアパートの支配人が用意してくれたNHKがこちらで利用できる日本の情報を得る数少ない手段ですが、果たして3 週間ほど経過して内地と私の認識がどれくらい乖離してきたのか気になるところです。帰ったら浦島太郎みたいな気分になりそうです。いや、お前のおつむはもともと現実から乖離してるだろ、と言う最もありそうな説は置くとして…。 
 ニュースを見て、何事につけ事が始まったらその終わりまでしっかり目を光らせていないとでっかいツケを払う羽目になるんだな、としみじみ思いました。
 日本に限ったことではないのでしょうが今回の一件で、何か”もの”を作ったり”こと”を起こしたりする際にそれが何をもたらすか、それを維持するのに何をしないといけないのか、という認識が不足している事が改めて露呈したのではないかと。
 甘い採算計画やいい加減な維持費の概算で全国に建設された公共建造物の数々や、受益者の不明瞭な政策・法律、そして今回問題になっている技術。そういったものは完成し、施行され、開発が成功し、あるいは発明されたらそれで終わりか、といえばそんな事はなく、損益含めそれが将来もたらすものについても予めよくよく考えておかなければならず、それが存在する限りずっと気をつかわなければならないものとなるという認識。遠足は家に帰るまでが云々という奴を皆耳にたこが出来るほど聞いてきた筈なのにこういう事が起きてしまうのは、避けられないことだったのでしょうか。 
 私自身も将来のことどころか1時間後のこともあまり考えていないんじゃないかと言う体たらくなので人の事はあまり言えませんが、甘い見通しで戦いに挑み(ある程度の楽観や希望的観測でもなければ狂気の沙汰たる戦争などできないにしても)、300万人もの国民を失う負け戦をやらかして十分痛い目を見てる割に、そういう風潮は脈々と受け継がれているのでしょうかね。

 *高速増殖原型炉もんじゅがさらりとやばいことになってると小耳に挟んだのですが、これは大丈夫なんですか。S.T.A.L.K.E.R.はゲームだから面白いのであって現実にあんなことになったら、いくら不謹慎が人間の皮を被っていると常日頃から言われる私でも皮肉すら言えなそうです。聞くところによれば汚染地域や被災地で働く人が酷い待遇を受けているのだとか、危険を冒しているのだからSEVAスーツみたいな防護服(現実の装備だとどれくらいまで耐えられるんでしょう)とちゃんとした食事と寝床くらいは用意して頂きたいところです。

・塹壕の中でも茶を沸かす

 アルコールを燃料とする内燃機関によって動作する人口無能搭載型怠慢労働マシンであるところの私が、この島で何が一番困るかと言ったらビール以外の酒を手に入れるのが極めて困難であると言うこと、あっても素晴らしくお高いということです。
 早くもワインやウィスキーの瓶が楽しげに喉を鳴らすあの素敵な音を空耳に聞いたり、コルクを捻る夢を見そうです。確かにそれらを酒屋で買うことはできずとも、夜の街に繰り出せば飲めないことはないのです。でも、お高いんでしょ?(スタジオ中に漏れる溜息)えぇ、お高いですが。
 しかしロアナプラを少しだけ親しみやすくしたみたいなあの町に行くのは、趣味ではないし…騒がしいのはお嫌いですし。うーむ、偉大なる先人達が残した至言、君子危うきに近寄らずんば虎児を得ず(勝手に混ぜるな危険)に従いて行ってみようか。
 我慢しきれず適当なナイトクラブに突入し、艶やかなお姉さん方には目もくれず、血走った目でカウンターににじり寄り、マスター一番濃い酒をくれ、とか抜かしてる姿が目に浮かぶようですが…。
 …それが彼の残した最後の言葉だった…とかならないと良いですね。
 
 それは金がかかりそうなので今回は近場のカルフールを物色することに。
 
 小一時間ほど彷徨ってアルコールの棚を発見し、アナバシスに出てくるギリシア人傭兵みたいに目を輝かせながら”タラッタ、タラッタ(海だ、海だ!)”じゃなくて”ビール以外の酒は無いのですか”と通常営業では考えられないほどハキハキと店員のお姉さんに尋ね、”HAHA、無いッスYO”とあっさりかつ爽やかに回答されて項垂れるというお約束の展開が…。

 戦利品
戦利品

 これはあれです。近くにコンビニ的な店はあるにはあるのですがそこに至るまでの道路横断が物凄く危険(上述の通り)なので機会があるときにまとめて買っておくと言う生活の知恵であって決して買い溜めをしているわけではないのです。本当です。
 カールスバーグとハイネケン、サン・ミゲルを発見。ビスケットとリッツクラッカーで200円、そしてリプトンの100袋入りが200円ちょっとだったのは色々驚愕でした。偽物じゃないだろうな…。とりあえずこれで某国植民地駐留軍将校の真似事に興ずることが出来るので良しとします。

そういや私の監視役じゃなくて指導役となった方がムスリムなのですが、何と酒飲みでした…。こっちは戒律が緩いとは聞いてましたが、仕舞には”ウィスキーも飲むよ、アメリキーのやつさ”とか言い出す始末。タリバンが遥々出張してきたら酷い目にあいそうですが、そんなことよりも口をついて出たのは”どこで売ってんの?”という…。そういうときだけは現地語が滑らかに出るあたりがもう色々駄目ですね。そんなわけであちこち探検して調査した結果、ワインもウィスキーも探せばあるようですが、値段は軒並み国内の相場と比較して3倍以上、よほど良いことでも無い限り気軽には買えず。休日はマドリードのごろつきみたいに一人で1本か2本のワインを投与するのが慣わしだった自分としてはもったいなくて手が出ません。

・出張

 年間就労ビザ取得のため、きわめて先進的である一方、その実態は統制管理社会、典型的開発独裁国家っぷりから明るい北朝鮮という素敵な異名を持つ昭南特別市(いつの時代だ…)に行ってきました。時間が余ったので少し市内を見て回ろうと思い、さてどこへ行こうかと。
町並み

 しかし何とも凄い町ですね。ごみは落ちてないし、道路はまっ平らで綺麗ですし、前日までいた地域(泥と砂利と沼と密林、蝿と蚊と悪臭とゴミが必ずどこかに…)との差に頭がくらくらしそうでした。

前日まで徘徊していた地域の風景

道に迷ったら死ぬんじゃ…。
どこまでも続く緑地帯
水牛? 通れぬ…。
牛
おぜうさん、外人向け価格じゃなくて地元価格でよろしく。
果物
あらゆる事象に言えることかもしれませんが、遠くから眺める分には綺麗です。
夕焼け
棚田
棚田整備中
棚田


 かの地の名所といえば日本ではマーライオンが著名ですが、当ページの趣旨的にも、ひねくれものたる私の好みとしてもそんなものを訪れるつもりは毛頭なく、とりあえずフォートカニングに向かいました。現在は公園になっている19世紀の英国植民地時代の要塞です。
9ポンド砲
城門
城門2
銃眼

 9ポンド砲を愛でたり、当時の城門に昇って銃眼の射界を確認しながら往事を想像し、仄暗い笑みを浮かべることができます。そのあとは公園内の丘の地下にあるアーサー・アーネスト・パーシバル将軍の地下司令室ことバトル・ボックスに。
 パーシバル将軍は第二次大戦時、日本軍がマレーにて作戦を進めていた頃のイギリス極東軍司令官です。彼が1942年2月15日に日本軍に降伏するまで指揮を執ったのがこの地下司令室で、それはもうMedal Of Honor とかCall of Duty とかをやる方ならその地下構造物の既視感ににやにやしてしまうでしょう。廊下の曲がり角で壁を利用して手榴弾を投げ込んでファイナホー!とかポテトマッシャー、ラーン!とかグラナーテとか叫んでいた懐かしき日々が蘇ります。
廊下

 S$8.00払うとガイドが解説を交えて案内してくれるのですが、気づけば一緒に回るグループが私以外全員オーストラリア人とイギリス人だったという…、自分の空気の読めなさのワールドワイドっぷりに噴きそうになりましたがぐっと我慢。
 入館するとあちこちのスピーカーから着弾音や壁が軋む音、天井から破片が毀れる音、そして怒号が迎えてくれます。

電話交換所
電話交換所

暗号解読所
暗号解読室


かまぼこ状に凸凹が施された天井。
天井

映画、史上最大の作戦だったか空軍大戦略あたりにも出てくる類の刻一刻と変化する戦況を把握するためのテーブル。
戦況見取り図
 ちょ、これどうすんの、もう無理じゃね。リセットボタンとか無いの?
戦況見取り図2

将軍ご決断を! そうは言うがな大佐…。
将軍執務室

諦めたらそこで試合終了…
どうしよっか

緊急脱出口
脱出口

他にも両軍の装備品の展示や将校用の食堂、空気清浄フィルターなど興味深いものがゴロゴロと。

 となかなかに燃える展示物ですので嘔吐像(マーライオン)では底なしの好奇心を満たすことが出来ぬというかたは是非。
 その後は公園内の看板Wine&レストランに導かれ吸い込まれるように…本当に何も考えてない…。
レストラン
鶏肉
 こぎれいな店内とセンスの良い調度類からいやな予感(大衆向けじゃない予感)がしましたが、メニューを見たらなかなかおいしそうなラインナップで気がついたら注文してたと言う…で会計で地獄を見る羽目に。
 一回の食事で出向先での一月分くらいの昼食代が賄える…ここでもまた経済格差のすさまじさを実感いたしました。
 国外でないとなかなかワインなど飲めないので良かったと言えばよかったですが。
 当分こういう贅沢は慎まねば。

 そして市内を巡るわけでもなく目に入った電気製品のデパートへ。
 うろうろしていたらゲーム屋をみつけ、気づいたら何故かSHOGUN TOTAL WARとHOME FRONTをお買い上げになっていました。
ゲーム屋
 こんなところにまでこの手の施設があろうとは、侮り難し…。
萌えの云々

 帰国時にディスクについて通関で何か言われるか少しハラハラしましたが華麗にスルーされ、無事にアパートに戻ることが出来ました。
 0300起床2400帰宅という何だかせわしない出張でくたびれましたが、そこそこ充実しておりました。
 これ見ると本当に遊んでばっかりみたいですね。たしかに大体遊んでますが。

・ラストエグザイル

 第2期製作中の話を聞いたときは我が内なるスコロペンドラ砲が火を噴きそうでしたが、登場人物の低年齢化が著しいですね。主要人物が少女ばかりってのも、やはりマーケティングリサーチの結果って奴でしょうか。
 チェ・ゲバラ(髭有りver.)みたいな顔付きの屈強な輩とかブレードランナーのデッカードみたいな風貌のベテランパイロットがアンディ・マクナブみたいなひねくれた冗談をぶちぶち言いながら大空を駆けたり、目眩がするほどのディティールで視聴者を圧倒するような奴は……誰も見ないんですね。実写映画見てろと、あるいは紅の豚見てろ、とはい分かりました。

・映画

 そういや、出国前に余震で揺れる映画館でアレクサンドリアを見ておりました。原題はアゴラ(ギリシア語で広場、教科書に出てくる奴です)だそうです。4世紀のアレクサンドリアを舞台に実在の女性の哲学者(科学者)とその奴隷、ローマ貴族、キリスト教徒、ユダヤ教徒、そして図書館の教師達が織り成す物語が当時のアレクサンドリアの情勢と地中海世界の様子、時代の空気を象徴的に描き出しております。
 何世紀もかけて人類が集積した叡智の結晶である図書館の書物が、狂信者達に一瞬で焚書されるさまは実際もこんな感じだったのだろうかと、散逸した古代の図書の数々が脳裏に浮かび、なかなか感慨深いものでした。
 一見してキリスト教や一神教、原理主義的な思想を批判しているようにも見えますが、おそらく狙いはもっと広範な古今東西の人間全般に見られる不寛容と無理解、そして逆もまた然りというやつを表現したかったんじゃないかと。
 と、そんなことはたぶんとっくにあちこちの映画レビューで書かれてると思うので今更繰り返す必要は無いと思いますが、当ページ的には後期ローマ帝国支配下のアレクサンドリアが活き活きと再現されていてぐっと来るとかそういう方向で攻めていくべきでしょう。初期のキリスト教の薄暗い教会や雑多な市場の様子、そして大灯台など視覚的に見たかったものが色々見られました。
 ただ一ローマ軍団兵として気になったのですが4世紀時点でのローマ軍団兵の装備はあれでよかったんでしょうか。私としてはロリカ・セグメンタタ風の鎧や四角形の湾曲したスクトゥムは少し前に姿を消し、東方やゲルマニアなどの影響を受けた装備に入れ替わっていたいう認識なのですが果たして…。どうにも自分の中での後期ローマ軍はスパンゲン・ヘルムと丸い盾に鎖帷子のイメージが染み付いてしまってそんなことをふと思っていたのでした。
 この調子でマイナーな時代や人物を描いた映画をもっと見てみたいものです。特に装備が見たいです。

・絵

 ただいま陣地構築中。薄ら寒いゲルマニア、近衛兵を連れてどんよりしたドナウ防衛線の陣地を視察しに来たマルクス・アウレリウス・アントニヌス帝と第14軍団の皆さん。
アウレリウス帝と第14軍団

 現在の研究では木々の年輪から2世紀後半から3世紀にかけてヨーロッパが寒冷化していた事が分かっているそうです。寒冷化による単位面積当たりの人口扶養率の低下によるためか、クアディ、ヴァンダル、サルマタイなどの諸部族がマルコマンニ族と同盟し、パンノニア属州を攻撃したことがきっかけで166年から180年にかけてのマルコマン二戦争は開始されました。
 というわけで、寒々しい曇天に冷たい空気、遠くの森からゲルマン人の勇者達が雄叫びをあげるのが微かに聞こえ、武器を点検したり兵器を整備したりしながら北を睨む、第14軍団の軍団兵達。そこへ、近衛軍団兵の一団がやってきて、奴隷から元老院議員まで帝国中の誰もが知っている男が静かに現れ、自分の命令で命をつなぎ、命を屠り、そして運が悪ければ自らのそれを落とすであろう息子の様な年齢の兵士達の眼差しを背負い、じっと霧の向こうに霞むゲルマニアを見つめる。そんな情景を描いております。…なんというかいつも通りですね。


 読み返してみて思いましたが、やはり国内にいたらこんな能天気な内容の日記は書けそうにないですね。でも深刻な話はみんな書いてるでしょうし、全員同じでは面白くないので平常運転で行きます。というか本当に遊んでばかりみたいですが大丈夫なんですか、この人は。我ながら不安に…。

 いや、

 私たちが恐れるべき唯一のものは恐れること自体なのです。
 The only thing we have to fear is fear itself

 ――So, first of all, let me assert my firm belief that the only thing we have to fear is fear itself ―― nameless, unreasoning, unjustified terror which paralyzes needed efforts to convert retreat into advance.
 
――1933年3月4日 ルーズベルト大統領第1期就任演説より 
   大恐慌を克服するための前進を恐れるな、と説いて。

 こんなとこで名文を引用するなよ、という突っ込みをひしひしと感じますが、そう言う人なので諦めて下さい。

 いやはや長い日記ですこと。ほとんど日本語で話す事が出来無いから鬱屈しているのか、とも思ったのですが国内にいた時もさほど話すような奴ではなかったな、という大変悲しい、けして気づいてはいけない事実を悟ってしまったのでそっとしておくと良いと思います。

 また来週か再来週か絵が出来たら、お会いしましょう。
 ローマ軍団兵諸君に神々の助力あれ!
軍団兵履歴

Legionarius

Author:Legionarius
主に世界史・戦史(東西問わず)の絵を描いております。

形式:Legionarius
状態:製造年月日から30年以上経過
使用燃料:Laphroaig,Bowmore,
Ballantine(12年が好ましいが財布が薄いのでfinest)
エンジン形式:惰性型酒冷4ストロークバルブ108気筒
始動形式:諦念あるいは深い溜息
搭乗機:CBR600RR07白→CBR1000RR2012に機種転換(乗り手に過ぎる良い機体ですがハイオクは財政が……)

音楽:(Bill Evans, Miles Davis, Dvořák, Linkin Park, Rammstein, Killswitch Engage, Enigma外)気に入れば何でも。

書物:ノンフィクション、歴史(ローマ史、古代ギリシャ,WW2外)、SF(ホーガン、ハインライン外)、最近はOsprey社の本ばかり。主にマクブライド先生のやつばかり。

漫画:(大陸軍は世界最強とかアララララーイとか)雑食。

ゲーム:ROME TOTAL WAR、MEDIEVAL TOTAL WAR
     CALL OF DUTY、S.T.A.L.K.E.R、SILENT HUNTER外

好きな陛下:Marcus Aurelius Antoninus、Flavius Claudius Julianus
好きな甲冑:ロリカ・セグメンタータ
好きなヴァンツァー:フロスト
好きなマクナブ:受領通知!!、カチカチ、カチカチ、続刊はいつですか。
以下、好きなギボン、サトクリフ、パウルカレル、スティーブンハンター、フォーサイス、ルカレ、エルロイなどと八万行に渡って続くので割愛。

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